アートとクラフトの境界を揺るがす！陶芸家パク・イェリム個展『しりとり』がCOMPACT41で開幕

「アート」と「クラフト」、この二つの言葉が指す領域について、皆様はどのようなイメージをお持ちでしょうか。東京・上石神井に位置するアートスペースCOMPACT41では、その境界線を心地よく揺さぶるような、注目の個展が開催されます。

本記事では、セラミックアーティスト、パク・イェリム氏による個展『しりとり』について詳しくご紹介します。彼女が織りなす独創的な世界観と、日常の中に潜む遊び心や発見の魅力を、ぜひ本記事を通して感じていただければ幸いです。

陶芸家パク・イェリムが紡ぐ、日常の延長線上にある物語

セラミックアーティストのパク・イェリム氏は、身近なもの、自然、芸術、そして夢といった純粋な興味から生まれるひらめきを、陶という素材を用いて作品へと昇華させています。まるで日記を綴るかのように「収集・記録」されるこのプロセスが、作品の軽やかさや、見る人の心にそっと寄り添う温かさの源泉となっていることでしょう。

展覧会タイトルである『しりとり』は、一つのアイデアが次の作品へと繋がり、そこからまた新たな発想が生まれるという、彼女の制作スタイルを象徴しています。この連鎖が、パク・イェリム氏の豊かな世界観を形作っているのです。

《Stone series》に込められた深遠なる魅力

今回の個展で特に注目したいのは、韓国に古くから伝わる「願いを込めて石を積み重ねる文化」から着想を得たという《Stone series》です。陶芸という素材に「石」という異なる要素を大胆に取り入れることで、新たな表現の可能性を探求されています。

陶器と聞くと、なめらかな曲線や繊細な絵付けを想像される方も多いかもしれません。しかし、パク・イェリム氏の作品はそれだけにとどまりません。石が持つざらざらとした質感や力強さ、そしてプリミティブな形が、陶器と見事に融合しているのが特徴です。

こちらの作品は、動物の頭部のような形状と、ざらざらとした白い質感が印象的です。まるで古代の遺物のような趣がありながらも、現代的な洗練さを感じさせます。

また、別の作品では、ざらついた白い器の中に、ピンク色の木の破片が乗せられています。異素材の組み合わせが、陶器に新たな生命を吹き込んでいるかのようです。素材の特性を深く探求し、彫刻的なフォルムで「クラフトに対する個人的な視点」を表現するという、彼女のアプローチがひしひしと伝わってきますね。

このような抽象的な彫刻作品からは、アートとクラフトという二つの領域を軽やかにつなぎ、工芸的なアプローチで「石」を再解釈しようとする、パク・イェリム氏の挑戦的な試みが理解できることでしょう。

パク・イェリム氏 プロフィール

• 出身: 1997年、韓国生まれ。国民大学校工芸学部陶磁専攻。
• 受賞歴: 2022年、ソウルデザインフェスティバルにて最優秀若手デザイナー賞（Yerimpiece 名義）を受賞。
• コンセプト: 素材性への深い探究を基盤に、彫刻的なオブジェを制作。日常に存在する物のささやかな気配を見つめながら、生活空間にそっと寄り添い、日々の体験と共鳴する小さな喜びを生み出すことを目指されています。
• Instagram: @yerimphis

会場：COMPACT41という特別な空間

今回の個展が開催されるCOMPACT41は、東京都練馬区の緑豊かな住宅街に佇む、隠れ家のようなアートスペースです。向かいには森が広がり、自然との調和を感じさせる静かな環境にあります。

この空間の最もユニークな特徴は、常設されている立体作品『KIOSK』でしょう。「建物の中に建物を建てたい」という大胆な発想から生まれたこのキオスクは、本来屋外にあるべきものが室内にあるという逆説的な存在感が、訪れる人々に強い印象を与えます。

COMPACT41は、現代アートを軸に多様なアーティストの展示やプロジェクトを展開しており、そのコンセプト自体がアートと日常を繋ぐ試みとも言えます。パク・イェリム氏の作品群が、この特別な空間でどのような輝きを放つのか、とても楽しみですね。

会場の雰囲気を感じさせる一枚です。この場所で、どのようなアート体験が待っているのでしょうか。

個展『しりとり』開催概要

パク・イェリム氏が「しりとり」のように連鎖させていく、軽やかで希望に満ちた世界観を、ぜひCOMPACT41で体験してみてはいかがでしょうか。

• 会期: 2025年12月6日(土)〜12月27日(土)
• 時間: 12:00〜17:00
• 休廊日: 日・月・祝日
  • ※臨時休廊の場合もありますので、お出かけ前にはCOMPACT41のInstagramをご確認ください。
• 会場: COMPACT41 (東京都練馬区上石神井4-25-4)
• アクセス: 西武新宿線上石神井駅・武蔵関駅より徒歩10分
• 入場料: 無料
• Webサイト: https://cp41.org/
• Instagram: https://www.instagram.com/compact41_project/

まとめ

本記事では、陶芸家パク・イェリム氏の個展『しりとり』と、その開催地であるCOMPACT41についてご紹介しました。アートとクラフトの境界を軽やかに飛び越える、彼女の独創的な作品群は、鑑賞者に新たな視点と発見をもたらしてくれることでしょう。

この冬、COMPACT41で、パク・イェリム氏の作品が語りかける「しりとり」の物語に触れてみてはいかがでしょうか。きっと、皆様の心にも希望の連鎖が生まれるきっかけになるかもしれません。