福岡|大楠のレトロなアパートで出合う、奥深きコーヒーの世界。「za tembo」で自分好みの1杯を見つけてみませんか?
今回ご紹介するのは、このあさだ荘の1階に店を構える「za tembo(ヅァ・テンボ)」。ちょっと分かりにくい出入り口をくぐれば、そこには日常の喧騒を忘れさせてくれる、妙に落ち着く空間が広がっています。ただのカフェと侮るなかれ、ここは店主自らがこだわり抜いて焙煎する、自家焙煎珈琲のお店です。今回はお店の魅力とともに、筆者が実際に体験したユニークなコーヒーワークショップの模様をたっぷりとお届けします。
日常を忘れるレトロ空間。温もり溢れるza temboの魅力
西鉄高宮駅から歩くこと約6分。マンションなどの住宅が立ち並ぶなか、切り取ったように、ふっと昭和の時代へタイムスリップしたかのような空間が現れます。その名も「あさだ荘」。
築60年を数える2階建ての木造アパートです。現在は魅力的な飲食店や雑貨屋、美容室などが集まる隠れた人気スポットとなっています。

za temboの中へ一歩足を踏み入れると、昔ながらのアパートの風情がそのまま残された内装に、思わずホッと肩の力が抜けます。どこか懐かしく、温かみのある店内は、一人で静かに過ごすのにも、大切な誰かと語らうのにもぴったりの居心地の良さです。

この空間をさらに彩っているのが、店内のあちこちにディスプレイされた象のオブジェやぬいぐるみたち。
実は、店名になっているza temboとは、スワヒリ語で“象”を意味する言葉なのだそう。驚くべきことに、これらの象たちは、すべてお店を愛するお客さまたちが持参してくれたものとか。
店主とお客さまとの温かい絆が、お店のインテリアからも伝わってきます。

もともとは出張カフェや間借りカフェとして活動していたそうですが、このあさだ荘に店舗をオープンさせたのは2024年3月のこと。
実店舗ができた現在も、原点である出張カフェの活動は続けられており、店主の活動的なスケジュールは、お店の前に掲出されている掲示板や、公式Instagramから確認することができます。店内でゆっくり過ごすのはもちろん、お出かけ先でふと出会えるかもしれない、そんなワクワク感もこのお店の大きな魅力です。
店主こだわりの3つの味わい。あなたに寄り添う自慢の自家焙煎珈琲
za temboの主役は、なんといっても店主が自ら焙煎を行う、自慢の自家焙煎珈琲です。定番として用意されている珈琲は3種類。それぞれ異なる表情を持っており、その日の気分や好みに合わせて選ぶことができます。

あっさりさん(中煎り)/ 550円 口に含んだ瞬間に広がる、心地よい酸味が特徴です。朝の目覚めの1杯や、リフレッシュしたいときにおすすめ。軽やかで爽やかな味わいです。
コク甘さん(中深煎り)/ 550円 お店の圧倒的人気ナンバーワンメニュー。しっかりとしたコクがありながら、飲み込んだ後にふんわりと残る甘い香りがたまりません。
Decaf(デカフェ)/ 600円 98.7%という高い確率でカフェインをカットしていながら、驚くほどしっかりとした“コーヒー本来の味”を楽しめます。カフェインを控えたい夕方以降や、妊婦さんにも嬉しい1杯です。

店内ではこれらの珈琲を美味しいおやつとともにイートインで楽しめるほか、自家焙煎の珈琲豆や、お店お手製の焼き菓子をテイクアウトすることも可能です。おうちでのティータイム用に、あるいは大切な人へのちょっとしたギフトとしても喜ばれること間違いありません。

「お店の定番珈琲はだいたいこの3種類ですが、日々、焙煎やブレンドに関しては研究中です。季節はもちろん、湿度によっても変わってくるし、まだまだ自分の“これだ!”には出会えていません。だからこそ自家焙煎は、難しくもあり、面白くもあるのですが」と店主の田原迫留美さん。筆者にとっては、今のままでも十分すぎるほどまろやかでおいしい一杯なのですが、彼女の妥協のない熱意に触れ、胸がすっと熱くなるのを感じました。田原迫さんがいつか辿り着く“これだ!”の味を、楽しみに待ち続けたいと思います。
知識を得ればコーヒーはもっと楽しい! 笑いと驚きに満ちたワークショップ体験記
za temboでは、不定期で趣向を凝らしたブランチの提供やワイン会など、さまざまな楽しい催しが開催されています。今回は、筆者も以前から興味をもっていた“コーヒーワークショップ”に参加してきました。

一般的なコーヒーのワークショップといえば、ドリップ方法などの「美味しい淹れ方」を学ぶものが多いですが、こちらのワークショップは一味違います。なんと「コーヒー豆の正体を知る」という、いかにも本質的な内容なのです。知っているようで実は知らない豆のことやその背景、精製方法による味の違い、そして実際に飲み比べる実践的なものまで、目から鱗の情報が盛りだくさんでした。

セミナーというと少し身構えてしまうかもしれませんが、始終笑いが絶えず、質問が飛び交うカジュアルな雰囲気でした。さらに嬉しかったのが、参加特典として自家焙煎の珈琲豆のお土産がつくこと。そして、このワークショップのためだけに用意された“スペシャルおやつ”が食べられることです。

参加した日の福岡は、最高気温38度を記録する日本一の猛暑日。そんな暑さを癒やしてくれたのが、スペシャルおやつの“スモモのパフェ”でした。手作りのサクサクのクッキー、甘酸っぱいスモモの実と自家製ジャム、そしてツルンとした食感のコロンビア珈琲ゼリーや冷たいアイスクリームが贅沢に層を成しています。甘さ控えめであっさりとした味わいは、猛暑の体にじんわりと染み渡るおいしさでした。

この日集まった参加者は、筆者を含めて5名。
全員がお店の居心地の良さに惹かれた常連さんたちでした。
中には「自ら積極的にカフェ活をしている」という熱心な男性や、「一から自分で焙煎できるようになりたい!」とやる気満々の女性の姿もあり、刺激的な時間を共有することができました。
田原迫さんがこのワークショップを始めようと思ったのは、「カフェや自家焙煎店も多い福岡だからこそ、知識があれば年間を通じて、自分の好みに合わせてコーヒー豆を選ぶことができます。そうなると毎日の暮らしがより楽しくなりますよ」という思いから。
珈琲をちゃんと知れば知るほど底なし沼のように奥深い世界だからこそ、その一歩をナビゲートしてくれる店主の存在がとても心強く感じられました。
まとめ
今回、za temboを訪れて強く感じたのは、コーヒーは単に飲むだけでなく、その背景を知ることで日常を何倍も豊かにしてくれるツールだということです。
昭和レトロな「あさだ荘」のノスタルジックな空気感、店主がていねいに命を吹き込む自家焙煎珈琲、そして集まる人々の熱量。これらが混ざり合うこの場所は、単に喉を潤すカフェではなく、コーヒーの奥深い魅力へと誘う案内所のようでした。
まるで秘密基地のような扉を開けて、店主自慢の一杯を味わう。そんなお気に入りのカフェでの体験から、さらに一歩先へ。 いつか自分の好みに合わせて豆を選び、自宅でブレンドを楽しめる日を夢見て、筆者の“コーヒー修行”はここから始まりそうです。
za tembo
住所:福岡市南区大楠3-7-26 あさだ荘1号室
営業時間:12:00〜18:00ぐらい
定休日:月曜(出張カフェ、仕込みがある日)
※詳しくは公式Instagramでお知らせ
アクセス:西鉄高宮駅から徒歩6分

名原 和見
ライター

