【取材】かき氷の原点。絶品いちごミルクかき氷で有名な、上野のマルイ近くにある、四代目大野屋氷室・かき氷ショップ。

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かき氷は、アイスでRでR。
かき氷は、スイーツでRでR。

かき氷は、
アイスだろうか、スイーツだろうか。
いま話題のいちごミルクかき氷を、
超人気店で食べながら考えてみよう。




近頃のかき氷ブーム。僕は、ひとつ疑問に思うことがある。

それは、いまのかき氷は、アイスか、スイーツか、ということだ。

皆さんは、かき氷をどのようにとらえているだろうか。暑さをしのぐためのアイスとみているのか。

見た目のおしゃれ感、美味しさを味わうためと見ているのか。

僕は、悩んでしまった。かき氷は、アイスかスイーツか。

そこのところを感じながら、今年の夏のかき氷を楽しんでほしい。と、突然、上野に、いちごミルクかき氷のカリスマ店がある、という情報が入ってきた。

年々、華やかになっているかき氷界で、いちごミルクかき氷のカリスマ店。とてもシンプルで新鮮だ。かき氷の原点だ。原点にかえる。

僕は、上野行きの電車に飛び乗った。


「四代目大野屋さんは、1945年(昭和20年)に創業された、老舗の氷屋さんということですが。最初は飲食店やBARなどの業務用の氷を販売していたそうですね。それから2017年にかき氷専門店をオープンさせたということですが。きっかけは、なんだったんでしょう。」

2016年に、お祭りのようなイベントにかき氷店として、出店してほしいと頼まれまして。
四代目オーナーは躊躇したのですが。私が、すごくやりたがったので。OKしたんです。
イベント当日、うちのブースの前で、かき氷を食べてくれるお客さまが、子どものようにはしゃいで喜んでくださって。
その日、一日、おひとり様で8杯とかも食べる人なんかもいまして。美味しすぎて、止まらないと言ってくださって。それで私たちのこころが喜んだというか、とても嬉しかったんです。
そのとき来てくださったお客さまから、お店ではやっていないのですか、という問い合わせもけっこうあって。これは本格的に始めよう、となったのが、2017年です。
そして、その後、いまの場所にご縁があって、お店を営業させていただいています。

店内

「4代目大野屋さんの看板である、生氷(なまごおり)はどのようにして生まれたのでしょうか。」

うちは、昔から氷に携わっている者として、伝統、知識、技術というものを代々受け継いでいまして。
その氷を目利きして、かき氷に一番ふさわしいと言われる部分を切りだしている氷を生氷と言います。
ひとつの特徴としては、まぐろに大トロ、中トロ、赤身とあるように。かき氷にも、大トロ、中トロ、赤身という類があると考えていまして。
その部分を目利きして取り出しています。まず氷を見て、触れて、声を聴いて、五感を使って、氷を切り出しているのが特徴です。

「生氷を使うと、どういう美味しさが生まれるのでしょう。」

まず透明感のある味わいに仕上がります。
お口の中に入れたときの口解け感。ふわっ、とろっ、といった口解け感が変わります。
あとは、その氷に合わせて、シロップを作るので、お口の中に入れたときの融合された味がパッと広がる感じになります。

「四代目大野屋さんのベストセラーの、いちごミルクかき氷はどのように生まれたのでしょうか。」

いちごミルクは、私たちはジャムのようないちごではなくて。いちご本来のいちごミルクを食べたいという欲求から、全国のさまざまないちごを取り寄せて、どれが一番、この生氷に最適ないちごか、試行錯誤しまして。
辿り着いたのが、栃木県にある「とちおとめ」でした。そこで出会った上野さんという方が、米ぬかとか、もみがらからの肥料を作っていて。なるべく科学肥料を使わないこだわりを持っている農家さんでして。
その方のいちごが、すごく酸味と甘みのバランスがいいんです。それが、ちょうど生氷で合致したというか。いちごミルクの王道がこれ、というものができたんです。

大野屋のいちごみるく 600円

「いちごミルクかき氷を作ってみようという、発想はどのようにして生まれましたか。」

いちごが大好きで。毎日、いちごミルクのかき氷が食べられたら、どんなに幸せだろうと、考えて。
なんとしても、大野屋のいちごミルクは、これ、というものを作りたいという発想からです。福岡のあまおうとか、いろんな種類の全国の品種を取り寄せてみて。
結局、上野さんの「とちおとめ」が一番よかったという結論に達しました。
そのいちごを実際に現地視察をして、みつばちが実際に飛んでいるところを見たんですけど。
そのみつばちの受粉、なるべく自然栽培というところにこだわっていらっしゃっるのも気に入りました。

「いちごミルクかき氷を作るにあたって、実際に苦心した点は、どこにありましたか。」

そうですね。いちごは、これだと決まったとしても、お砂糖の種類が何種類もあるんですね。
どのお砂糖とどのようにいちごを混ぜたら掛け合わせたら、ゴールデン比率というか、いま辿り着いているうちの比率に辿り着くのかどうか。自分たちが心底、納得して、お客さまに出せるようないちごミルクに辿り着けるのか。ということで、研究するのにすごく時間がかかって。
そのお砂糖の味、いちごの味、混ぜたときの味、そういうのを何十通りも試したんですけど。
なかなかカラダが喜ぶような納得感が得られなくて。月日というか、時間だけ過ぎて、苦労しました。

「いちごミルクかき氷をお店にはじめて出したのは、いつごろでしょうか。」

2017年の7月22日が、うちのオープン日なんですけど。
その日、はじめていちごミルクかき氷を出しましたね。オープン当初から、いちごミルクはメニューにあります。

「最初から手応えは、ありましたか。」

手応えはありましたね。感動してくださる方が多くて。
このいちごミルクは、ここでしか食べられないのですか、言ってくださる方が多かったです。
このいちごミルクは、うちの人気No.1ですし、やはりリピーターの方がすごく多いです。2017年にオープンして、今年で5年目になりますけど。
5年間、ずっと通ってくださるお客さまも、いまだにいちごミルクをリピートされますし。人気の秘密は、リピーターの数が多いことですね。
口コミも、一度いらした方は、お友達やご主人とか、パートナーの方とかをお連れしたりとか。例えば、このお店は絶対に誰も教えない、という方もいらっしゃいますね。

「氷に合わせて、シロップを作ると聞いたのですが。」

氷も一日の温度、湿度というところにすごく左右されるものなんですね。なので、その日の氷の特徴といったものを、4代目がとらえて。
シロップを全部、手作りで、氷に合わせて作っています。シロップの原料になる果物を、八百屋さんとか、果物屋さんとかで、1年中、毎日いろいろ視察しながら。
美味しい果物、珍しい果物を買ってきて、シロップ作りをしています。

「お客さまに、かき氷で、どういう最上のおもてなしをしていきたいと、考えていますか。」

うちは、せっかくお店まで来てくださるのだから、お客さまひとりひとりを大切にしましょう、というのがコンセプトでして。
そのひとりひとりに、最大限尽くして、これだ、という、いいかき氷をお出しして、楽しんで、感動して、喜んでいただけるおもてなしをしたいと、いつも考えています。

「四代目大野屋さんは、これからどのようなお店にしていきたいですか。」

お客さまやお店のスタッフさんたちに、喜びを伝えていけるようなかき氷屋さんであり続けたいと想っています。それと常に変化していきたいという想いがあるので。
変化をしていって、お客さまが活力を感じてもらえたら。
大野屋があることで、五感でいろいろ感じてもらえて、誰かの生きがいになるようなかき氷屋さんで、ありたいと思っています。
その人の人生にプラスになるようなかき氷屋になりたいです。

「大野さんにとって、かき氷の魅力とはなんでしょう。」

私にとってかき氷の魅力とは、かき氷を作っていても幸せ。
氷がキラキラしているので、それを見ているだけでも幸せ。氷があるだけで、幸せなんです。氷が、私の幸せそのものなんです。

いちごの風が吹いてきそうな、シャリシャリしている、四代目大野屋さんの人気いちごミルクかき氷を食してみた。一口食べて、「これはかき氷ではない。いちごそのまんまだ。僕は、いちごの果実を食べている。」と、感嘆した。

これは、かき氷か、いちごか。あらためて、四代目大野屋さんが、いちごミルクかき氷のカリスマ店だということを、僕は、僕の舌に刻んだ。

去年から、かき氷ショップを何軒か、インタビューさせていただいているが。

かき氷は、深い。

知れば知るほど、かき氷の繊細な美味しさに虜になる。日本人は、本当に繊細だと想う。その繊細さが、いろいろな日本独自のものも創っている。

僕たちは、繊細ということを、もっとほめよう。繊細が、生活を、衣、食、住を、よりエキサイティングにする。

いつまでも、こころがクリアでいられるように、真っ白な状態でいろんなものに触れて。

繊細ということを、もっと大切にしよう。泣いている女の子は、決して弱いんじゃない。

泣いている女の子は、人間らしい。そう、感じることができる、こころに僕はなりたい。

四代目大野屋氷室 
住所:東京都台東区上野6-14-1 1F
営業時間
[月~金]12:00~17:00(L.O.16:50)
[土・日・祝]11:00~17:00(L.O.16:50)


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