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ノスタルジーな雰囲気の浅草・古民家風カフェ、カフェオトノヴァ。スイーツ、ティラミスの繊細な甘さは食べる価値あり

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ティラミスの甘さは、
片想いの恋のように、切ない。






彼女には、15歳のときから、ずっと片思いの彼がいると言う。

フリーランス・ライター同士の僕と彼女は、打合せで西浅草の住宅街にある古民家風カフェ、カフェオトノヴァに寄ったとき、そんな衝撃的な言葉を聞いた。



カフェオトノヴァは、浅草ビューホテルの脇道に入った路地裏にあり、築60年の一軒家にアンティーク家具、豊かな植物、深味のあるインテリアを配置して、フランスの田舎を意識したノスタルジーなカフェだ。


1階がカウンター席とテラス席、2階はテーブル席。

前払いで注文するシステムになっている。

おすすめメニューは、豊富なスイーツ、パスタ、肉料理など。



僕も、彼女も、カフェオトノヴァで人気のクラシックスィーツ、ティラミスとアイス・アールグレイをオーダーした。
ティラミスは、チーズをベースにしたクリームとコーヒーリキュールを使用したスポンジケーキにココアパウダーの3層を重ねたスイーツ。



お店の人が、テーブルに静かにティラミスとアイス・アールグレイを置く。
甘い雰囲気とクールな雰囲気がテーブルに漂う。



僕と彼女は打合せをしながら、アイス・アールグレイの淡い味わいで喉を潤し、繊細という甘さのティラミスを口に運ぶ。悲しいくらい甘い。


本当の甘さとは、切なさの中にこそ実在する、僕はそう想う。





「いまは笑って話せるけど。ティラミスには、忘れられない想い出があるの。」
と、打合せが終わって、彼女は言葉を噛みしめながら、自分のことを話し始めた。


彼女は、15歳のファーストラヴから30年以上も、片思いの彼に恋愛以上の感情をもっていると言う。

告白することはなかったが。彼のことを想うだけで、食事が喉を通らなくなり、胸がいっぱいになる。

苦しくて、苦しくて、こころがキューンと締めつけられるようになる。

友達から、ファーストラヴや片思いは実らないものよと、何度も言われたが。彼女は、彼以外の男性に恋をすることはなかった。




1990年の大学時代、彼女は、当時、流行っていたスィーツのティラミスが好きだった。


大学の講義が終わってティラミスをスィーツショップで食べていると、その濃厚で悲しいような甘さに、自分の片思いのはかなさをいつも想像してしまい。

彼女にとって恋は苦しくて、とても辛いものだった。

ティラミスの切ない甘さは、片思いの恋のように切ない、と、彼女は直感的にイメージしたと言う。



片思いの彼を忘れるために、彼女は振り切るように学業に専念し、大学を卒業してからは仕事に没頭した。

しかし、それから長い年月が経ち、彼女が彼を完全に忘れはじめたころ、電車の車両で、彼を偶然見てしまったのだ。
再び、恋の熱が舞い上がり、仕事が手につかなくなったと言う。


恋は一種の病いである。

片想いの恋は、切ない。
ティラミスの甘さのように、切ない。





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ライター紹介

おがさわらせいか

小笠原聖佳:フリーライター、コピーライター、インタビュアー、吟遊詩人

2月生まれ。血液型:A型。 青森生まれ、静岡育ち。東京23区内在住。 広告と言葉とインタビュー、音楽をこよなく愛する。 毎日広告デザイン賞・最高賞/日経広告賞などを受賞。
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