ルーヴル美術館所蔵のレオナルド・ダ・ヴィンチ作品が52年ぶりに来日──9月、国立新美術館で公開
2026年9月9日(水)から、東京・六本木の国立新美術館で「ルーヴル美術館展 ルネサンス」が開催されます。最大のみどころは、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の初来日です。
ルーヴル美術館が誇るレオナルドの絵画作品が日本にやってくるのは、1974年の《モナ・リザ》来日以来、実に52年ぶり。ルネサンス美術の真髄に触れる、またとない機会となります。
「ルーヴル美術館展 ルネサンス」とは?——ルネサンスの本質に迫る展覧会
15世紀から16世紀にかけて、ヨーロッパ各地で花開いたルネサンス美術。「ルーヴル美術館展 ルネサンス」は、世界最大級の規模を誇るルーヴル美術館のコレクションから選び抜かれた50点余りの作品を通して、豊かで複雑なルネサンス美術の本質をなす特徴に光を当てる展覧会です。
本展は、ルネサンスの象徴ともいえるレオナルド・ダ・ヴィンチから導き出した4つのテーマ「旅」「技法の革新と洗練」「古代へのまなざし」「肖像芸術の隆盛」に沿って構成されます。絵画から彫刻、版画、素描、工芸まで、ジャンルを横断しながら、ルネサンスという時代を多面的にひもといていきます。
「ルーヴル美術館展 ルネサンス」のみどころ
① レオナルド・ダ・ヴィンチ《美しきフェロニエール》、日本初公開!
本展最大のハイライトは、レオナルド・ダ・ヴィンチの傑作《女性の肖像》、通称《美しきフェロニエール》の初来日です。レオナルドの真筆とされる絵画作品は世界にわずか15点ほどしか現存せず、そのうち5点をルーヴル美術館が所蔵しています。同館のレオナルド作品が来日するのは、1974年の《モナ・リザ》以来52年ぶりという歴史的な出来事です。

© GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado
本作品は、レオナルドがミラノ公ルドヴィコ・スフォルツァに仕えていた時期に制作されたと考えられています。円熟期に描かれた本作は、その様式や技法の特徴から、のちの《モナ・リザ》の“前身”とも位置づけられる傑作。暗い背景に浮かび上がる女性の肖像は、明部から暗部へと移ろう繊細なグラデーションによって、柔らかく立体的に浮かび上がります。身体とわずかに異なる方向にひねられた首の動きが、「今こちらを振り向いたのでは」と思わせる生命感を生み、その謎めいたまなざしが見る者を惹きつけます。
第4章では「肖像芸術の隆盛」と題し、ルネサンス期における肖像画の発展を紹介します。レオナルド作品以外にも、人物の的確な描写だけでなく、その内面をも表現しようとした画家たちの試みを感じることができる内容です。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Thierry Le Mage / distributed by AMF-DNPartcom

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Stéphane Maréchalle / distributed by AMF-DNPartcom

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Philippe Fuzeau / distributed by AMF-DNPartcom
② ボッティチェリ、ティツィアーノ、デューラー…… ルネサンスの巨匠たちが集結
レオナルドだけではありません。フィレンツェのボッティチェリ、ヴェネツィアのティツィアーノ、ドイツのデューラーやクラーナハ(父)、スペインで活躍したエル・グレコなど、ルネサンスを代表する巨匠たちの作品が一堂に会します。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Gabriel De Carvalho / distributed by AMF-DNPartcom
「旅」をテーマにした第1章では、ルネサンス期の芸術家たちが、ヨーロッパ各地をめぐり、技術や表現を磨いていった様子を伝えています。商業や交易、戦争、キリスト教の布教など、さまざまな理由で人の移動が活発になった時代。芸術家たちも国境を越えて活躍し、互いの表現に影響を与えあいました。
なかでもデューラーの木版画《サイ》は必見。実はデューラーは本物のサイを一度も見たことがなく、サイについての記述とスケッチだけを頼りに想像で描き上げました。本物のサイとはずいぶん違う姿ですが、そのリアルで力強いイメージは人気を博し、江戸時代の日本にも伝わったといわれます。名画の背後にあるエピソードを知ると、鑑賞がいっそう楽しくなります。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Michel Urtado / distributed by AMF-DNPartcom
また、エル・グレコの《アントニオ・デ・コバルビアス・イ・レイバ(1524 ‒1602年)の肖像》も見逃せません。深いシワやこけた頬、思慮深い視線をもった厳格な雰囲気の肖像画は、鑑賞者を惹きつけます。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcom
第3章の「古代へのまなざし」では、ルネサンスの芸術家たちが、古代ギリシア・ローマの彫刻や建築からインスピレーションを得て、表現を磨いていった様子を伝えています。サンドロ・ボッティチェリ《5人の天使に囲まれる聖母子》は、自身の工房を構えて間もない20代半ばの作品です。巧みな衣装のドレープの描写によって、その下にある身体のフォルムを正確に捉えています。これは古代彫刻の研究を反映した表現と考えられ、ルネサンス期に広がる古代へのまなざしを感じさせます。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Gabriel De Carvalho / distributed by AMF-DNPartcom
ルカス・クラーナハ(父)の《三美神》では、古代の彫刻やレリーフにおける三美神の伝統的な形式を用いつつ、独創的な解釈で描かれています。官能的な身体の表現と、帽子やアクセサリーといった当時のファッションは、古代の女神よりも現実の女性を想起させます。

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Mathieu Rabeau / distributed by AMF-DNPartcom
③ 絵画だけじゃない。ルネサンスの多彩な技法にも注目
ルネサンスは、さまざまな技法が飛躍的に発展した時代でもありました。本展では、木版画や銅版画、ブロンズ彫刻、メダル、陶器、タペストリーなど、多彩な技法が織りなす表現の数々も紹介されます。生き物をリアルに表現した陶工ベルナール・パリシーが開発した「田園風陶法」の水盤や、鮮やかな色彩のエマイユ画(七宝)など、絵画とはまた違った驚きに満ちた作品群にも出会えます。

Photo © Musée du Louvre, Dist. GrandPalaisRmn / Angèle Dequier / distributed by AMF-DNPartcom

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Sylvie Chan-Liat / distributed by AMF-DNPartcom

Photo © GrandPalaisRmn (musée du Louvre) / Martine Beck-Coppola / distributed by AMF-DNPartcom
「ルーヴル美術館展 ルネサンス」をさらに楽しむーーグッズやカフェのコラボメニューも!
本展のグッズは「そのまなざしから見つめる、ルネサンス」をコンセプトに、Paul & JoeやFEILER、鎌倉紅谷の「ルーヴルッ子」、猿田彦珈琲など、多彩なブランドとのコラボレーションが展開されます。さらに会場周辺では、Afternoon Tea TEAROOMやザ・リッツ・カールトン東京、東京ミッドタウン(六本木)ともコラボが予定されています。作品鑑賞の前後も、街で“ルネサンス”を楽しめます。
この秋は六本木で、ルネサンス芸術を満喫しよう!
レオナルド・ダ・ヴィンチ作の傑作《美しきフェロニエール》が日本初公開となる「ルーヴル美術館展 ルネサンス」は、この秋見逃せない展覧会です。ルネサンスを代表する巨匠たちの傑作が集う国立新美術館へ、時代を越えて人々を魅了し続ける“まなざし”に会いに出かけてみてはいかがでしょうか。
開催概要&アクセス
展覧会名: ルーヴル美術館展 ルネサンス
会期: 2026年9月9日(水)〜12月13日(日)
※12月7日(月)~13日(日)は日時指定制
会場: 国立新美術館 企画展示室1E
住所: 東京都港区六本木7-22-2
開館時間: 10:00〜18:00(毎週金・土曜日は20:00まで)※入場は閉館の30分前まで
休館日: 毎週火曜日 ※ただし9月22日(火・祝)、11月3日(火・祝)、12月8日(火)は開館、11月4日(水)は休館
観覧料(税込): 一般 前売2,200円/当日2,400円、大学生 前売1,300円/当日1,400円、高校生 前売900円/当日1,000円 *中学生以下は入場無料 *障害者手帳持参の方(付添1名含む)は入場無料

鶴丸 明
ライター

