【隅田川】瀧廉太郎作曲「花」の歌詞を読み解いてみよう!
皆さんこんにちは!好きな教科は音楽と社会だったよしたにです。
歌うことが大好きな私は、音楽の授業で合唱するために学校に行っていたと言っても過言ではありません。
音楽の授業で習った曲、皆さんは覚えていますか?
必ずと言って良いほど登場する曲の一つが、瀧廉太郎が作曲した「花」ですよね。
「春のうららの 隅田川〜♪」の歌い出しでお馴染みです。
私はこの曲の歌詞や作られた時代について、考えたことがありませんでした。
そこで今回は、瀧廉太郎が作曲した曲「花」について学んでみたいと思います!
ぜひ、最後までお読みください。
「花」は瀧廉太郎作詞ではない!
このテーマを調べ始めたとき、私はある勘違いをしていたことに気づきました。
教科書で習った瀧廉太郎は「花」の作曲家であり、作詞家ではないのです。
約30年、瀧廉太郎作詞だと思い込んで生きていたのがショック…笑
ちなみに、作詞したのは武島羽衣(たけしま はごろも)さんという方です。
1872年(明治5年)に東京の日本橋で生まれ、東京帝国大学文科大学(現在の東京大学)に入学。
在学中から詩人としての才能を注目され、1897年(明治30年)には東京音楽学校(現在の東京藝術大学)の教員となりました。
瀧廉太郎は、1879年(明治12年)に港区西新橋付近で生まれています。
父の仕事の関係で全国を転々とし、1894年(明治27年)9月に東京音楽学校に入学。
1901年(明治34年)からは日本人音楽家としては3人目のヨーロッパ留学生として、ドイツのベルリンで学びました。
ライプツィヒで学んでいた時に肺結核を発症して帰国、わずか23歳で亡くなっています。
そんな瀧廉太郎と東京音楽学校で同僚だった武島羽衣が1900年(明治33年)に発表した曲が「花」です。
「花」は瀧廉太郎が作曲した歌曲集「四季」の1曲であり、実際はメドレーとして演奏されることを想定したものになっています。
もとは「花盛り」という曲名がついていましたが、他の曲とタイトルの響きをそろえるために「花」と変更しました。
「花」は第1曲で、2曲目は「納涼」、3曲目が「月」、4曲目が「雪」です。
実は、それぞれ作詞家も違います。
なんだか、他の曲も気になりますよね。
聴いてみましたが、まとめて聴いてみるとずいぶんイメージが変わった感じがしました。
気になる方は、YouTubeなどで「瀧廉太郎 四季」と検索してみてくださいね!
本題の「花」の歌詞を、紐解いてみましょう!
「花」の歌詞にはどんな意味が?
まずは、「花」の歌詞をおさらいしてみましょう。
1番
春のうららの 隅田川
のぼりくだりの 船人が
櫂のしずくも 花と散る
ながめを何に たとうべき
2番
見ずやあけぼの 露あびて
われにもの言う 桜木を
見ずや夕暮れ 手をのべて
われさしまねく青柳を
3番
にしきおりなす 長堤に
暮るればのぼる おぼろ月
げに一刻も 千金の
ながめを何に たとうべき
「七五調」といって、一節を7文字と5文字で区切っています。
早速、1番の歌詞から意味を考えてみましょう。
春の陽気が穏やかな隅田川では、川をのぼりくだりしている漕艇(そうてい)のオールから落ちるしずくが、花びらのように散っている。 この美しい眺めを、何にたとえることができるだろう。
参考:めりー先生の音楽準備室
当時の隅田川では、漕艇というボート競技が盛んでした。
春の暖かくて穏やかな気候の中、ボートを漕いでいる人たちを川べりで眺める…良い休日!
ここまででも、この歌は武島羽衣や瀧廉太郎が見ていた当時の日常を歌っていることがわかりますね。
では、2番に行きましょう。
見てごらんよ、明け方に降りた露を全身にきらめかせて私に何かを伝えようとしている桜の木を。
見てごらんよ、夕暮れ時に私へ手を差し伸べるように枝を伸ばし、手招くようにしている青々とした柳の木を。
参考:めりー先生の音楽準備室
桜や柳の木は現在も隅田川周辺にたくさんあるけれど、より風景が具体的に見えてきた感覚がありますね。
現在のように高層ビルや工場がほとんどなかった当時の隅田川は、どれほど美しい場所だったのか気になります。
錦の織物のように長くて美しい土手にのぼる月が、もやでかすんでいる。
値千金のひとときだ。
この美しい眺めを、一体何にたとえることができるだろう。
参考:世界の民謡・童謡
「げに一刻も 千金の」は、中国北宋時代の詩人、蘇軾(そしょく)が書いた「春夜」という詩の一節「春宵一刻値千金 花有清香月有陰」(春の夜は一瞬でも、千金の価値がある。花は清らかな香りを放ち、月はおぼろげに霞んでいる)にかけているとされています。
武島の先人が書いた詩に対するリスペクトや、オマージュが込められている一節ですね。
そして1番と同じ言葉を繰り返し、何物にも変えがたい、今の風景をさらに強調して曲を終えています。
最後の「ながめを何に たとうべき」では歌の中で最も高い音を使って、より印象深いフレーズになっていますよね。
こうして歌詞の意味を理解してから歌を聴くと、曲が少し違って聞こえてきませんか?
まとめ
武島羽衣と瀧廉太郎が作った「花」。
瀧廉太郎の短い生涯を考えると、奇跡的な作品の一つだったのかもしれません。
ゆかりの地である隅田公園の台東区側には、「花」の歌詞を刻んだ歌碑があります。
6月に訪問した時には、近くに紫陽花がたくさん咲いていて、とてもきれいでした。
皆さんも隅田公園に行った際は、ぜひチェックしてみてくださいね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。