取材|美味しいもヘルシーも叶える欲張りイタリアン。高コスパのパスタランチに詰まったこだわりと工夫を堪能「elephant75」
銀座などのイタリアンレストランで経験を積んだシェフが、入谷にパスタ屋さんをニューオープンしたのをご存じでしょうか。
油っこいイメージのあるイタリアンも、彼の手にかかれば美味かつ健康的な料理に大変身。
そんなイタリアンが手ごろな価格で楽しめるとあって、オープン一か月足らずですでに近所の人たちに愛されています。
そんな注目のお店「elephant75」の店長さんにお話を伺いました。
様々な店で経験を積んだ店長が生み出すイタリアン
「このお店はいつオープンしたのですか。」
2023年の7月23日にオープンしました。
「入谷でお店を開くことになったのはなぜですか。」
以前このお店はサンドイッチ屋さんだったのですが、内装がとてもきれいだったんです。今まで働いていた銀座や渋谷とは雰囲気が違いますが、入谷は下町で人も優しいですね。人情味があるというか。今はここでお店を開いてよかったと思っています。
「店長さんはもともと料理人になりたいと思っていたのですか。」
私は中国出身なのですが、来日したときは料理の道に進もうとは全く考えていなかったんです。日本で通った専門学校や大学では、料理とは関係ない分野を学んでいましたし。
「そうだったんですね。ではきっかけはあったのですか。」
知人と喫茶店を経営していたのですが、喫茶店で出す料理は既製品を使うことが多くて。手作りのものを出したいと思うようになり、料理に本格的に興味を持ち始めました。色々な飲食店で働いて、多いときは5,6個掛け持ちしていましたね。
老人ホームの厨房で働いていたときは料理長が和食の職人だったので和食にも触れてきましたが、基本的にはイタリアンのお店を中心に働いていました。その中のひとつに、野菜を中心にしたメニューを出すイタリアンレストランがあって。そこで、野菜って美味しいんだ、お肉にも負けてないな、と気付いたんですね。そこで野菜が好きになったんです。その経験があって、自分でお店を出すときはパスタとサラダをメインにしたお店にしようと決めました。
それと、オーガニック製品の会社で働いていたとき、その社長が「食から社会貢献をしたい」と言って、サラダのお店を作ったりしていたんです。野菜が好きになったのはその影響も大きいですね。社会貢献とは寄付だけを指すのではない。美味しくて健康的な料理を作ることでも社会貢献ができるんだと思いました。その経験も今のお店に活きていますね。
手ごろな価格でも使う食材には妥協なし。素材を活かす料理
「料理に使う食材にとてもこだわっていらっしゃいますよね。」
そうですね。例えば今回ペペロンチーノに使ったしらすは生のしらすです。野菜に関しては、農家の方とインターネットでやり取りして直接仕入れています。それから、冷凍野菜は一切使わず、全て生の野菜を使っています。例えば以前は無農薬の赤いオクラを仕入れてパスタに使用しました。生で食べても甘くて美味しいんです。旬の野菜を使うことを意識しています。
「そうなんですね。それから、このお店では「自家製」にとてもこだわっていますよね。」
そうですね。サラダのドレッシングなども手作りです。やはり自家製だと添加物などを入れる必要もないですし、この店だけの味、オリジナリティが出せますからね。
「他に自家製のものはありますか。」
パンチェッタなども手作りです。マリネして、乾燥させて…と仕込むのに一週間ほどかかるんですよ。でも手間をかけると、調理法によって普通のお肉でもぐんと美味しくなるんです。そのことを皆さんに知っていただきたいですね。
美味しいものを生み出すために手間ひまを惜しまない。そんな店長の美味しさとヘルシーさへのこだわりが詰まったパスタセットをさっそくいただきたいと思います!
こだわりが凝縮されたパスタセットを堪能
このお店のパスタセットは、ボロネーゼなどの定番メニューのほかに、毎週変わる「週替わりのパスタ」も選ぶことができます。私がいただいたのは週替わりのパスタのランチセットです。それがこちら!
パスタ、サラダ、フォカッチャ、ドリンクのセットになっています。カラフルな見た目に、思わず声をあげてしまいました。
まずはなんとも色鮮やかなこちらのサラダ。紅大根のピクルス、ラディッシュ、バターナッツかぼちゃなどが入っていて目にも鮮やか。「野菜は生で食べるのが一番好き」という店長さんが選んだ野菜の様々な食感が味わえます。
「今回の自家製ドレッシングはワインビネガー、アンチョビ、オリーブオイル、生クリーム、牛乳などを使っています。以前はフレンチドレッシングをベースにパイナップルを加えたドレッシングを作ったこともありますよ。」
と店長さん。コクのあるドレッシングが野菜の甘さを引き立てています。
こちらがメインのパスタ。私が訪れた週は、「カラフルトマトとしらすのペペロンチーノ」です。赤・黄・緑と3色のカラフルなトマトが可愛らしい。生パスタはもちもち。しらすの塩気とジューシーで甘いトマトのコンビネーションがたまりません。大葉の爽やかさが良いアクセントになっています。そして外側だけでなく、パスタの中にもトマトが隠れているんです!
「中に入っているのはトマトのコンフィ。90℃のオーブンで1時間から2時間じっくり焼いて甘みを出しています。また、外側のミニトマトはバーナーであぶっています。」とのこと。
そして何より驚いたのが、ペペロンチーノなのに全然油っこくないということ。それもそのはず、「実は野菜からとった出汁で味付けをしているんです。野菜と昆布、干しシイタケ、ローリエなどを1時間から2時間煮詰めて作っています。市販のコンソメは使っていません」と店長さん。なるほど、だから複雑な旨味があるのにくどくないんですね!
そして使用しているパスタにもこだわりが。「ペペロンチーノは普通1.4mmの細い麺を使うのですが、こちらは1.5mmの生パスタを使用しています。食感がもちもちですし、味をよく吸うんです。」日本人好みのもちもち食感に仕上がっています。
そして、セットについてくるこのフォカッチャも侮るなかれ。自家製のフォカッチャは外カリカリ、中はもっちり。ずっと食べていたいと思うほど病みつきになる食感と味なんです。「このフォカッチャは強力粉、米粉、全粒粉を使っています。実は作るのに2日かかるんですよ。美味しいパンを作るには、発酵の過程が大事なので。そして焼き上げるときは200℃くらいの高温で焼くのもポイントです。」とのこと。
そして驚いたことに、このパスタセットはディナーでも頼めます!パスタセットはランチ限定のお店が多い中、このお店では夜もこのお得なセットが楽しめるのが嬉しいですね。
五感をフルに使って楽しめる、コスパ抜群お腹も心も大満足のランチでした。
そして店長さんのご厚意で、デザートまでいただくことができました!私が今回いただいたのはチーズテリーヌです。
しっとり滑らかな舌触り。濃厚なチーズテリーヌの隠し味はなんと岩塩。これで味に深みが出るんだとか。こちらのテリーヌも温度を変えて二度焼き上げるなど、手間暇かけて作られています。そのこだわりに脱帽です。
「このお店はお店の前にチラシを置くくらいで、あまり広告をしていないんです。お店に来てくれたお客さんが別の方にこの店のことを教えてくれて、来店してくれています。」口コミで広がっていくなんて、なんとも素敵ですね。
このお店の人気は、料理だけが理由ではありません。店長さんの丁寧な接客と人柄も多くの人を惹きつけています。「儲けることは重視してないですね、それが目的になるとうまく行かないと思うので。それよりも美味しくて健康的な料理を皆さんに食べていただきたいです」と話す店長さん。そんな真摯な姿勢もまた、このお店の魅力となっています。
皆さんも美味しいパスタと野菜を堪能しに、「elephant75」を訪れてみてはいかがでしょうか。
elephant75
住所:東京都台東区下谷3-11-10 長谷川ビル 1F
電話:03-6684-6213
営業時間:
ランチ 11:00~15:00(L.O 14:30)
ディナー 17:00~22:00(L.O 21:00)
定休日:月曜日