【取材】上野・御徒町、ひれかつ一筋の人気老舗 蓬莱屋。伝統の調理法2度揚げで作るひれかつは秀逸
こんかつより、
ひれかつ。
年齢に関係なく、婚活も大事、結婚も大事。結婚しない男女が増えている、令和の時代。だけど、いまは、ひれかつ定食を食べたい。
上野・御徒町の老舗、蓬莱屋の極味、ひれかつ定食。
「日本のひれかつ発祥のお店、蓬莱屋。」
厳選された国産のひれ肉を自家抽出による油で1度目は230℃で揚げ、2度目は170℃の低温で揚げる、伝統の2度揚げによってできあがる蓬莱屋の柔らかなひれかつ。その魅力を知りたくて。僕は、お店にお伺いしてしまった。
ロースカツではなく、なぜ、ひれかつから始まったのでしょう。
大正時代、当時、商売がなかなかうまくいかず、食肉卸店のご主人に安価だったひれ肉をすすめられて、と、聞いております。
ひれかつを試行錯誤して揚げ、お出ししたところ、お客さまが美味しいとたいへん喜ばれて。ひれかつを揚げて、お食事をお出しする商売が順調になったということです。
すべては、ひれかつがきっかけだったのです。そして、上野・松坂屋裏のいまの地にお店をもつことができました。
蓬莱屋ならではの調理法、2度揚げを最初に考えた方は、どんな人だったのでしょう。
蓬莱屋二代目の主人と聞いております。2度揚げとは、肉汁が逃げないようにガードするため、まず高温の油で1分ほど揚げる。次に、低温の油でじっくり揚げて、ゆっくり蒸らす。この調理法が、ひれかつを美味しくいただくための、極上の2度揚げと思っています。
ひれかつの魅力とはなんでしょう。
ロースカツに比べて、とてもヘルシーなところです。私どもでは、ひれかつ、一口かつ、串かつ、そして東京物語御膳などの4品をお店で揃えております。この4品は、ひれかつの美味しさを最大限に活かすメニューだと自負しております。
日本を代表する映画監督、小津安二郎氏が常連だったということですが。小津監督と蓬莱屋さんとの、何か伝説的なエピソードはありますか。名女優だった原節子さんなどもいらっしゃったのでしょうか。
小津監督の代表映画作品『秋刀魚の味』でのシーンで、うちのお店の二階の座敷と同じセットを、大船の撮影所に作ったりしましたね。ひれかつを食べるシーンのために。わざわざ撮影所までひれかつを届けたそうです。小津監督には、ずいぶん御ひいきにしていただいたと聞いております。
原節子さんの話しは、残念ながら聞いていません。お店のメニューの東京物語御膳という名前は、小津監督の名作『東京物語』からいただきました。小津ファンの方も、よくお店にいらっしゃいます(笑)。
僕が蓬莱屋を訪れたときは、お店とお店のまわりだけ時間が止まっていた。それくらい情緒溢れる落着きを醸し出しているお店だった。
1階はシンプルなカウンター席、2階はゆっくりできる座敷。1階には、小津監督の色紙、俳優の中尾彬氏などの書が飾られ、そこだけ独特の異空間を創っていた。
インタビューが終わって、2階の座敷で待っているとやがてひれかつ定食が運ばれてきた。
カリカリの薄衣に包まれたジュワッとした厚い厚いひれのお肉。思わず、ガブッと一口。
「すっごいっ!!!、やわらっかいっ!!!。」
まさにお肉なのだ。これぞお肉なのだ。それでいて、あっさり軽い、重くない。ジュワジュワッと、一口、二口、三口、四口と、あっという間に平らげてしまう。
僕は、想う。人は、愛よりも、お肉で生きているのではないか、と。
店舗情報
蓬莱屋 (ほうらいや)
東京都台東区上野3-28-5
JR山手線・京浜東北線 御徒町駅 徒歩1分
東京メトロ銀座線 上野広小路駅 徒歩1分
都営地下鉄大江戸線 上野御徒町駅 徒歩1分
東京メトロ日比谷線 仲御徒町駅 徒歩2分
03-3831-5783
【営業時間】
[月~金]
11:30~14:00(L.O13:30)
17:00~20:00(L.O19:30)
[土・日・祝]
11:30~14:30(L.O14:00)
17:00~20:00(L.O19:30)
【定休日】
水曜日(祝日の場合には、翌木曜日が定休日)
・全席禁煙
・駐車場:無(徒歩2分以内にコイン・パーキングあり)