「NHK日曜美術館50年展」が上野で開幕|見どころ・展示内容・名作120点超を紹介

1976年の放送開始から半世紀にわたり、さまざまな「美」をお茶の間に届けてきたNHKの長寿番組「日曜美術館」。
その放送50年を記念する展覧会「NHK日曜美術館50年展」が、2026年3月28日(土)より東京藝術大学大学美術館(東京・上野)で幕を開けました。

番組は「週間ファインアートテレビ番組の最長放送(Longest running weekly fine art TV Programme)」としてギネス世界記録にも認定されるほど、長きにわたり愛されてきました。日本で美術がどのように親しまれてきたか、その歴史を映し出していると言えるでしょう。

この展覧会では、番組で紹介された120点を超える名作が一堂に集まります。
アーカイブ映像と実際の作品を組み合わせた独自の展示構成で、作品を観るだけではなく、テレビと美術の50年を追体験できる充実の内容です。

テレビで見たあの作品が目の前に。
上野で50年の歴史を体感できるこの機会をお見逃しなく。

「NHK日曜美術館50年展」会場写真

「NHK日曜美術館50年展」の見どころ3選|120点を超える名作と映像展示に注目

①120点を超えるジャンルを超えた名品が一堂に

西洋・日本の絵画や彫刻、浮世絵、屏風、土器、伝統工芸まで、番組の歴史を彩ってきた名品が大集結します。
多彩なジャンルの傑作を同時に体験できる機会はめったにないでしょう。

②当時の番組映像と言葉が展示室の中に蘇る

作品をめぐり、出演者やゲストが紡いできた言葉と貴重なアーカイブ映像が展示室に流れます。
あの頃の放送を追体験するように、作品と向き合えるのも楽しみのひとつ。

③作家の創作現場に密着した貴重な映像(第5章)

番組では完成した作品だけでなく、アトリエや創作の現場でのリアルな制作過程も紹介してきました。
作品が生み出される瞬間の緊張感と作家の言葉が、展示作品に新たな視点をもたらしてくれるはずです。

展覧会の構成を解説|5つの章でたどる、「日曜美術館」美の多様性

展覧会は、番組の取り組んできた企画やテーマに沿って、5つの章で構成されています。
番組の歴史を振り返りつつ、多様な視点で美術を体感していきます。

語り継ぐ美、そして日本美の再発見(第1章・第2章)

展覧会の幕開けを飾る第1章「語り継ぐ美 ~時を超えて美を語る言葉・語らせる作品」では、第一線で活躍するゲストが作品や芸術に対する思いを語った「私と◯◯」という企画をテーマにしています。

彫刻家・舟越桂が語るオーギュスト・ロダン、モデルにもなった矢内原伊作が伝えるアルベルト・ジャコメッティ、ロックミュージシャンの大槻ケンヂの石田徹也への思いなど、今を生きるアーティストや専門家、文化人の鋭い視点が作品の新たな魅力を引き出しています。

「NHK日曜美術館50年展」会場写真
「NHK日曜美術館50年展」会場写真
オーギュスト・ロダン 《考える人》 1880年 静岡県立美術館蔵
「NHK日曜美術館50年展」会場写真
(左から)石田徹也 《飛べなくなった人》《社長の傘の下》 ともに1996年 静岡県立美術館蔵

続く第2章「日本美の再発見 古代から明治まで」では、縄文土器、伊藤若冲、長沢芦雪といった日本美術の名品を、時代や人の視点とともに再解釈していきます。

「NHK日曜美術館50年展」会場写真
《縄文土器 深鉢 火焔型土器》 新潟県長岡市 岩野原遺跡出土 縄文時代(中期) 國學院大學博物館蔵

漫画家・芸術家の楳図かずおが語る月岡芳年の浮世絵が醸し出す鮮烈な色彩や、アーティストの村上隆が敬愛する伊藤若冲が描く繊細な自然の中に宿る力強さは、時代を超えて美の本質を問いかけてきます。(若冲は後期展示:5月12日〜)

「NHK日曜美術館50年展」会場写真

工芸の頂点と、「災い」と向き合う芸術(第3章・第4章)

第3章「工芸 伝統と革新」は、日曜美術館が長年にわたり取り上げてきた日本の工芸の魅力を凝縮した章です。
正倉院の宝物(模造)から現代の人間国宝の作品まで、日本の工芸がもつ技を目の当たりにします。

なかでもこの展覧会で注目したいのが、安藤緑山の牙彫(象牙彫刻)。本物と見紛う野菜や果物を再現する超絶技巧は、「手で作る」という行為の極限を見せてくれます。

テレビ越しに語られてきた「目で見る感動」が、ここでは現実のものとなって迫ってきます。

安藤緑山 《竹の子に梅 牙彫置物》 大正 – 昭和初期 京都国立近代美術館蔵 撮影:木村羊一

第4章「災いと美」では、疫病や戦争、震災など、困難な時代と向き合いながら表現を続けたアーティストたちに焦点を当てています。

香月泰男、靉光、野見山暁治、石内都といった作家たちの作品とともに、パブロ・ピカソ《ゲルニカ》の原寸大高精細映像の展示は、美術と社会の関係を問い直す体験です。

作家のアトリエから生まれる創造(第5章)

最終章「作家の生き様と美 ~アトリエ&創作の現場」は、作品の完成形だけではなく、作品が「生まれる現場」にまで迫ります。

アトリエでの制作過程や作家自身の肉声とともに、展示された作品と向き合う一味違った鑑賞体験が待っています。

「NHK日曜美術館50年展」会場写真

音声ガイドも見逃せない|檀ふみ・井浦新のナレーションで鑑賞体験が深まる

音声ガイドは、長年番組とともに歩んできた俳優の檀ふみさんと井浦新さんが担当しています。
二人の声とともに作品を巡れば、まるで番組の中に入り込んだような臨場感で鑑賞体験がぐっと深まるでしょう。

上野で開催中|「NHK日曜美術館50年展」は週末・GWのお出かけにおすすめ

テレビで見ていた作品を間近で見られるだけでなく、50年の歴史を体感できる展覧会になっています。
ぜひ、ゴールデンウィークや週末のお出かけに、上野で美術鑑賞を楽しんでみてはいかがでしょうか。

開催概要&アクセス

展覧会名: NHK日曜美術館50年展
会場: 東京藝術大学大学美術館(東京都台東区上野公園12-8)

会期: 2026年3月28日(土)〜 6月21日(日)
開館時間: 10:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)
休館日: 月曜日(5月4日(月・祝)は開館)
観覧料: 一般 2,000円 / 高校・大学生 1,200円 / 中学生以下 無料

\この記事をシェアする/

鶴丸 明

アートの仕事に10年以上携わりながら、台東区の美術館・博物館・ギャラリーを日常的に巡っています。アートを「詳しい人のためのもの」にとどめず、初めての方でも気軽に楽しめる見どころや鑑賞のポイントを紹介。上野・御徒町・浅草エリアを中心に、展覧会レビューや美術館、カフェ、本屋などをつなぐ街歩き情報を発信します。

  • facebookx
  • 人気エリアから探す

    ランキング


  • facebookx