9社寺まわってご利益をGET。「浅草名所(などころ)七福神巡り」の歴史探訪レポ⑦今戸神社
浅草で運気を上げるパワースポットである「浅草名所七福神」を巡拝しつつ、歴史の面影を探り、それぞれの見どころを紹介していくこの企画も、ついに7カ所めとなりました。
6カ所めの記事で紹介したのは、浅草寺から徒歩13分ほどと近い「待乳山聖天(まつちやましょうでん)」。
剛健な毘沙門天、聖天様という神様が祀られている反面、物珍しいシンボルがちょっと面白く、時代を経ても変わらぬ篤い信仰と、名所として愛された証があちらこちらに残されていました。
現代ではスカイツリーが映える景勝地としてもぜひ一見する価値はあり。
今回も七福神めぐりの巡拝コースで、待乳山聖天からすぐ近くにある「今戸神社」へ向かいます。
「今戸神社」といえば、ドラマのロケ地や、縁結びの神社として知る人ぞ知る場所。
その所以も後ほど紐解いていきましょう。
さて、隅田川沿いの待乳山聖天入り口に戻り、前回来た道の先を行くと、隅田川からの散歩コースに最適な山谷堀公園と、隅田川と山谷堀が合流するところに架かっていた今戸橋の跡があります。
この辺りはかつて今戸と呼ばれ、江戸時代には、「今戸焼」と呼ばれる焼き物の産地でした。
山谷堀は、江戸時代には、山谷船とも呼ばれた「猪牙舟(ちょきぶね)」でこの水路を通って遊郭の吉原へ遊びに行くことが、贅沢な遊びとして流行したといわれています。
1975年頃から山谷堀はすべて埋め立てられています。
この辺りは奥浅草と呼ばれるエリア。
住宅街の中ですが、ものの数分で「今戸神社」にたどり着きました。
二匹の寄り添う猫、えんむすび、招き猫発祥の地、沖田総司終焉の地…
飛びつく話題が多いですね。
境内にはたくさんの願い事が書かれた絵馬が結ばれています。
そこそこ高い雑居ビルに挟まれ、広さはそれほど大きくはありません。
広くはない敷地に目立つ、偉人の碑。
江戸幕末に新選組として活躍した沖田総司。彼をモデルにしたキャラクターが登場するアニメの影響もあって、ご存じの方も多いですよね。
近藤勇・土方歳三とともに「新選組一番隊組長」として活躍していた沖田は、天才剣士と呼ばれながらも病弱だったため、戦線離脱したまま25歳の若さで亡くなってしまいます。
その儚いイメージから容姿端麗なキャラクターとして小説やアニメ作品に描かれることも多く、たくさんの女性たちから人気を集めています。
結核を患っていた沖田総司は、「今戸神社」境内にあった幕府の医師・松本良順の私邸に収容されたようです。
彼がこの場所で病に臥せっていたとは初めて知りました。
隣には「今戸焼発祥の地」の碑。
「今戸神社」が「招き猫発祥の地」と呼ばれる所以もここにあります。
今戸焼は隅田川のほとりで瓦を焼いたのが始まりで、合間に 七厘・火鉢 などの生活雑器のような 庶民の生活に密着した製品を作っていました。
その一つが「今戸人形」で、力士や動物など様々な人形が作られ、特に招き猫が有名になり「今戸焼」と呼ばれて親しまれたそうです。
一説によれば、この今戸付近に住んでいたある貧しい老婆が、貧困ゆえに泣く泣く飼い猫を手放した際、あるとき夢にその猫が現れて、「自分の姿を人形にすれば必ずや福運を授かる」と老婆に告げたとか。
そして老婆は今戸焼で招き猫を作り、浅草寺の参道で売り出したところ評判になったのが始まりなのだそうです。
幕末には50軒あった今戸焼の生産家も、関東大震災や東京大空襲により職人が次々に区外へ移り、現在は一軒のみ。
区内唯一の職人が、約80種の人形や寺社の縁起物えんぎものの製造販売をおこなっています。
境内には、おしゃれなガーデンチェアのある休憩処も。
まるで、洋風の庭園のようです。
平日の昼間でしたが、次から次へと訪れる女性参拝客が印象的でした。
所せましと出迎えてくれる猫、猫、猫。
さて、猫たちに囲まれながら、参拝を済ませます。
女性たちが次々と参拝していくこの「今戸神社」は、日本の神話で初めて結婚した夫婦の神様「いざなぎのみこと」と「いざなみのみこと」を祀っていて、縁結び、恋愛成就、夫婦円満にご利益があるとして人気です。
神社の住所が「今戸1-5-22(いいご夫婦)」と縁起の良い語呂合わせであることも、ご利益大好きな日本人の血が騒ぎますよね。
また、この「今戸神社」が祀っている七福神は、「矢先稲荷神社」と同じく「福禄寿」。
福禄寿は、福(幸福)、禄(生活・経済の安定)、寿(健康にして長命)の三つの福徳を授ける神とされており、生活全般にご利益があります。
浅草情緒を歌う歌碑が真横に。
社務所も招き猫、縁結びのおみくじが多いですね。
今回も御朱印を戴きました。
福禄寿のスタンプたちと、3年目となる令和の可愛いスタンプ。
ドラマのロケ地や、縁結びの神社として知る人ぞ知る場所である「今戸神社」。
ロマンティックなイメージの反面、若い剣豪が最後まで戦いに参加できず、泣く泣く病に臥せっていた場所としても知られています。
また、今戸焼という、かつてこの裏浅草でたくさん製造されていた焼き物も、今では一軒のみが伝統を受け継いでいることも知りました。
境内には、今戸焼で造られた石造狛犬(台東区有形文化財)も現存しています。
江戸の文化が花咲いた江戸中期、1752年に今戸焼の職人42名が奉納した歴史ある文化財なので、お時間のある方は探してみて下さいね。
さて、「浅草名所七福神」巡拝コースも残り2つとなりました。
次は、「今戸神社」からしばらく歩きますが、また隅田川沿いにある「橋場不動尊」へ向かいたいと思います。
この道の途中には、面白い伝説が残るスポットがいくつかあるので、ぜひ歩きながら訪れてみて下さいね。
今戸神社
住所:東京都台東区今戸1-5-22
時間:9:00~17:00
アクセス:東京メトロ銀座線・地下鉄浅草線など 浅草駅より徒歩15分
公式HP
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