対ゴジラ兵器になりそうな花火はあるのか?蔵前の花火屋さんに聞いてみた
ゴジラといえば日本を代表する世界中で親しまれている怪獣王です。
シン・ゴジラにて石原さとみによる【ガッズィーラ】発言でさらにその名を轟かせたゴジラですが、実際に現れた場合、我々はどう対抗するのでしょうか。
映画の中では自衛隊や米軍が持てる戦力を総動員し、決死の勝負を挑む様が描かれています。
ミサイルや機関銃の雨あられを浴びせて何とか進行を食い止めようとしますが、そんなとき我々一般人は指をくわえてみているだけです。
地球防衛軍があったら絶対入りたいと思っているほど筆者は愛国心が強いのですが、一般人が兵器を使うことはできません。
何か武器になるものはないかと考えていたときに思いついたのが花火でした。
花火は夜空を彩る芸術の一つですが、明らかに爆発しているのでそれなりに威力があってもおかしくはありません。
打ち上げには専門の資格が必要ということは“危険である”ということの裏返しでもあります。
ということはゴジラが来たら花火も立派に兵器として活躍できるはず!
しかし、筆者は手持ち花火か、ロケット花火ぐらいしか扱った経験がありません。
ロケット花火で友達を追いかけ回したときは必死に逃げ回ってましたが、ゴジラには通用しないことは明らかです。
やはりここは花火のプロに意見を聞いてみるのが一番でしょう。
蔵前は古くより花火屋の集まる街でもあるので、早速取材に伺いました。 今回は松木商店の店主、海老沢さんに対ゴジラ花火について教えていただきました。
取材に向かったのは12月で、多くの花火屋さんはオフシーズンなのですが松木商店は年中営業しております。
店内には所狭しと花火が陳列されています。
ちなみに夏以外のシーズンもそこそこ発注が入るそうで、クリスマスや正月などのイベント時に自治体や企業が購入するのだそうです。
火事になったら大変なんだろうなーなどと不謹慎なことを考えながら、ぐるりと店内を一通り拝見したところでレジに向かいます。
すると壁一面に映画のポスターが貼ってあることに気づきます。
最新の映画のポスターが中心のように見えますが、ゴジラ系が心なしか多い気がします。
もしかしたら怪獣映画が好きなのかもしれません。
だとすればきっと対ゴジラ花火についても快く教えてくれるはずです。
筆者:すみません。もし仮にですよ。仮になんですが、ゴジラが現れたとして武器になりそうな花火ってありますか?
海老沢さん:え?ゴジラですか?うーん、自衛隊でも勝てないから花火じゃどうにもならないと思いますよ。
筆者:やっぱりそうですよね。でももし出てきたら自分たちで街を守りたいんです!倒せなくてもせめて足止めだけでもできないでしょうか?
海老沢さん:そうですねー。ゴジラを倒すというよりは見とれさせて、そのうちに逃げるという作戦だったらいくつか候補がありますよ。
花火屋さんらしい“見とれさせる”という言葉にプロ意識を感じます。
海老沢さん、それでは武器になりそうな花火について教えてください!
海老沢さん:まず素人さんは見た目でこういうのを選びたくなるんですが、これは正直見かけ倒しです。
はい、筆者もそれが一番大きいと思っていました。どう見ても破壊力抜群に見えます。
海老沢さんによると、この四号夜玉のような見た目の花火は一般量販店に並べるとインパクトがあるのでよく売れるのだそうです。
「花火は打ち上げてみないと、どんなのかわからないでしょう?だから地味で細い奴はなかなか手に取ってもらえないんですよ。」
確かにこのインパクトは知らなければ買ってしまいそうですね。
海老沢さん:とりあえず一発目にはこれがいいでしょう。
おお!いかにも兵器っぽい花火です。そうそう、こういうのを待っていたんだよ。さすが海老沢さん、わかっていらっしゃる!
海老沢さん:これは連発で次々と火花が出るので、ゴジラの気を引くにはもってこいです。
筆者:私も気を引かれる外見です。
海老沢さん:男性はこういうの好きですね。
海老沢さん:さて、あとはこいつとこいつがあればきっとゴジラの気を逸らせます。
筆者:え?これですか?
海老沢さんが示したのは地味な一本の花火です。
海老沢さん:これはこう見えて直径15mぐらいの爆発範囲になるんですよ。
筆者:ほんと見かけにはよらないんですね。
海老沢さん:トドメにこいつを使ってください。四方八方に火花が飛び散ってゴジラも見ないわけにはいかないでしょう。
筆者:こんな小さいので大丈夫なんですか?
海老沢さん:打ち上げてみればわかりますよ。
ニコニコしながら対ゴジラ花火を勧めていただいた海老沢さんですが、最後にチョイスしたものは小さすぎて不安しかありません。
しかし、プロが選んだ物に口を出すのは御法度です。海老沢さんを信じて購入しましょう。
会計が終わり、花火を包んでくれている海老沢さんに
「映画のポスターでゴジラが多いような気がするんですが、もしや?」
と尋ねてみると、
「ゴジラね、好きなんですよ私も。たまに来る外国の観光客もゴジラが大好きで店内でたまに映画を流していると、ずっと観てます。」
「ゴジラを花火で倒そうなんて面白い企画ですね。実際にどうなるのかちょっと気になってきました。」
と満面の笑みで答えていただきました。
プロによる兵器セレクションを終え、対ゴジラ戦に向けて準備を進めます。
海老沢さん、ありがとうございました。私は生きて帰ります。
対ゴジラ花火の性能を十分に活かすには、晴天である必要があります。
また風が強い場合も標的を外してしまう恐れがあるので、無風がベストです。
兵器(花火)購入から、ゴジラとの決戦にふさわしい天気を待つこと1週間。
いよいよおあつらえ向きの天候を迎えました。
さらに標的を目視しやすい満月と最高のシチュエーションが整いました。
決行は20:00(エヴァ風に言えばフタマルマルマル)、都内某河川敷にてゴジラを迎え撃ちます。
作戦名は「アラカワ作戦」とでも名付けましょう。
ではアラカワ作戦、決行です!
ご覧ください。この禍々しい姿。全てを破壊し、怪獣王の名を欲しいがままにする“ガッズィーラ”です。
これが今回の我々の敵です。データによると全長118.5m、体重9.2万t。
圧倒的じゃないですか。
海老沢さんの“自衛隊でも勝てない”の言葉が脳裏をよぎりますが、作戦は完遂してこそ意味があるというものです。
海老沢さんアドバイス通り、まずはバルカンにて威嚇射撃を行います。
口径6mmの弾丸を5本の銃身から連続で発射する代物です。
人間が食らえばひとたまりもないでしょう。
ゴジラに慎重に狙いを定めます(※横にして使用するのは危ないのでやめましょう)
照準よし。民間人の避難完了。
5連装バルカン、ってーーー!
バルカンらしいハイペースで次々と火花を射出していきます。
これだけの数を撃てば、ゴジラに対する威嚇射撃は十分といえるでしょう。
しかし、連射速度が速い分、あっという間に弾切れです。
ここで第2陣、海老沢謹製の大玉を準備します。
武器の名前は向日葵。
その名の通り、向日葵を思わせる巨大な火球を打ち上げます。
ゴジラの注意をこのまま引けるか勝負どころです。
準備よし!向日葵、発射!
バシュッ!!
少し角度が浅かったか!
向日葵のような円形にはなりませんでしたが、広がりきった直径は15mほどにはなりそうです。
さすがのゴジラも眼前でこれを食らえば驚くはず。
ゴジラがひるんでいる隙に間髪入れずにトドメの一撃を見舞います。
海老沢さんが最後に使うようにと勧めてくれたのはこれ。
その名も飛び魚!
爆風だけではなく、イナズマで攻撃しようとは海老沢さんも最後に憎い演出をしてくれるものです。
発射態勢を整え、飛び魚をゴジラに撃ち込みます。
発射っっ!!
想像よりも静かに射出される飛び魚。
シュッっという澄んだ音とともに夜空を一直線に登ります。
一瞬小さな火球が見えたかと思うと次の瞬間、
中から無数の火花が飛び出し、夜空を縦横無尽に駆け巡ります。
中心には青白いコアのような火花も確認でき、締めにふさわしい攻撃となりました。
ゴジラに直接的なダメージを与えることは叶わなかったものの、注意を引いて時間を稼ぐことは本当にできそうです。
この間に自衛隊や米軍の方に総攻撃をしてもらい、日本の平和を取り戻してもらいましょう。
余談ですが、この花火の写真はズームを使わず、等倍のiPhoneで撮影しました。
相当大きな花火であることがおわかりいただけるのではないかと思います。
花火大会などの専用の花火は資格と許可がなければ打ち上げはできませんが、松木商店では一般の方でも楽しめる花火を多数取りそろえています。
花火といえば夏のイメージですが、冬は空気が澄んでいるため夏とは違った洗錬さを感じることができるのもまた一興です。
花火はゴジラに向けて撃つよりも、夜空を彩っている方がやはり似合いますね。
もし花火を打ち上げるときは深夜などの時間帯は避け、安全を確保して楽しみましょう。
松木商店は年中いつでも営業中ですので、気になった方はぜひ足を運んでみてくださいね。
松木商店
営業時間
[5月~9月]9:00~17:00/定休日 なし
[7~8月] 9:00~20:00/定休日 なし
[10月~11月、1月~4月]9:00~17:00/火・金定休
[12月]9:00~17:00/1日~29日まで無休
住所 〒111-0051
東京都台東区蔵前2-4-3 永谷ビル1F
TEL 03-3851-2689
FAX 同上
▼ホームページはこちら
おまけの撮影風景
今回のゴジラなら花火でも倒せたかもしれません。
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