東京都美術館で開催中「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」で生き物たちの魅力を感じる時間を|会期は来年1月8日まで
2024年1月8日までの期間、東京都美術館で開催される「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」では、いきものと分かちがたい関係を結び、その姿を追いかけた6名の作家による作品が展示されています。
個性溢れる作品の魅力を一挙に堪能できる展示会です。
また、同展と同時開催の「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」では、動物園に焦点を当てた作品・資料が展示され、上野や上野動物園の歴史をたどれます。
本記事では、東京都美術館で開催中の「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」の様子をお届けします。
「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」のようす
2024年1月8日まで東京都美術館で開催される「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」。
いきものと分かちがたい関係を結び、数十年にわたり高い熱量を絶やすことなく、それらの姿を追いかけて作品を生み出した6名のつくり手たちの個性あふれる作品が展示されます。
作品を鑑賞することが、他者との触れあい方と向き合い、私たち人間が他のいきものたちと共に生きていく未来について考えていくきっかけとなるはずです。
作家と作品
小林路子
偶然の出会いを機に野生きのこに魅了されて以来、様々な土地に生息するきのこを探し描き続けている小林路子。
多種多様な特徴を持つきのこを写実的に描いた作品36点が展示されています。
きのこの色や形の違いを細かく表現した作品は、まじまじと見たくなる美しさです。
・辻永
幼いころから植物を愛し、惹かれた植物を油絵で残した辻永。
60年間で草花を描いた作品は約2万点、現存の作品は4500点と言われているそう。
本展では、現存作品のなかから97点の作品が展示されています。
辻永の視点で描く草花の尊さを感じることができます。
・内山春雄
日本におけるバードカービングの世界を切り開いた内山春雄。
実物とほぼ変わらないサイズで、さまざまな鳥の彫刻作品を制作しています。
なかには、鳥類保護のため、集団で生活する鳥を呼び戻すためのデゴイ彫刻もありました。
また、姿や形を指先で触って確認し、記憶していく道具として作られた「タッチカービング」の作品は、実際に触りながら鑑賞できます。
専用のタッチペンを使えば、作品のモデルになった鳥たちの鳴き声を聞けます。
普段よく見かける鳥から珍しい鳥まで、さまざまな鳥の特徴を、目で見て、触って、聞いて鑑賞体験できますよ。
・今井壽惠
交通事故により一時失明を経験した写真家の今井壽惠は、回復後に鑑賞した映画「アラビアのロレンス」で馬の存在に魅了されることに。
以来、世界各地の競走馬の写真を撮影するようになったそうです。
たくましく美しい馬の魅力を写した作品に思わず見とれてしまいます。
・冨田美穂
牧場でアルバイトをしているときに牛と出会い、魅了された冨田美穂。
現在は北海道に移住し、牧場で働きながら身近にいる牛と触れ合って作品を制作しているそう。
牛を実物大で写した木版画は、今にも動き出しそうなほど迫力満点です。
・阿部知暁
幼少期からゴリラに関心があった阿部知暁は、心象風景を描く画家からおもにゴリラだけを描く画家に転身したそうです。
日本のみならず海外の動物園やアフリカに住む野生のゴリラも追い、その姿を迫力満点な画風で描いています。
ゴリラ研究者の山極壽一と制作した絵本『ゴリラが胸をたたくわけ』の原画展示がされているほか、ふたりのトークイベントも開催されます。
「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」のようす
「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と別フロアでは「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」を同時開催。
東京都美術館に隣接する上野動物園という日本最古の動物園に焦点を当てながら、東京都立の美術館・博物館、またその他の施設や個人等が保管する、「動物園」に関わる作品・資料を展示しています。
展示コーナーは、全4章構成です。
第1章は「動物を集める・見る」。
動物園が誕生する以前の日本における動物の展示と鑑賞の様相を知ることができる資料などが集結しています。
第2章の「『動物園』を描く・写す─明治期〜昭和初期の写生・宣伝美術」では、明治中期から昭和前期における美術やデザインなどを通して、動物園の歴史をたどれます。
第3章は「『動物園』と戦争」。
日本で戦争が起こっていた明治期から昭和期にかけ、動物園にはどのような影響がもたらされていたのかを振り返る資料や作品が展示されています。
第4章の「『動物園』を描く・写す─東京都コレクションを中心に」では、東京都写真美術館と東京都現代美術館が所蔵する国内外の動物園を取材した作品と、画家・相笠昌義の作品が紹介されます。
また、エピローグでは、2010年代から日本各地の動物園を訪れ、そこに暮らす動物たちを撮影し続けている写真家・酒航太の作品が展示されています。
動物園に関する展示品を通して上野や上野動物園の歴史を知ることで、人間と動物との関わり合いの様相を、あらためて捉えなおすことができるはずですよ。
開催概要
上野アーティストプロジェクト2023「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」
会期:2023年11月16日~2024年1月8日
会場:東京都美術館 ギャラリーA・C
住所:東京都台東区上野公園8-36
電話番号:03-3823-6921
開室時間:9:30~17:30(11月17日、11月24日、12月1日、12月8日は~20:00)※入室は閉室の30分前まで
休室日:11月20日、12月4日、12月18日、12月21日~2024年1月3日
料金:一般 500円 / 65歳以上 300円 / 学生以下無料
同時開催「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」
会場:東京都美術館 ギャラリーB
料金:無料
まとめ
東京都美術館で開催中の「いのちをうつす ―菌類、植物、動物、人間」と「動物園にて ―東京都コレクションを中心に」では、人間以外のいきものをうつした作品や資料などを紹介しています。
開催期間は、2024年1月8日(月・祝)までです。
みなさんも、自然界で生きるいきものの魅力をうつした作品たちをじっくりと鑑賞してみてはいかがでしょうか。
(12月4日、12月18日、12月21日~2024年1月3日は休室日となっていますのでご注意ください!)