境界のない世界を歩く!チームラボボーダレス麻布台ヒルズで出会う五感のアート

東京・麻布台ヒルズにある「チームラボボーダレス 麻布台ヒルズ」を取材しました。
チームラボボーダレスと聞くと、幻想的な光や映像に包まれた「デジタルアートの美術館」をイメージする人も多いのではないでしょうか。しかし、実際に足を運んでみると、一般的な美術館とは少し違った体験が待っていました。
館内には、作品を順番に見て回るための決められたルートがありません。地図もありません。歩いていると、さっきまで別の場所にあった作品がいつの間にか目の前に現れたり、ひとつの作品が別の空間へと移動していたりします。作品そのものが動き、互いに影響し合いながら、ひとつの大きな世界をつくっています。
そんな「境界のない世界」を実際に歩き、さまざまな空間を体験しました。今回は個々の展示作品を紹介するのではなく、実際に訪れて感じた「チームラボボーダレスならではの特徴」に注目。なぜ多くの人を惹きつけるのか、その魅力を探ります。

チームラボボーダレスとは?

チームラボボーダレスは、アートコレクティブ・チームラボが手がける「境界のないアート群による、地図のないミュージアム」です。2024年2月、東京・お台場から麻布台ヒルズへ移転して開館しました。麻布台ヒルズでは、複数の新作を含む70以上の作品群が展示されています。
「ボーダレス」という名前が表す通り、最大の特徴は、作品と作品、作品と空間、そして作品と鑑賞者との境界が固定されていないこと。

一般的な美術館では、展示室ごとに作品が分かれ、作品の横にはタイトルや解説があり、順路に沿って鑑賞するスタイルが多いですが、チームラボボーダレスでは、そうした「当たり前」が大きく異なります。
作品は部屋の中に留まらず、別の空間へ移動します。さらに、ほかの作品と関係し、影響を受け合い、ときには混ざり合うことで、館内全体が境界なく連続するひとつの世界として成立しています。公式が「地図のないミュージアム」と表現しているのも、この特徴があるからです。

地図がないからこそ出会いが生まれる

チームラボボーダレスには、通常の美術館のような館内地図がありません。
初めて訪れる側からすると、「どこに何があるの?」と少し戸惑うかもしれません。しかし、これは単なる案内の省略ではありません。あえて地図を用意しないことで、来場者自身が館内をさまよい、探索し、偶然の出会いを楽しむことが、このミュージアムの体験そのものになっています。
実際に歩いてみると、「次はどこへ行けばいいのか」と考えるよりも、「この先には何があるんだろう」という気持ちが強くなっていきます。
目的の作品へ一直線に向かうのではなく、気になる光を追いかけたり、開いている入口を見つけて入ってみたり。迷うこと自体が、鑑賞の一部になっているのです。

「作品を見る」のではなく作品の中に入る

もうひとつ大きな特徴が、鑑賞者自身が作品の世界に入り込めることです。
壁に掛けられた絵画を、少し離れた場所から眺める。彫刻を360度から見る。そうした従来型の鑑賞方法とは異なり、チームラボボーダレスでは、自分自身の身体を動かしながら空間を体験します。
光、音、映像が空間全体に広がり、床や壁、天井といった建築そのものとの境界も曖昧になっていきます。目の前にあるものを見るだけではなく、その空間の中を歩くことで、自分の位置によって見えるものが変わります。つまり、鑑賞者の身体そのものが体験を構成する要素になっています。
チームラボが掲げるのは、「境界のないアートに身体ごと没入し、さまよい、意思のある身体で探索し、他者と共に世界を創り、発見していく」という体験です。

視覚だけではない!?香りも含めた空間体験

チームラボボーダレスの特徴は、映像や光、音だけではありません。実際に館内を巡っていると、空間によって異なる香りが感じられることにも気づきます。
公式の案内でも、作品の特性として「アロマによる香りなどの演出」があることが紹介されています。つまり、ここで体験するのは目で見るデジタルアートだけではなく、空間そのものを五感で感じる体験なのです。
暗闇の中に広がる光、作品に合わせて変化する音、そしてその空間を包む香り。視覚だけに頼らず、複数の感覚を使って作品の世界に入り込んでいくことで、同じ映像を見ていても、一般的なスクリーンで見るのとは違った印象が残ります。
特に香りは、目に見えないからこそ、その場の記憶と結びつきやすい感覚です。「あの空間ではこんな香りがした」という記憶まで含めて、訪れた人それぞれの体験として残っていくのも、チームラボボーダレスならではの面白さではないでしょうか。

作品には「決まった場所」がない?

チームラボボーダレスを歩いていると、作品を探すという感覚そのものが少し変わってきます。
作品は固定された展示室に置かれているわけではなく、空間を移動します。そのため、一般的な美術館のように「この部屋にはこの作品」と覚えておくことができません。
さらに、作品には固定されたキャプションがありません。作品が移動していくため、館内では専用のチームラボアプリを使って、現在近くにある作品のコンセプトを確認できます。
これは、作品についての情報を最初に読んでから鑑賞するという従来のスタイルとは少し異なります。まず自分の目で見て、身体で体験し、「これは何だろう?」と感じたあとに、その背景やコンセプトを知ることもできるのです。

同じ場所でも同じ体験にはならない

チームラボボーダレスの面白さは、「一度見たら終わり」ではないところにもあります。
作品は常に変化し、周囲の空間やほかの作品との関係も変わっていきます。そこにいる人の動きによっても、自分が見る景色は変わります。
同じ場所に立っていても、時間が少し経つだけで光の表情が変わります。別の日に訪れれば、また違った作品との出会いがあるかもしれません。そんな「その瞬間にしか成立しない体験」が、この場所の大きな魅力です。
写真を撮ることも楽しみのひとつですが、画面に収めた一枚だけでは、その場で感じる光や音、空間の広がりまでは完全には伝わりません。実際にその場所を歩いてみることで初めて分かる感覚があります。

「迷う」ことを楽しむミュージアム

実際に館内を巡って感じたのは、チームラボボーダレスが「展示を見るための場所」というより、「自分で世界を探索する場所」だということでした。
あらかじめ決められた正解がないからこそ、自分の興味の向く方向へ進めます。目的地を目指すのではなく、偶然の出会いを楽しむ。迷った先で思いがけない空間に出会うこともあります。
これは、効率よく情報を得ることに慣れている私たちにとって、少し新鮮な体験かもしれません。
「次はどこへ行く?」ではなく、「次は何が見つかる?」。
そんな気持ちで歩いているうちに、気づけば時間を忘れてしまう。チームラボボーダレスの魅力は、きらびやかな映像や光だけではなく、来場者自身に「探索する楽しさ」を委ねているところにあるのではないでしょうか。
麻布台ヒルズという東京の中心にありながら、館内に一歩入ると、日常とは異なる世界へ。作品と空間、そして人との境界がゆるやかにつながっていく「地図のないミュージアム」は、実際に歩いてこそ、その面白さを感じられる場所でした。
光や音、映像だけでなく、香りまで含めて空間そのものを体験する。チームラボボーダレスは、作品を「見る」だけではなく、自分の身体と感覚を使って世界を探索するミュージアムなのだと感じました。

チームラボボーダレス 麻布台ヒルズ|施設概要

施設名:森ビル デジタルアート ミュージアム:エプソン チームラボボーダレス
所在地:東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズ ガーデンプラザB B1
開館:2024年2月9日~(常設)
営業時間:通常 8:30~21:00
※日によって開館・閉館時間が異なります
最終入館:閉館の1時間前
休館日:不定休
アクセス:東京メトロ日比谷線「神谷町駅」5番出口から徒歩約2分/東京メトロ南北線「六本木一丁目駅」4番出口から徒歩約6分
大人(18歳以上):3,600円~5,600円
中学生・高校生(13~17歳):2,800円
子ども(4~12歳):1,500円
3歳以下:無料
障がいのある方:1,800円
チケット:日時指定制。大人・障がいのある方向けチケットは変動価格制
※料金・営業時間・休館日は変更になる場合があります。訪問前に公式サイトで最新情報をご確認ください。

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ハラカズコ

メディアライター・アロマクリエイター

CS放送局でマーケティングや編成業務に携わった後、2014年に独立。現在は香りの専門知識を活かした活動を行う一方で、地域情報やカルチャー、ライフスタイルを中心に取材・執筆を行っています。 趣味は街歩きとアート巡り。そしてエンタメが大好きです。東京生まれ東京育ちならではの視点で、街の歴史や文化、人々の暮らしに触れながら、新たな魅力を発見する時間を楽しんでいます。 人や街が持つ魅力を丁寧に掘り起こし、読者がその場所へ足を運びたくなるような記事を書くことを目指しています。
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