サステナブルな蔵前を知ってほしい。「下町そぞろめぐり」にかける主催者の想い
東京・下町のブルックリンなどと称され、おしゃれなお店も多い蔵前。
このまちで、地球環境にやさしいサステナブルな取り組みがされていることをご存じですか?
その名も「KURAMAEモデル」。
「地域で取り組む、持続可能な循環を」を合言葉に、蔵前の小さな焙煎処「縁の木」代表・白羽玲子さんが実現されたアップサイクルの原材料創出モデルです。
\白羽さんのことやKURAMAEモデルについての取材記事はこちら/
▼福祉作業所の仕事に多様性を。アップサイクルで街づくりに挑む蔵前の自家焙煎店「縁の木」
そして2022年10月1日よりスタートした「下町そぞろめぐり」は、“KURAMAEモデルのコンセプトを地域の方と共有したい” という白羽さんの想いから企画されたスタンプラリーイベントです。
なぜスタンプラリーなのか、企画にはどのような想いが込められているのか。
今回は、下町そぞろめぐりの主催者・縁の木代表の白羽さんにお話をお伺いしました。
\スタンプラリーのレポート記事はこちら/
▼蔵前のサステナブルなスタンプラリー「下町そぞろめぐり」実施レポート!
スタンプラリーを企画した理由とは
――スタンプラリーを企画した理由はなんですか?
「サステナブルは目に見えないので、それをわかる形にしたい」。そう考えて企画したのが、今回のスタンプラリーです。
蔵前商店街にはサステナブルなお店がたくさんあります。でもそのお店がどのようなサステナブルに取り組んでいるのか、果たして本当にサステナブルと言えるのかまでは、見た目には分かりづらいのです。
そこで、スタンプラリーを通して楽しみながら蔵前のまちのサステナブルをご紹介できたらいいなと考えたのです。
私自身、蔵前に住んで蔵前のまちを知るようになってから、このまちには魅力的なお店が多くあることを知りました。しかしまちの中にあるのはお店だけとは限りません。
お寺や教会、企業や薬局など。地元の信金(信用金庫)さんにもサステナブルな取り組みをされているところがあります。
そんな風に、普段はなかなか関わることのできないスポットにも、スタンプラリーという「理由」があれば気軽に足を運ぶことができます。
スタンプラリーを通して、主に地域の方にこれまで知らなかった “蔵前の良さ” を発掘してほしい。そして、蔵前地域全体の “サステナブル” を実際に見て、知ってほしい。そんな想いが今回の企画に込められています。
――今回のスタンプラリーは、子どもだけでも取り組めるように工夫されたのだとか?
そうなんです。まず、子どもたちがコロナ禍の約3年間、密の回避や個食で、直接的なコミュニケーションの機会を失ってきたことがあります。彼らに地域を知り、楽しみながら普段は交流しない地域の店やスポットと交流してほしいと考えました。
それともう一つは単純な理由で、大人向けに作ってしまうと子どもだけで回れるとは限りませんが、子ども向けに設計すれば大人でも楽しめると思ったからです。
サステナブルやウェルビーイングを掲げているのに、“誰でも楽しめる” が実現できていないのはちょっと違うかな、と感じました。
スマホを持たない子どもであっても、冊子を手にして、分からないことがあれば周囲の人に聞ける “ほんの少しの勇気” を持てば、特に難しい条件はなくスタンプを全制覇できる。そんな企画になるように意識して設計しました。
KURAMAEモデルと下町そぞろめぐり
――今回のスタンプラリーは、KURAMAEモデルとの共通点はあるのでしょうか?
スタンプラリーを企画した背景には「KURAMAEモデルのコンセプトを地域の方と共有したい」という想いがありました。
KURAMAEモデルの取り組みは、主に蔵前地域の事業者と福祉事業所の間で循環しています。ですので、今のところは地域の方がKURAMAEモデルに関わるとすれば、KURAMAEモデルから生まれた商品を「買っていただく、使っていただく」ぐらいしかありませんでした。
どうしても、お店と企業と福祉事業所の関わりが強くなってしまうんですね。
今のままでは、せっかくサステナブルなプロジェクトが動いていても、「蔵前ってこんなすてきなまちなんだよ」と自分ごとで話せる人は多くはないかもしれません。
個人の方が「自分も関わってるよ」とか、KURAMAEモデルのことを「知ってるよ、説明できるよ」と言えるためにはどうしたら良いか?
そう考えたときに、やはりまずは “知る機会” を作ることが大切なのではと思い、スタンプラリーを企画しました。
具体的には “蔵前のまちを歩いてみること”、そのものが地域と個人とのつながりになり、知るきっかけになるかと思います。
実際にKURAMAEモデルで資源を回収させてもらっているお店や、コンポストマシンを置かせていただいているお寺にもスタンプを設置していただいておりますので、ぜひ探してみてください。
中には普段は足を運びづらいような施設もありますので、そうした場所にもぜひ実際に行って、見て、お話しして、知ってもらえたら、より身近に感じてもらえるかと思います。
スタンプラリー参加事業者の特徴
――今回のスタンプラリーに参加されている事業者はどのような方なのでしょう?
今回の企画のコンセプトは「サステナブルな蔵前を知ってもらうこと」なので、参加事業者がSDGsやウェルビーイングの基準を満たしているかどうかを図るために “チェックリスト” を作成しました。
全18項目の中から10点以上を獲得することが参加の条件です。
ですので「地球にも地域にも優しいこと」を宣言できる、さまざまなスポットが集まっているといえます。
有志の中小企業診断士の方10名にご協力いただき、参加事業者のチェック項目が基準を満たしているかをヒアリングしてくださいました。第3者の目で冊子内に各スポットの特徴をSDGsやウェルビーイングの視点から原稿としてまとめていただく作業もお願いしました。
診断士さんが街を回って直接ヒアリングしていただけたので、「身内」にはない視点も発見でき、彼らのおかげでチェックリストを見直した事業者さんもいました。今回とても助けられました。
それからもうひとつ、このスタンプラリーの特徴として、営利団体・非営利団体問わず、いろんな事業者や施設が参加しているというのが挙げられます。
今回参加してくださった事業者は、お店の利益のためだけではなく、地域とのつながりを重視している温かい方々です。ぜひお店の人といろんな話をしてみていただけたらなと思います。
スタンプラリーを通して参加者に感じてほしいことは
――最後に、スタンプラリーの参加者に向けてひとことお願いします。
まずは地元の人や、“蔵前が好き、もっと知りたい” という人にこそ参加してほしいなと思います。ぜひスタンプラリーを楽しみながら、蔵前のサステナブルに触れてみてください。
そして、「これがなかったら入らなかった!」というようなスポットにも足を運んでほしいなと思います。
KURAMAEモデルでお世話になっている真行院さんには、たい肥づくりに使うコンポストマシンが設置されていますので、そちらもぜひお話を聞いてみてほしいです。
そして今回、スタンプラリー以外に点在型のマルシェも企画中です。そちらの情報はTwitterやnote、公式サイトにて随時発信していきますので、よろしければフォローをお願いします。
――白羽さん、本日はありがとうございました。
さいごに
KURAMAEモデルの取り組みを地域の方にも知ってもらいたい。そんな想いから企画されたスタンプラリーですが、その背景には白羽さんの「人とのつながりを大事にしたい」という強い想いが込められているのが、今回のお話からひしひしと伝わりました。
「地域で取り組む、持続可能な循環を」。
人と人をつなぐ、蔵前地域の “縁” を、あなたも感じてみてはいかがでしょうか。