浅草・蔵前|『TOKIS』ファッションやデザインが交差するハイブリッド空間

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東京のブルックリンとも称される浅草・蔵前エリア。その一角に、突如現れるオレンジの外観が目を引く場所がある。それが『TOKIS(トキズ)』。

ここは、ファッション、デザイン、建築、アートといったさまざまな要素が混ざり合い、新しい価値観を生み出す空間になっています。

今回は、その『TOKIS』がどのようにして生まれ、どんな想いが込められているのか、そして訪れる人々にどんな体験をもたらしてくれるのかを深掘りしていきます。浅草・蔵前散策の途中に、ふらりと立ち寄ってみてください。

『TOKIS』のはじまり

蔵前の北側、銀座線田原町駅から徒歩3分の場所に位置する『TOKIS』は、ファッション、建築、アートなどさまざまなものが融合した新しい形のスペース。
オレンジ色の外観が特徴的なこの場所は、単なるセレクトショップではなく、アトリエ、ギャラリー、さらには地域のコミュニティスペースとしての機能を持っています。

TOKISの誕生と背景

『TOKIS』を立ち上げたのは、ファッションブランド「YOTA TOKI」を手掛けるデザイナーの土岐洋太氏。2013年にブランドを立ち上げ、約10年間卸を中心に展開していました。

しかし、より自由な表現の場を求め、『TOKIS』というスペースを誕生。店舗としての役割だけでなく、デザインのアトリエ、ギャラリー、BtoBのデザイン業務の拠点としても機能しています。
また、洋太氏の双子の兄は建築家であり、事務所がTOKIS内にあります。それぞれが独立した活動もしていますが、建築とファッションが交わることで、新しいデザインの可能性が生まれる場となっているのがTOKISの魅力です。
「将来的には全てがリンクしたデザイン会社をやりたいと思った。ファッションあり、建築もでき、すべてができるような場所にしたい。」

『TOKIS』は、そういった洋太氏の思いが込められた場所になっています。

奥にはアトリエがあり、日々新しいデザインが生み出され、表では洋太氏のブランド「YOTA TOKI」の商品をはじめ、アートを感じさせるアイテムやディスプレイが並び、訪れる人々に刺激を与えます。

なぜ浅草・蔵前だったのか?

原宿や渋谷、青山といったファッションの中心地ではなく、なぜ、『TOKIS』は、浅草を選んだのだろうか。筆者はその理由を尋ねてみました。

「学生時代から渋谷や青山といったファッションの街で過ごしてきましたが、正直、飽きてしまいました。それならば、ファッションが根付いていない街で、新しい文化を生み出したいと考えました。また、海外の都市に行くと川沿いにポツンと店やカフェがあるのが印象的で、そこにインスピレーションを受け、TOKISもそういう存在にしたいと思いました。」

このエリアは、ファッションのショップがほとんどなく、TOKISは異彩を放つ存在となっている。しかし、その分「何もない場所に突如現れる驚き」を提供しており、TOKISをより一層ユニークな場所にしています。

『TOKIS』という独自の場所

ファッション専門学校のエスモードで講師も務めている洋太氏。『TOKIS』は、ギャラリーとして展示会も開催され、エスモード卒業生の作品発表の場としても活用されている。

そして、ただのギャラリー、アトリエ、ショップではない。入口には「酒場」と書かれた紙が貼られ、ハートランドビールを片手にショップに並んだ洋服を眺めることができます。そんな楽しみ方の自由度の高さもまたTOKISの魅力のひとつです。

「台東区に長く住んでいると、台東区のやり方でお店を作っていくと思うのですが、僕らは新参者なので、逆に色々と実験ができる。」

従来の方法に捉われずハイブリッドなやり方で、地域に根付きファンを増やしています。

そんなさまざまなものが融合し、人が集まるTOKISは、“道の駅=プラットフォーム”のような存在。

地元の子供が遊びに来て、店内で気軽に過ごす姿を見かけたり、洋太氏の教え子たちの展示会や作品発表の場としてTOKISを利用したりすることも多く、自然と若いクリエイターたちの集まる場所にもなっています。

また、TOKISでさまざまなイベントを行うことで、人とのつながりや交流を大切にしています。こうした活動を通じて、TOKISは単なるファッションの拠点ではなく、地域の人々にとっても大切な場所になりつつあります。

青山や渋谷では考えられないような、下町ならではのあたたかさと自由な空気がTOKISには流れており、異彩を放つオレンジの外観からは想像ができないほど、居心地がいい場所として存在しています。

『TOKIS』がすすむ、これから

現在、TOKISはオープンから2年以上が経ち、独自のスタイルに共感する人々が訪れるようになり、地域に根付いてきました。

今後の展望として、自身のものづくりに向き合うことと、さらに東京の東部に店舗を展開していくことも考えています。

さらに、韓国からの革製品のブランドとのコラボイベントなど、海外のデザイナーとの交流も積極的に行っており、国際的な魅力を持つ場所としても進化しています。

TOKISがもたらしたのは、ただのショップにとどまらない新しいカルチャー。浅草・蔵前エリアに登場したその空間は、「ここにこんな場所があったんだ」という新鮮さを感じさせ、多くの人々に刺激を与えています。

今後さらに、多様な文化やクリエイティブな活動が交錯する場として、TOKISがどのように進化していくのか、ますます注目を集めるスポットとして期待が高まります。

『TOKIS』は人やカルチャーをつなぐ場所

『TOKIS』は、浅草の下町風情溢れる中で、ファッション、アート、デザインなどさまざま融合したプラットフォームのような魅力的なスポット。
ファッションに興味がある方はもちろん、そうでない方にも楽しめる場所として、人気が高まっています。
独自のセンスと空間、あたたかい地域とのつながりを感じることができるので、浅草・蔵前に訪れる機会があれば、ぜひ一度立ち寄ってみてください。

TOKIS(トキズ)
住所:東京都台東区寿4-10-2
電話番号:03-5830-6134
営業時間:【月〜日】11:00-20:00
休業日:不定休
アクセス:【銀座線田原町駅】徒歩3分/【銀座線浅草駅】徒歩5分/【大江戸線蔵前駅】徒歩5分

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ライター紹介

73kg

フリーライター

うん十数年。台東区に生まれ育ち、今もなお住み続けている大好きな街。 昔から散歩が趣味で、音楽を聴きながら、いろいろな場所をただふらふら歩く。あの坂から見るきれいな夕焼け、横をふと振り向くと懐かしい気持ちにさせるまがり角、どこまでも散策したくなる街、台東区。 そんな下町っ子の私が、おすすめのスポットやカルチャーなど台東区の魅力をご紹介します。
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