【湘南台】家族の想いが詰まったご近所カフェ。手作りスイーツとあたたかな雰囲気が心地よい「コルテ」
湘南台の住宅街に、草花に囲まれたお洒落なカフェがあります。
もともとは、店長・岩崎佳代さんの義理の両親の畑だったというその場所に、家族みんなの思いを込めて建てた「コルテ」。
2022年3月26日のオープンから4年。ご近所の常連さんや、新規のお客様に恵まれ、幅広い世代に親しまれています。取材日も、常連のご年配のご夫婦や、ママ友の集まり、カップル、おひとりの方などたくさんの人が訪れていました。
今回は、店長の姪っ子である岩崎日名子(ひなこ) さんに家業を継いだ経緯や、地域とのつながり、接客やメニューへのこだわりについてお話を伺いました。

「ご近所の方が気軽に集える場所を」という思いから
「コルテを始められたきっかけを教えてください。」
最初のきっかけは、父が「近所の方が気軽に集える場所を作りたい」と言い出したことでした。ちょうどこの土地が祖父母の畑だったのですが、高齢になって畑仕事を続けられなくなっていたので、カフェを始めようという話になったんです。
「オープンまでに大変なことはありましたか。」
うちは家族、親戚、知人しか働いていないお店なんです。だから、気心知れたみんなで相談しながら準備を進められたので、不安はあまりなかったです。
「壁もスタッフのみなさんで塗ったとか。」
そうなんです。全部スタッフや家族みんなで塗りました。お店のデザインをお願いした家具屋さんが「どうせなら壁もみんなで塗りましょう」と提案してくださって。大変でしたけど、楽しかったですね。

父が描いた「ワークスペース」という構想、そして開店直前の出来事
「リモートワークスペースはお父様が一番作りたかったスペースだと伺いました。」
そうです。父が「ワークスペースを作りたい」という思いをずっと持っていて。ちょうどコロナ禍が落ち着きかけていた頃でした。なかなか家から出て過ごせる場所がない事を懸念していて、外に出て気分転換ができる場所の必要性を感じていたようです。


「リモートワークスペースの利用状況はどうですか?」
平日は空いていることもありますが、土日はお休みの方などに利用していただくことが多いです。価格も一般的なレンタルスペースに比べるとかなり手頃にしているので、「コーヒーを飲みに行く」くらいの感覚で使っていただけたらと思っています。(1時間700円~)一度使っていただくとリピートしてくださる方が多くて、毎週来てくださる常連さんもいるんですよ。半個室なのでお店の会話が聞こえてしまい賑やかなこともありますが、それも含めて「ちょっと気配があるのがいい」と言ってくださる方もいます。
「お父様は、今は一緒に働かれているのでしょうか。」
それが、オープンの一ヶ月前に、もともと病気を抱えていたこともあって亡くなってしまったんです。準備はずっと一緒に進めていたので、オープンする姿を見られなかったのは、父にとっても心残りだったかもしれません。とても悲しくて辛い出来事でした。
大学卒業と同時に、家業を継ぐ決意
「もともと日名子さん自身もカフェを手伝おうと決めていたのでしょうか。」
実は、最初から「やろう」と決めていたわけではなかったんです。当時は就職活動もしていました。ちょうど私が大学を卒業するタイミングでコルテがオープンする予定だったので、父や叔母から「お店を手伝ってみたら」とも言われて。学生時代はカフェでバイトをしていて接客も好きだったので興味はありました。
その後、父が亡くなって「自分がやらなきゃ」という気持ちが強くなって、本気でお店をやっていこうと思うようになった感じです。
「お店では主にどんなことを担当されているのですか。」
スイーツ作りを担当しています。試行錯誤しながら、調理を独学で勉強したり、他のカフェで働かせてもらって接客を学ばせてもらっています。

名前「コルテ」に込められた、祖母への想い
「店名の「コルテ」には、どんな由来があるのでしょうか。」
「コルテ」という名前は父が考えました。私の祖母の名前が「てるこ」で、これを反対にすると「コルテ」になるんです。祖母は太陽みたいに明るい人で、父が亡くなる2年ほど前に亡くなりました。そんな祖母のように、太陽みたいに明るくて、あたたかいお店になればいいなという思いが込められているんだと思います。
日替わりランチと、家族ミーティングで決めるメニュー
「ランチメニューを日替わりにされている理由は何でしょうか。」
来てくださった方に「今日は何かな」とワクワクしてもらえたらなと思って。ずっと同じメニューだと飽きてしまうので。水曜日と土曜日はカレー(キーマカレーとチキンカレーを交互に)で固定していますが、それ以外の曜日は二ヶ月ごとくらいでメニューを変えています。
「メニューはどうやって決めているのですか。」
月に一回、母と叔母、姉、そして私の四人でミーティングをして、案を出し合うんです。みんなしっかり意見を言うので、ぶつかることもあるんですが、それもお店を作っていく上で大事なことだと思っています。
「人気のメニューはありますか。」
定番のベイクドチーズケーキとプリンは、どちらも人気です。デザート目当てで来てくださる方も多いですね。カレーも好きな方が多くて、楽しみにしてくださる常連さんもいます。

「裏庭で採れたものも使われていると伺いました。」
梅や夏みかん、ブルーベリーなどですね。これはもともと父が、庭仕事が好きで植えていたもので、お店で使うために植えたわけではなかったんです。季節になると収穫できるので、「今年採れた分だけ」という形で、なくなったら終了という限定メニューにしています。「梅はいつできるの」と毎年楽しみにしてくださる方もいてうれしいですね。
ご近所とのつながりを何よりも大切に
「近所のお店ともコラボされているそうですね。」
ご近所のきなこカリーさんとは月に一回コラボをしています。知り合いの知り合いという縁があり、「コラボしてみましょうか」という感じで始まりました。店内のお花は近所の花屋さんから仕入れていますし、店内で売っているパンは、コルテと同じくらいの時期に開店したパン工房向日葵さんのものなんです。みんなでこの地域を盛り上げていけたらいいなという思いがあります。


「ひだまり市というイベントにも参加されているとか。」
これは私たちが主催しているマルシェのようなイベントです。普段からお世話になっているパン工房向日葵さんや、きなこカリーさん、近所の農家さんに野菜を出していただいたりしています。仕事中の雑談から生まれた企画なんですが、みんなで構想を練ってやってみました。とても好評で年に一回開催していて、今年で三回目になります。
「開催時期はいつ頃なのでしょうか。」
これまで12月にやっていたのですが、寒かったり天候が悪くなりやすかったりするので、来年からは春に開催しようかという話をしています。毎年楽しみにしてくださっている方も多いので、お近くの方はぜひ遊びに来てほしいです。

店内のお花は、ご近所のお花屋さんのもの。各テーブルに飾ってあり素敵です。
幅広い年代のお客様の憩いの場
「和室もあると伺いました。」
当初は、近所のお年寄りの方が気軽に過ごせる「憩いの場」を想定して和室を作りました。でも、実際に来てくださる方の多くは、ベビーカーやハイハイの赤ちゃんを連れたご家族で、和室利用の方の9割くらいが親子連れなんです。ご年配の方は座敷だと膝に負担がかかってしまうこともあるので、テーブル席を好まれます。今では、和室におもちゃも置いて、小さなお子さま連れの方に安心して過ごしてもらえる場所になりました。結果的にはママたちの憩いの場になったので良かったです。

「接客で大切にしていることはありますか。」
顔を覚えるのが得意で、何度か来てくださった方には「今日は早いですね」のように声をかけることもあります。ただ、常連さん同士の仲が良すぎると、新しいお客様が入りにくくなってしまうこともあるかなと思っていて。近づきすぎず、でも気にかけている、というちょうどいい距離感を大切にしたいと思っています。
スタンプカードも、最初は「とりあえず作ってみよう」という感覚で始めたんですが、今まで集めたことがなかったというご年配の方が楽しそうに集めてくださり、会話のきっかけになっています。作って良かったですね。

「今後、挑戦したいことはありますか。」
この辺りは駅前まで行かないとカフェがないので、もう少しこの地域を盛り上げられたらいいなと思っています。「ひだまり市」のように、近所のお店と一緒に何かをやることで、いろいろなお店に足を運んでもらえるきっかけを作っていきたいですね。
これからも、お店に来てくださる方が肩肘張らずに、自分のペースで心地よく過ごせる空間を目指していきたいです。


テラス席もあり、ペットを連れている方もいらっしゃいました。
こだわりのスイーツを堪能
インタビューの締めくくりに、今回は定番メニューのベイクドチーズケーキとカフェオレをいただきました。

まず目を引いたのは、ベイクドチーズケーキ。ずっしりとした重量感があり、期待が高まります。一口食べると、チーズの風味がしっかりと口の中に濃厚に広がりました。ベリーソースを絡めると甘酸っぱさがさっぱりとしたアクセントになって、何口でも食べ続けられる味わいです 。底にはしっとりとしたクッキー生地が敷かれていて、味のコントラストを楽しめます。手作りならではの丁寧さが、一切れの中にぎゅっと詰まっていました。
そしてカフェオレは、ラテアートが可愛らしいのも嬉しいポイント。私のカップには葉っぱが描かれていたのですが、別のお客さんにはクマが描かれていました。何が現れるかはお楽しみ。ほっこりとした気持ちで飲み始めると、コーヒーの控えめな苦味がスイーツとよく合いました。
背伸びをせずにのんびり過ごせる場所
「コルテ」には、太陽のように明るかったおばあ様とお父様の面影が随所に感じられ、「ご近所の人が気軽に集える場所を」という家族の願いがあたたかな雰囲気となってお店のあちらこちらに漂っていました。常連さんからのプレゼントである木彫りの置物もその一つ。

取材の中で何度もお話いただいた「自分たちのできる範囲」という言葉。背伸びをせず、できることを楽しんでやってきた結果、お客様にとっても居心地の良い「みんなが集える場所」が自然と生まれていったのかもしれません。
家族のあたたかさを感じるお店で、こだわりのスイーツを食べたくなったら、ぜひカフェ「コルテ」に足を運んでみてはいかがでしょうか。
Cafe Corte(カフェコルテ)
住所:神奈川県藤沢市湘南台6-38-10
電話:0466-20-5213
営業日:水木金土日(不定休)
営業時間:10:30~17:00(ランチは11:30~、売り切れ次第終了)
店内:カフェ:20席、ワーキングスペース(半個室):5席、和室(6畳):大人6名様程度
駐車場:8台

森田かえ

