上野で開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」が開幕|41年ぶりに名宝が一堂に
京都・紫野の地に広がる禅の名刹・大徳寺。その開創700年という節目の年に、特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」が、上野の東京国立博物館で開催されます。大徳寺の宝物がまとまって公開されるのは1985年以来41年ぶり、東京では初めてとなる大変貴重な機会です。
牧谿による国宝「観音猿鶴図」をはじめ、禅の精神と茶の湯の美学が融合した700年の歴史を彩る至宝が一堂に会します。会期は2026年10月14日(水)から、この秋、注目の展覧会です。
大徳寺とは?——後醍醐天皇が「本朝無双」と讃えた洛北随一の禅刹
大徳寺は、京都・紫野の地に広がる洛北随一の禅寺です。1326年(嘉暦元年)に宗峰妙超(大燈国師)によって開かれた大徳寺は、その峻烈な禅風を今に伝え、各時代を代表する名僧を輩出してきました。天皇や戦国武将、千利休をはじめとする茶人たちの信仰を集めながら発展し、なかでも後醍醐天皇は大徳寺を「本朝無双之禅苑」、つまり日本に二つとない禅苑と讃えました。この言葉が、そのまま本展のタイトルになっています。

その禅の教えは、一休宗純や沢庵宗彭、江月宗玩ら優れた禅僧へと受け継がれ、織田信長や豊臣秀吉といった戦国武将からも篤い信仰を集めました。大徳寺山内には、壮麗な障壁画と名園を擁する塔頭が数多く建てられ、千利休や津田宗及ら茶人・数寄者との所縁も深い寺として知られています。
開創700年の記念の年にあたる2026年、塔頭や大徳寺派寺院を含む山内の寺宝が一堂に会し、その歴史と文化を紹介するのが本展です。序章から終章までの物語仕立てで、禅と美の700年をたどります。
開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」——見逃せないポイント
① 大徳寺の展覧会は41年ぶり、東京では初
本展最大の見どころは、大徳寺の宝物がこれだけまとまって公開されること。大徳寺の展覧会は実に41年ぶりで、東京では初めての開催となります。
目玉は、「東洋一の名画」と謳われる水墨芸術の最高傑作、牧谿作の国宝「観音猿鶴図」。 牧谿の作品は、日本の水墨画の歴史において極めて重要な役割を果たしました。その表現技法や美意識は、雪舟や長谷川等伯をはじめ、多くの後世の画家たちに受け継がれ、日本の水墨画を特徴づける美意識の礎となりました。

あわせて、龍と虎が対峙する伝牧谿筆の重要文化財「龍虎図」や、開山・宗峰妙超の厳しい禅風を伝える国宝「看読真詮榜」など、数々の名宝が並びます。


さらに、後醍醐天皇が「本朝無双之禅苑」と讃えた書状や、一休宗純の墨筆など、大徳寺の歴史を彩る貴重な資料も多数展示されます。


② 禅と茶の湯、美の極致へ——国宝「曜変天目」も登場
茶人との所縁が深い大徳寺ならではの見どころが、茶の湯をめぐる名品の数々です。「天下三井戸」に数えられる国宝「大井戸茶碗 喜左衛門井戸」、鮮やかな堆朱の重要文化財「椿尾長鳥堆朱盆」が出品されます。


なかでも注目は、世界にわずか3碗しか現存しない完全な曜変天目のひとつ、龍光院所蔵の国宝「曜変天目」。会期後半には重要文化財「油滴天目」も登場し、禅と茶が織りなす美の極致に迫ります。

また、狩野永徳筆の「琴棋書画図襖」や、伝土佐光信筆「百鬼夜行絵巻」なども見逃せません。有力者の庇護を受けて発展した塔頭の堂内には、日本美術史に燦然と輝く禅宗美術の粋を集めた壮麗な世界が広がります。


③ 通常非公開の三門を再現展示、本尊と千利休像を初公開
千利休によって上層が造営された象徴的な三門「金毛閣」の世界も必見です。通常は立ち入ることのできない三門楼上を会場に再現し、そこに安置された釈迦如来坐像や千利休立像を紹介します。

三門楼上の本尊である印慶作の「釈迦如来坐像」と、明治時代に楼上へ安置された「千利休立像」は、いずれも本展が初公開。受け継がれてきた禅の深遠を、体感できる空間です。


「大徳寺 本朝無双之禅苑」展をさらに楽しむ
鑑賞をより深めたいなら、音声ガイドがおすすめです。ナビゲーターを『孤独のグルメ』でおなじみの俳優・松重豊さん、ナレーターを声優の上坂すみれさんが務めます。会場レンタル版(700円)のほか、アプリ配信版「聴く美術」(800円、iOS/Android)も用意されています。
さらに、本展限定の御朱印付き御朱印帳や、重要文化財「百鬼夜行絵巻」をイメージしたぬいぐるみクッションなど、思い出になるグッズも多数揃います。
会期中は、開催記念講演会(10/25)や美術史家・山下裕二氏と画家・山口晃氏のトークショー(10/30)、坐禅体験会(11/1)、紅葉の庭園を夜間公開する特別イベント「ZEN NIGHT TOKYO | 大徳寺展」なども予定されています。展覧会とあわせて楽しんでみてはいかがでしょうか。
秋の上野公園で京都の禅の世界に触れる
普段は京都の禅刹で大切に受け継がれ、めったに公開されることのない寺宝の数々。それらが開創700年という大きな節目に、東京で初めて公開されます。国宝「観音猿鶴図」から曜変天目、三門の初公開像まで、禅と茶の湯が育んだ美の世界を体感できる貴重な機会です。 紅葉の深まる秋、上野公園に足を運んで、“本朝無双”の世界にひたってみてはいかがでしょうか。
開催概要&アクセス
展覧会名: 開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」
会期: 2026年10月14日(水)〜12月6日(日)
会場: 東京国立博物館 平成館
住所: 東京都台東区上野公園13-9
開館時間: 午前9時30分〜午後5時(毎週金・土曜、11月1日・2日・22日は午後8時まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日: 月曜日(ただし11月2日・23日・30日は開館)、11月24日
入場料: 一般 2,300円(2,100円)/大学生 1,300円(1,100円)/高校生 900円(700円)※( )内は前売料金。前売券は8月7日(金)〜10月13日(火)販売。中学生以下、障がい者とその介護者1名は無料

鶴丸 明
ライター

