上野・国立科学博物館で企画展「どうする、ニンゲン」開催 地球環境を「人の生き方」から問い直す
地球環境問題を「人の生き方」の問題として考える展覧会がスタート
上野公園の国立科学博物館で、新たな展示「どうする、ニンゲン -研究の現場から地球の未来を問う」が始まりました。
国立科学博物館と総合地球環境学研究所の共同企画で、地球環境問題を「人の生き方」の問題としてとらえ直す、ユニークな切り口の展示です。
研究者と語り合える体験やワークショップなどの企画もあり、常設展の入館料のみで楽しめます。会期は2026年9月23日まで。
「どうする、ニンゲン」展とは?——科博と地球研がタッグを組んだ共同企画展
上野公園に位置する国立科学博物館は、自然史・科学技術史に関する国立唯一の総合科学博物館です。自然や科学に関する調査、研究をしながら、資料の収集を行い、多くの人に自然科学の面白さを伝える展示や学習支援活動をしてきました。そうした動物や植物の収集活動を続けるなかで、環境変動が自然環境に及ぼす影響の大きさを目の当たりにしてきたといいます。
地球環境の問題は、自然だけではなく、人間の社会や文化とも深く結びついています。そこで、地球環境問題を、人と自然の関係はどうあるべきかという「人の生き方」の問題ととらえて研究を続ける総合地球環境学研究所と共同で、本展が企画されました。
総合地球環境学研究所は2001年創立の国立研究所で、「地球環境問題はことばの最も広い意味における人間の『文化』の問題である」という理念のもと、自然科学・人文学・社会科学の垣根を越え、行政や企業、生産者、住民といった当事者とともに課題に取り組む「超学際研究」を各地で進めています。
本展は、その研究事例や活動を紹介しながら、人と地球の関係をあらためて考える機会を届けてくれます。

「どうする、ニンゲン」展の見どころ
① 「気づく・とらえなおす・問いつづける」——全3章で地球との関わりをたどる
展示は「1章 気づく」「2章 とらえなおす」「3章 問いつづける」という3つのステップで構成されています。
1章では、食べるもの・使うもの・住むところなど日々のあらゆる場面が自然とつながっていることに気づき、環境問題の根源を見つめます。2章では、暮らしと海、社会と気候変動、地域と生きものといった複雑なつながりを研究者がどう解きほぐしてきたかをたどります。そして3章では、環境問題の現場で生きる人々と研究者が解決のために生み出した新しい価値観と生き方に触れ、「わたしたちはどう生きるのか」という問いへと導かれます。

② 中央ホール「問いの森」——4つの超学際研究にふれる
中央ホールに広がるのが「問いの森」。研究者と語り合える対話の縁側「かたろう、ニンゲン」を中心に、自分の考えを書き残したり、静かに思いを巡らせたりしながら過ごせる空間です。社会の人々と研究者が一緒に問題へ取り組む「超学際研究」を体感することができます。ここでは、熱帯雨林の狩猟採集民、サンゴ礁の島の住民とアーティスト、里山地域の人々、砂漠化地域の人々と研究者による4つの超学際研究が紹介され、地球に暮らすニンゲンとして「ともに考える」体験ができます。

③ 対話の縁側「かたろう、ニンゲン」——研究者と気軽に語り合える
本展ならではの体験ができるのが、中央ホールのテーブルで展開する対話の縁側「かたろう、ニンゲン」です。会期中はさまざまな分野の地球研研究者が会場に滞在し、展示のことや生活のこと、環境のことなど、何でも気軽に語り合えます(研究者滞在時間は10:00〜11:30、14:00〜15:30)。
日によって滞在する研究者のテーマは変わり、サンゴ礁と暮らしのつながり、同位体環境学、窒素と環境問題、持続的な食のあり方、野生動物のまもりかたなど多彩。縁側でひと休みするように、専門家との対話を楽しめます。
関連イベントにも注目
より深く楽しみたい人には、関連イベント「あつまれ、ニンゲン」(事前申込・抽選制)もおすすめです。 各章の研究者が展示の背景にある問いや研究のストーリーを語るトークイベントなどが会期を通して開催されます。申し込みは総合地球環境学研究所の公式サイトから受け付けています。
まとめ
地球環境問題という大きなテーマを、「わたしたちはどう生きるのか」という自分ごとの問いへと変えてくれる本展。展示を見るだけでなく、研究者と語り、自分の考えを書く、そんな参加型の仕掛けが魅力です。夏休みの自由研究のテーマにも、暑すぎる夏に地球環境について考えるのにもぴったりの企画展です。夏から初秋の上野散策とあわせて、地球とニンゲンの未来を考える時間を過ごしてみませんか。
本展は常設展示の入館料だけで観覧できるので、上野公園の他の見どころとあわせて一日じっくり過ごすのもおすすめです。
開催概要&アクセス
展覧会名: 国立科学博物館×総合地球環境学研究所 共同企画展「どうする、ニンゲン -研究の現場から地球の未来を問う」
会期: 2026年7月31日(金)〜2026年9月23日(水・祝)
会場: 国立科学博物館(東京・上野公園)日本館1階 企画展示室および中央ホール
住所: 〒110-8718 東京都台東区上野公園7-20
開館時間: 9時〜17時 ※8月9日(日)〜8月15日(土)は18時まで
※入館は閉館時刻の30分前まで
休館日: 9月7日(月)、9月14日(月)
入館料: 一般・大学生630円(団体510円)、高校生以下および65歳以上は無料
※本展は常設展示入館料のみで観覧可 ※団体は20名以上

鶴丸 明
ライター

