【谷中霊園に眠る渋沢栄一】大谷翔平も愛読!今こそ読みたい『論語と算盤』
皆さんこんにちは!北海道へ引っ越したよしたにです。
大変遅くなりましたが、今年もよろしくお願いいたします。
インターネットやSNSが発達して紙の本を読む機会は減っていますが、情報があふれる時代に何を信じれば良いのか、わからなくなることもありますよね。
そんな今こそ、先人が残した本を開いてみませんか?
今回は台東区の谷中霊園に眠る渋沢栄一の名著、『論語と算盤』についてお伝えします。
ぜひ最後までお読みください。
渋沢栄一って誰?
渋沢栄一は江戸時代後期から昭和にかけて活躍した、日本を代表する実業家です。
みずほ銀行やJR東日本など、私たちが日常的に利用する企業を数多く設立して、日本の資本経済の基礎を築きました。
2021年の大河ドラマ「青天を衝け」では、吉沢亮さんが渋沢を演じて話題となりましたね。
まずは、そんな渋沢栄一についてごく簡単にまとめていきます。
渋沢は埼玉県深谷市の豪農一家に生まれ、当時若者に浸透していた尊皇攘夷思想に影響を受けつつも、紆余曲折を経て面識のあった平岡円四郎を頼って一橋家に入りました。
当時の一橋家当主が、後に15代将軍となる徳川慶喜。
渋沢は初めて謁見した時から慶喜に意見を述べるなど、信頼関係を築きました。
その後パリ万博施設団の一員として慶喜の弟昭武に随行し、航路でフランスへ。
渋沢は欧米の技術や経済を学び、その経験が後に実業家として活動する基礎となりました。
帰国した頃には明治政府が誕生しており、渋沢は新政府に招かれます。
最初は固辞しましたが、大隈重信の説得もあって大蔵省(現在の財務省)に赴任して八面六臂の活躍を見せました。
退官後は会社の設立や教育活動、商工会議所の創設などに奔走し、亡くなった後は台東区の谷中霊園に埋葬されています。
『論語と算盤』ってどんな本?
『論語と算盤』は非常に簡潔に言うと、渋沢の「商業道徳」に関する主張をまとめた本です。
江戸時代には「士農工商」という身分制度があり、商人は決して位が高い存在ではありませんでした。
これだけ身分が低かったのには、「金儲けをするなんて卑しいことで、商人は自分たちだけでは何もできない連中だ」という当時の考え方が大きく影響しています。
渋沢は商人が十分な道徳教育を受けることなく家業を継ぎ、「自分さえ儲かれば良い」といった利己主義に陥ることや、諸外国に比べて日本の商人の倫理観が乏しいことを憂いていました。
商業にこそ道徳が必要であり、商人同士が助け合えばみんなが幸せになれるのではないか。
渋沢はそのように考え、商業道徳の根本に「論語」を据えた本を著したのです。
私たちが働く中で生じる悩みに、彼の言葉はスッと寄り添ってくれます。
「志や意志がかたければ、相手が金持ちや権力者でも屈することはない」。
「青年時代に身につけた悪い習慣でさえ、老後の今日になって努力すれば改められる」。
わかっているつもりでも、グサっとくる言葉たちですね。
商業だけでなく一般道徳にも通ずる本書は、現代では当たり前となっている価値観を100年以上前から提唱していた渋沢の先見の明と、本質を見抜く力を証明した本とも言えます。
プロ野球選手を支える『論語と算盤』
2023年3月に行われる野球の世界大会、WBCで侍ジャパンを率いる栗山英樹監督。
彼は『論語と算盤』の愛読者の一人です。
本書には「すぐに結果が出なくても、今は機が熟していないだけ。諦めずに忍耐強く進めなさい」という趣旨の主張が登場します。
渋沢が発したこの言葉は、当時率いていた北海道日本ハムファイターズが低迷して悩んでいた栗山監督を励まし、さらには教え子の一人である大谷翔平選手にも影響を与えました。
大谷選手といえばメジャーリーグで全世界が驚くような大活躍を見せ、今や日本人を代表するような存在ですよね。
栗山監督は大谷選手がプロ1年目を終えた際、『論語と算盤』を手渡しました。
大谷選手は「難しい本だ」と感じつつも、自身の目標に近づくための発想を図式化する「マンダラート」に「論語と算盤を読む」と書き足したのだそうです。
『論語と算盤』とプロ野球は一見離れているように見えますが、職業が何であれ、一人の人間として大切にするべきことが本書にはたくさん書かれています。
大谷選手が野球の実力だけでなく人間力や人柄で周囲から尊敬されるのには、本書の考え方も影響しているのかもしれませんね。
まとめ
『論語と算盤』についてお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
実は私も昨年本書の現代訳版を購入し、読んでみました。
今の価値観と照らし合わせると同意しかねる部分もありますが、渋沢の聡明さには改めて驚かされます。
新書サイズで持ち運びやすいため、移動時の読書にも最適です。
SNSの誹謗中傷からウクライナ問題や新型コロナウイルスに至るまで、私たちの周りには数多くの困難があります。
人間としてどう生きたいかは人それぞれだと思いますが、そのヒントになる一冊として、本書は私からも強くおすすめできる本です。
気になった方はぜひ、本屋さんで探してみてください。
そして、谷中霊園へのお参りもお忘れなく。