【福岡・英彦山】暑い夏こそ、涼を探しに。夫婦で楽しむ霊峰の山旅

35℃を超える夏。涼を求めて英彦山へ

梅雨が明けた福岡では、連日厳しい暑さが続いています。
日中のお出かけは、少し控えたくなるような暑さです。

「今日は暑いから、買い物だけして家でゆっくり過ごそうか。」
となってしまう日も少なくありません。

そんな中、夫と
「涼しい場所なら、午前中から出かけられるかもしれない」
と話していました。

そこで今回は、福岡市から車で約1時間半の英彦山へ、夫婦で出かけることにしました。

福岡県添田町と大分県中津市にまたがる英彦山は、標高1,199mの霊峰。
「日本三大修験道」の一つとして、古くから信仰を集めてきました。

今回は、山登りではなく、涼を求める旅。
標高600mにある花駅から、英彦山スロープカーを利用することにしました。

標高600mから始まる、7分間の天空散歩

英彦山へ向かうにつれて、高い建物が減り、田んぼや畑、そして緑が少しずつ増えていきます。
普段の生活とは違う景色の中を走るだけで、気持ちも少しずつ旅へと切り替わっていきました。

「スロープカーって、どんな感じなんだろうね」
と話をしながら、花駅を目指します。

前日に公式LINEに登録すると、乗車料金が100円安くなることを知りました。

標高600mの花駅に到着し、車を降りた瞬間、
「あれ?なんか涼しい気がする」
思わず、そんな言葉が口からこぼれました。

その日の福岡市の最高気温は35.8℃。
暑さを避けるために訪れた英彦山で、早くも涼しさを感じました。

券売機の前にはスタッフの方が待機しており、公式LINEの画面を見せると、往復700円のところ、団体料金と同じ600円に割引してもらえました。

乗り場の2階へ上がると、朱色のかわいらしいスロープカーが、ゆっくりと下りてきます。

車両の前面や側面には大きな窓があり、英彦山の植物や周囲の景色を楽しめます。

午前10時40分発の便には、私たちを含めて8人ほどが乗車していました。
車内はゆったりとしていて、窓の外には緑の木々が広がり、遠くには山々も見えます。

少し枯れかけた紫陽花が目に入ると、
「梅雨の時期だったら、とてもきれいだっただろうね」
と話しました。

景色を眺めながらゆっくりと山を上っていると、7分間があっという間。
終点の神駅に到着しました。

英彦山スロープカー(花駅)
住所:福岡県田川郡添田町大字英彦山1487
運行時間:8時40分~17時10分(花駅発の最終は16時40分)/20分間隔で運行
料金:花駅~神駅(英彦山神宮)往復700円・片道350円(大人)
電話:0947-85-0375
アクセス:福岡市内から車で約1時間30分、駐車場あり

霊峰で感じる、涼と祈りの時間

神駅から英彦山神宮奉幣殿までは、エレベーターを利用して向かうことができます。

私たちは神駅から、階段を歩いて向かうことにしました。

「もう少しで着くかな」と思っても、なかなか階段が終わりません。
「登山でここまで登る人って、本当にすごい。尊敬する」
そう言いながら、一歩一歩、階段を上っていきます。

涼しい山の空気を感じながらも、次第に息が上がってきました。
それでも、上りきったときには思わず達成感を覚えました。

一息ついて目の前に現れたのは、歴史を感じさせる立派な木造建築、英彦山神宮奉幣殿です。

参拝の前に、手水舎へ向かいました。

水に触れてみると、ひんやりとした冷たさが手に伝わってきます。

境内には、登山の格好をした人たちの姿もあります。ここからさらに長い登山道が続いているのだと思うと、その健脚ぶりに感心しました。

夫婦で並んで参拝しました。

正面に吊るされた大きな鈴が印象に残りました。

境内の奥に目を向けると、たくさんの幟がたなびく階段が見えます。

今回は無理をせず、近くにある下津宮まで足を延ばしてみました。

下津宮へ向かうと、そこにはたくさんの天狗の置物が並んでいます。

参拝を終え、御朱印をいただこうとすると、かわいらしい天狗のおみくじも見つけました。

境内のあちこちで天狗の姿を見かけると、英彦山が修験道の霊場として親しまれてきたことを、少し身近に感じられます。

奉幣殿へ戻ると、境内には鯉が泳ぐ池や小さな滝がありました。

池の中には金色のカメのオブジェもありました。

滝のそばには「天ノ水分神(あめのみくまりのかみ)」と呼ばれる龍神様が祀られています。

案内板には、修験行者が入峰の際に水筒へ入れ、近年では不老長寿の御神水として親しまれている霊水と紹介されていました。

龍神の口から流れる水にそっと触れてみると、その冷たさに思わず驚きます。まるで氷水のような冷たさです。

「これは、山に入る人にとって、とても大切な水だったんだろうね。」
そんな話をしながら、水の流れを眺めました。

澄んだ山の空気と冷たい御神水に触れていると、暑さを忘れるだけでなく、心まで洗い流されるような穏やかな気持ちになりました。

御朱印は、祈願受付所にある押しブザーで受付の方を呼んでいただき、書き置きのものをいただきました。

お守りなどを授与している建物には、「第8回 英彦山参道駆け上がり大会」のポスターが掲示されていました。

2026年の開催日は8月11日(火・祝)。

神宮までの階段を上るだけでも息が上がった私たち。
「あの階段を走って駆け上がるなんて、本当に尊敬するね。」
夫と顔を見合わせながら、参加者の体力に驚きました。

英彦山は、登山を楽しむ人はもちろん、スロープカーを利用して参拝や自然を満喫する人など、それぞれのスタイルで過ごせる山です。

「今日は無理をせず、山の空気を楽しもう。」
そんな気持ちで、神駅を後にしました。

英彦山神宮
住所:福岡県田川郡添田町英彦山1
参拝時間:境内参拝は自由/社務所・授与所の受付は9時~17時頃
アクセス:英彦山スロープカー神駅からエレベーターですぐ

旧英彦山小学校で見つけた、地域の新しい風景

午前11時30分発のスロープカーに乗り、花駅へ戻ります。

到着駅の花駅は、かつて英彦山小学校として使われていた場所を活用し、お土産などを購入できるエリアになっています。

スロープカーの車内でも紹介されていたため、そのまま旧校舎へ向かいました。

「添田英彦商店」には、飲み物や食べ物、お酒、小物類、植物など、さまざまな商品が並んでいます。

私が選んだのは、冷たくて美味しそうなサイダーと、とうがらし入りのもろみ。

店員さんに食べ方を尋ねると、
「今の時期は、きゅうりと一緒に食べるのも美味しいですよ」
と教えてくださいました。

地元の方ならではのおすすめを聞けるのも、旅先での楽しみです。

旧校舎には、お店だけではなく、昆虫展示室や待合室、英彦山小学校の思い出を紹介するスペースもありました。

かつて子どもたちが通った校舎が、今は新しい形で地域の人や訪れる人を迎える場所として活用されていることを知り、温かい気持ちになりました。

山の恵みを味わう、英彦山グルメ

花駅を後にし、お昼を過ぎた頃には二人ともお腹がペコペコです。

近くで昼食をいただける場所を探し、気になっていた「食堂 駒どり」へ向かいました。

こちらでは鯉料理ややまめ料理が味わえます。

入口には元気に泳ぐやまめの生け簀があり、食事への期待も高まります。

今回は、夫が「やまめ松定食」、私は「鯉定食」を注文しました。

初めていただくやまめのお刺身は、レモンをかけると爽やかな風味が広がります。

「鯉定食」で楽しみにしていた鯉のあらいは、コリコリとした食感が印象的。
酢味噌や柚子ごしょう、お醤油など、さまざまな味付けで変化を楽しめました。

どちらの定食にも付いている鯉こくは、コクのある味噌汁のような味わいです。

そして、やまめの塩焼きは絶妙な塩加減。新鮮なやまめ本来のおいしさを、味わうことができました。

さらに、プラス150円で、やまめのお刺身の骨の部分を唐揚げにしていただきました。
カリッとした食感がたまらず、気付けばあっという間に食べ終わっていました。

英彦山の山の恵みを味わえる「食堂 駒どり」。
満足感いっぱいでお店を後にしました。

食堂 駒どり
住所:福岡県田川郡添田町大字落合804(JR彦山駅前)
営業時間:11時~19時
定休日:水曜日
電話:0947-85-0745

駐車場へ歩いて戻っている途中、気になる赤い看板が目に入ります。

「とりもも炭火焼 とり八」

土曜・日曜・祝日のみ営業しているという看板には、「とりのモモ焼き600円」の文字。店員さんが炭火で鶏肉を焼いて、辺りには香ばしい匂いが漂っています。

「お土産に一つ買おうか」
夫婦で即決しました。

旅先で偶然見つけたお店や、その土地ならではの味との出会いも、旅の楽しみの一つです。

道の駅「歓遊舎ひこさん」でお土産探し

帰り道には、行きの道中で気になっていた道の駅「歓遊舎ひこさん」に立ち寄りました。

大きな看板の上には、真っ赤な天狗のオブジェが飾られています。

館内には、先ほど訪れた花駅の「添田英彦商店」もあり、旅の途中で再び出会えたようで嬉しくなりました。

午後1時を過ぎていましたが、野菜売り場ではすでに売り切れている商品もあり、人気の高さがうかがえます。

私たちは、手作りこんにゃくやそうめん蒟蒻、卵など、地元ならではの商品をお土産に選びました。

買い物を終えると、購入者特典として「水コイン引換券」がもらえることを知りました。

物産館で1,000円以上買い物をすると、英彦山の山霊の水をいただけるそうです。

「家の近くだったら、ぜひいただきたいね」
そう話しながら、英彦山で出会った山の恵みを思い浮かべ、駐車場を後にしました。

道の駅 歓遊舎ひこさん
住所:福岡県田川郡添田町野田1113-1
営業時間:9時~18時
定休日:12月31日~1月1日、2月第1木曜日・金曜日
電話:0947-47-7039
駐車場:100台以上(EV充電スタンド2台あり)

暑い夏だからこそ出かけたい、英彦山の日帰り旅

35℃を超える日が続くと、どうしても外へ出かけることをためらってしまいます。

それでも、涼しい場所へ少し足を延ばすだけで、いつもとは違う景色や空気、おいしい食との出会いが待っていました。

暑さが厳しい日は、涼を求めて英彦山へ足を運んでみてはいかがでしょうか。

山登りをしなくても、スロープカーを利用すれば、自然や歴史、山の恵みをゆっくり楽しめます。

「また次は、どこへ行こうか。」
そんな話をしながら帰った、夏の夫婦の日帰り旅。

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みぎやま かなこ

旅と地域のライター

沖縄県出身。小学校教員として約22年間働いた後、夫の転勤をきっかけに福岡へ移住しました。 現在は、福岡での暮らしや旅を楽しみながら、地域の魅力や人の想いを伝えるライターとして活動しています。 これまで訪れた場所で出会った人や風景、心に残った言葉をきっかけに、その土地ならではの魅力を見つけることが好きです。 読者が読み終えたときに、「行ってみたい」「誰かに教えたい」と思えるような、地域との新しい出会いをつくる文章を届けていきたいと思っています。
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