浅草橋「江戸前 寿し政 別館」の大将にインタビュー。29年の歴史を持つ寿司屋が地元民に愛される理由とは―

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浅草橋の路地裏にひっそりと佇む「江戸前 寿し政 別館」。
ここでは、大将が厳選した鮮度の高い国産天然魚介が味わえます。
そこで、今回は、大将の大山さんに「江戸前 寿し政 別館」についてインタビューをしました!
長い歴史や寿司やお客様に対する想いについて迫っていますので、ぜひ最後までご覧ください。

「江戸前 寿し政 別館」大将にインタビュー!

大将:大山さん

「寿し政 別館の歴史について教えてください。」

「寿し政」自体は、先々代の私の大叔父が浅草橋の西口にバラックを建て、そこから昭和29年に法人化しました。
その8年後の平成8年2月19日に「寿し政 別館」として、私と女房でお店を始めました。

 修行期間からお店を独立するまでのエピソードを教えてください。」

私は、東京都の商業高校を卒業してすぐに、3年間ほど証券会社に勤めていました。
しかし、幼い頃から周りの影響で、食べることや料理をすることに興味があって、一念発起し、職業安定所を通して、寿司店で修行しました。
修行先の寿司店がたまたま明治5年から続く老舗の歴史ある寿司店で、ちょっとやそっとじゃ逃げられなくなり、6年間修行を経て、家に帰ってきました。
それからも「寿し政 別館」を任されるまでは、独学で寝ずに勉強しました。

「お父様(寿し政2代目大将)から継いで欲しいという話はありましたか。」

そういった話は一切ありませんでした。
私たち職人の仕事というのは“のれんを継ぐことはできても、腕を継ぐことはできない”ので、本人のやる気次第になります。
そういった意味では私は、ちゃんと仕向けられたような形で今に至っています。

「お父様(寿し政2代目大将)に寿司の握り方を教わることはありましたか?」

ありませんでしたね。
私達の時代は「見て覚える・盗む」が基本だったので、親方や先輩方からも詳しく1から10まで教わることはなかったです。

「大将にとってのお店でのこだわりポイントを教えてください。」

29年働いていると、当たり前になってしまっていることですが、
私が父から別館を任されたときに、特色として3つの柱を考えました。
それは、寿司のネタが「国産、生、天然」であることです。
基本的にこれを守って、今も続けています。
あとはお店で使うポン酢や三杯酢などの調味料をすべて手作りしていることですかね。

「魚の仕入れは毎日行っているのですか。」

そうです。
毎朝4時55分に目覚ましをかけて、5時50分くらいに築地、豊洲の方にオートバイで向かっています。

「美味しい魚はどのように見極めているのですか。また、鍛える方法はありますか。」

自分の目で見て、触れるものは触って見極めています。
鍛える方法は経験以外にないと思います。
トライ&エラー的な感じで、自分で良いと思って買ったものがダメだったことなんて結構ありますからね。
自分を磨くためのステップになっていると思います。
とにかく初めて見るものはすべて買いました。

「物価が高騰するなかで、魚の仕入れにも影響はありますか。」

今のところ魚自体が高値安定です。
もう庶民の値段ではなくなってきています。
一概に気候変動による漁獲量の不足というよりも、世界的に魚食の増加とか日本国内における漁業従事者の高齢化や後継者が少なくなったことにより、漁業自体が少し低迷していることも関係あると思います。
その代わり、流通や保管などの保鮮技術は格段に上がっているので、魚食で新鮮なものを食べられるという点では30~40年前よりは確実に良いと思うんです。
値段は高くなりますけどね。
仕入れ原価率が上がると営業利益をより圧迫するので、その分お客様に納得していただける美味しいものをお出しできるよう日々精進しています。

「寿し政 別館をオープンしてから大変だったことはありますか。」

長年近所の方に認知されている父のお店の目の前で新店舗をやるわけなので、風当たりが強かったことです。
常に比較される対象が、自分の大先輩の父親のお店になるので、大変でした。
それでも、応援してくれる方もいらっしゃって、そのおかげで今があります。

「逆に寿司職人をやっていて、やりがいを感じたことは何ですか。」

日々、お客様に美味しいって言われることにやりがいを感じています。
やりがいというか嬉しいことですね。
「美味しい」のひとことで何でもやります。

「お客さんの客層はどのあたりですか。」

親しい間柄の方、そのご家族、次いで接待が多いです。
両親が上京してきたので、とか紹介や繋がりで来てくださいます。
店内は常に和気あいあいとしています。

「インバウンドの方は結構来られるのですか。」

外国からのお客様はご予約で結構いらっしゃいます。
当日玄関を開けて確認してもいただいても、席数が少ないのでご予約優先でお断りすることも結構あります。

「大将が1番好きな寿司のネタは何ですか。」

小さい頃から今まで変わらずに「コハダ」が好きです。
コハダというネタは、脂の甘みやお酢で締めたら酸味、塩で締めたら塩気、それに皮目にコハダ独特の渋みみたいなものがあります。
うちの場合、コハダを買ってきたらすぐには下ろさず、2日ばかり塩水につけておきます。
そうすることで、内臓の脂が身に回り、苦みが出ます。
このようにコハダには5つの味すべてある。
そういうネタはたぶん他にありません。

コハダの握り

「メニューはどのように考案していますか。」

これを作りたい、とかはなくて、食材をみて何が合うかとか変化球みたいに味を少し足したらどうなるかとかを考えます。
何かを参考にするというよりは、日常的に無意識下で蓄積された知識や経験を頼りに試行錯誤しています。

鰹のお造り
もずく酢

「今後の目標を教えてください。」

できる限り健康寿命を全うするべく、この仕事を続けていきたいと思っております。
長くお店を続けて、長くお客様に“美味しい”をお届けしたいです。
常に昨日より明日の精神で。
「美味しいものをたべたいからあそこ!」と思ってもらえるようなお店を目指しています。

\インタビューの様子はYouTubeチャンネル「ビジ推しめぐり」にて公開中/

まとめ

本記事では、大将の大山さんに「江戸前 寿し政 別館」についてお伺いした内容を紹介しました。
29年間の歴史が詰まったお寿司屋さん。
大将さんが握ったお寿司は本当に美味しくて、感動します。
また、大将さんの人柄が良く、気さくに話してくださるのも地元民から愛される理由なんだと思いました。
浅草橋にお立ち寄りの際は、ぜひ絶品お寿司を堪能してみてはいかがでしょうか。

江戸前 寿し政 別館
住所:〒111-0053東京都台東区浅草橋2-18-2
営業時間:<火>17:30~22:30
<水・木・金・土>
11:30 ~13:30
17:30~22:30
定休日:日曜日、月曜日、祝日
※営業時間・定休日が記載と異なる場合がございます。ご来店時は事前に店舗にご確認ください。
電話番号:03-3865-5892

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ライター紹介

きむら

インタビュアー、ライター、編集

何より美味しいもの、美味しいものしか勝たん。 最近はフィルムカメラにハマり中(・・) 夢はプリキュアになることです。
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