上野|東京国立博物館で初の本格広重展!「歌川広重 江戸のベストアングル」で三大風景画シリーズを全点公開
上野の東京国立博物館で、同館初の本格的な歌川広重展が開催されます。広重の名を不朽のものとした三大風景画シリーズ「東海道五拾三次」「木曽海道六拾九次」「名所江戸百景」を、3期にわたって全点公開するという、国内外でも例を見ない展覧会です。広重が切り取った江戸の風景をぜひご覧ください。
「歌川広重 江戸のベストアングル」展とは?
歌川広重——江戸の風景を描き尽くした浮世絵師
歌川広重(1797〜1858)は、江戸時代後期に活躍した浮世絵師です。四季の移ろいを感じさせる風景画や、色鮮やかな花鳥画で一時代を築きました。代名詞ともいえる風景画では、日本各地を題材に、雨や雪、夕暮れといった繊細な情景を取り入れ、詩情豊かに江戸の風景を描き出しました。親しみやすくも新鮮味あふれるその作風は、江戸の人びとの心をつかみ、今なお世界中で愛されています。
「名所江戸百景」シリーズの《大はしあたけの夕立》では、強い夕立の雨を幾筋もの直線で描き、その様子を巧みに表現しています。この作品はゴッホが模写したことでも知られており、当時の浮世絵が西洋の芸術家たちに与えた影響の大きさを知ることができます。

本展は、東京国立博物館が内山晋氏(1893〜1980)旧蔵の浮世絵1,025点を受贈したことを記念して開催されるものです。静岡県生まれの内山氏は、商事会社を営むかたわら、静寂で抒情的な広重作品を愛し、質の高いコレクションを築いた蒐集家でした。その貴重なコレクションを核に、広重の代表作を3期に分けて紹介します。
「歌川広重 江戸のベストアングル」展のポイント
東京国立博物館にとって、本格的な歌川広重展はこれが初めてとなります。広重の風景画を「江戸のベストアングル」という切り口で、その魅力に迫ります。
最大の見どころは、広重を代表する3つのシリーズが、3期に分けて全点公開されることです。「東海道五拾三次」(1期)、「木曽海道六拾九次」(2期)、「名所江戸百景」(3期)と順にたどりながら、広重が切り拓いた風景表現を堪能できます。
さらに、保存状態の良い内山晋コレクションに加えて、超高精細映像のコーナーも登場します。約200年前の江戸の街を体感してみてはいかがでしょうか。
3期構成で作品総入れ替え——各期のみどころ
本展は会期中、3期に分けて展示作品がすべて入れ替わります。狙いの期をチェックして訪れるのがおすすめです。
1期「東海道五拾三次」と江戸名所(9/29〜10/25)
広重の出世作として名高い「東海道五拾三次」は、江戸から京まで続く東海道の宿場町を描いた風景画シリーズです。江戸時代後期に出版されたこのシリーズは、広重独自の視点と色彩感覚で描かれた美しい風景が当時の江戸の人びとの心を捉え、人気を博しました。 代表的な作品、《日本橋 朝之景》《庄野 白雨》などを紹介します。


2期「木曽海道六拾九次」と諸国名所・花鳥画(10/27〜11/23)
広重と渓斎英泉(1791〜1848)が手掛けたシリーズ「木曽海道六拾九次」。起伏に富む木曽街道の風景を、旅人や土地の人びととともに描き出します。切手でも親しまれた花鳥画の名作《月に雁》も登場。《木曽海道六拾九次之内 大井》の深々と降り積もる雪の表現にも注目です。



3期「名所江戸百景」の世界(11/25〜12/20)
晩年の代表作である「名所江戸百景」は、独自の視点と大胆な構図で江戸の名所を描いたシリーズです。タイトルの百景を超える120点が刊行されました。ゴッホが模写したことで知られる《亀戸梅屋舗》や、《大はしあたけの夕立》など斬新な構図の名作が並びます。



秋の上野で江戸の名所を巡る旅へ
天候や時刻、旅人の一瞬をとらえた詩情豊かな広重の風景画は、200年近い時を超えても今なお色褪せることなく新鮮な魅力を放っています。三大シリーズの全作品を見ることができるのは、まさにこの展覧会ならではの貴重な機会です。紅葉に色づく秋の上野で、江戸の「ベストアングル」に出会う旅へ出かけてみませんか。
開催概要&アクセス
展覧会名: 特別展 内山晋コレクション受贈記念「歌川広重 江戸のベストアングル」
会期: 2026年9月29日(火)〜12月20日(日)※3期制・全期作品入れ替え
1期:9/29(火)〜10/25(日)/2期:10/27(火)〜11/23(月・祝)/3期:11/25(水)〜12/20(日)
会場: 東京国立博物館 本館A室
住所: 東京都台東区上野公園13-9
開館時間: 午前9時30分〜午後5時(入館は閉館30分前まで)※毎週金・土曜、10/11、11/1・2、11/22は午後8時まで開館
休館日: 月曜日、10/13(火)、11/24(火)、12/15(火)※10/12(月・祝)、11/2(月)、11/23(月・祝)は開館
観覧料: 一般[前売]1,300円/[当日]1,500円、大学生500円(当日券のみ)、3枚セット券3,600円(前売・オンライン限定)※前売券販売は9/28まで
※高校生以下・満18歳未満・満70歳以上・障害者と介護者1名は無料

鶴丸 明
ライター

