保土ケ谷の「おにぎり cafe nikuQ」。常時12種類のおにぎりが揃う。姉妹で営むテラス席やBBQも楽しめるカフェ

保土ケ谷駅から歩いて6分。住宅街の一角、飲食店が建ち並ぶ通路の一番奥に珍しいカフェ「おにぎり cafe nikuQ」があります。
駅前でもなく、決して人通りが多いわけではないこの場所で、姉妹二人が営む小さなおにぎり屋。

最初は普通のカフェとしてオープンしました。しかし半年後、住宅街というこの土地の特性に合わせて、思い切って「おにぎり」に特化したお店にリニューアルしたそうです。

姉はメインで店に立ちながらSNSでの発信に力を入れ、妹は夜は別のお店を切り盛りしながら、お休みの日に店を手伝い支える。

それぞれの得意分野を活かしながら、二人三脚でお店を育てているお二人。今回は、妹の泉田春美さんにお話を伺いました。

とても気さくで話しやすい泉田さん

テイクアウトだけじゃない、おにぎりカフェ

「石川県出身だと伺いましたが、どうして保土ケ谷でお店を構えたのでしょう。」

二人とも高校を卒業して神奈川の学校に来て、そのまま残りました。保土ケ谷には最初から縁があったわけではなかったんです。この場所でお店を出したのは、以前のお店の方と共通の知り合いがいて、紹介してもらったのがきっかけです。正直この辺りのことは全然分からなくて、お店をやりながら知っていきました。

この通りの一番奥に「おにぎり cafe nikuQ」があります。(泉田さん提供写真)

「もともとはカフェだったそうですが、おにぎり専門のカフェにしたきっかけは?」

この辺りは住宅街なので、何かに特化したほうがお客さんに認知してもらいやすいのかなと思ったんです。人通りが多い場所でもないので、何か一つ売りを作って差別化したほうがいいと考えました。自分たちの地元にちなんだものを使いたくて、石川県はお米が美味しいので「おにぎりにしよう」と決めたんです。

「テイクアウトだけでなく、店内飲食ができるおにぎり屋さんが印象的でした。」

半年間カフェとして営業したのち、おにぎり屋へとリニューアルしたので、定番メニューは残しつつ、店内飲食もできるおにぎりプレートも作りました。目でも楽しんでもらえたらと思ったんです。自分だったらどういうプレートが嬉しいかなと考え、健康面も考慮して、いろいろな種類を少しずつ食べられるスタイルにしました。
オムレツと、汁物の牛すじのスープは定番。副菜を日替わりメニューにして飽きのこないプレートにしました。

店内はテーブル席2つと、カウンター席が4席。こぢんまりとしていて落ち着ける空間でした。

「おにぎり cafe nikuQ」という店名も個性的ですね。由来を教えてください。」

娘が動物好きで、特に肉球が大好きなんです。「肉球」を「nikuQ」と表記しました。「Q」にはBBQもできるお店という意味もあり、この名前になりました。

店内にはお店の名前にちなんだ、かわいい肉球の絵が飾ってあります。

こだわりの具材と、握りの技術

「おにぎりの具材がとても多いことに驚きました。」

定番は定番で推しつつ、うちのオリジナルも考えたほうがお客さんに喜んでもらえると思ったんです。基本的に二人でお互い考えたものを持ち寄って、話し合って作っています。新しい変わり種も定期的に考案しているんです。
忘れちゃうぐらい数が多いので、姉が書き留めてくれていて、見返して思い出しながら作るときもあるんですよね。お客様からのリクエストにも応えていますし、もう一度食べたいという声も大切にしています。

常時12種類はあるというおにぎりに加えて、その他のお食事やドリンクも豊富。

「握るときに気をつけていることはありますか?」

握る力加減は大事にしています。テイクアウトと店内で食べるのとでは、握り方を変えていますね。強すぎると冷めたときに硬くなってしまうので、テイクアウトのときは柔らかめに。店内ですぐ食べる場合は、握りが甘いとくずれてしまうので、こぼれない程度の加減を心がけています。
分量もだいたい110gにしていますが、量りは使わず、型と感覚です。やっているうちに、手が自然と覚えてきました。

量りも使わず目分量と感覚で握る姿は、まさに職人技!!

女性に人気!「おにぎり食べ放題」

「食べ放題メニューを始めたきっかけは?」

1週間の中で暇な曜日がだんだん分かってきて、その曜日の集客を考えたときに、食べ放題という売りを作れば、前より集客が見込めるんじゃないかと思いました。
おにぎりプレートにつく最初の2個は通常の大きさですが、追加分は小さめに握り、いろんな種類を少しずつ楽しめるように工夫しています。

「どのような客層に人気ですか?」

意外と女性の方に人気です。喜んでたくさん食べてくださる方が多いですね。
一番の記録は、プレート標準の2個に加えて15個、合計17個を食べた女性客でした。
おにぎりプレート1,200円にプラス550円で食べられるので、かなりお得だと思います。最初は認知度が低かったんですが、最近はThreadsで見て来てくれる方も増えて、少しずつ広まってきている実感があります。

テラス席にBBQ、宴会プランも。自由度の高い店づくり

「テラス席やBBQができるスペースもあるそうですね。」

それぞれの店舗が店の前に席を設けていて、通り全体が開放的な雰囲気になっています。テラス席はペット可なので、犬の散歩がてら立ち寄る常連さんにも評判がいいですね。
BBQスペースは1席だけなので、貸切で使っていただく形です。食材は基本的に持ち込んでいただくスタイルで、うちは場所と設備、それから飲み放題がつけられます。食事の提供が必要であれば、事前に言っていただければ、こちらでもご用意しています。また、その場でおにぎりを作ることも可能です。

通路にあるテラス席は、ペット連れOKなのがうれしい。
1組限定で、BBQができる屋外スペースもあります。

「宴会プランや、夕方のタイムセールもあるとか。」

夜には事前予約制の宴会プランもあります。おにぎりの他に、その日ごとに考えたコースメニューを提供します。
タイムセールは、お米が余ったときや暇なときに気まぐれでやることも。その日の状況で始めるので、Instagramをチェックしていただけると嬉しいです。

姉妹だから叶う、本音で向き合える距離感

「SNS発信が面白くて印象的でした。何か意識されていることはありますか?」

姉も私もそんなに得意なわけではないので、人気の方の投稿を見て、最近の流行りを調べながら考えています。休みの日や営業時間外に、二人で話し合いながら試行錯誤して作っていますね。
ここはあまり人通りが多くないので、集客が一番の課題です。
「奥まで見えづらくて入りにくい」という声もあり、入りやすさの工夫や認知度向上のためにもSNS発信に力を入れています。

「姉妹でお店をやっていて、仲がいいんだなぁと感じました。」

学生時代は仲が悪かった時期もありました(笑)。でも大人になってからは、一緒に働いていない時期もたまにご飯に行っていましたね。意見の食い違いはもちろんありますが、家族なので性格をある程度分かっていて、譲歩したり調整したりしながらやれています。
知らない人だとぶつかってそのまま離れてしまうこともありますが、姉妹だからこそ気を遣わずにできるので居心地がいいですね。

地域のお店とのつながりや小学生とのコラボレーション

「時々、イベントもされているとか。」

並びのお店のハンバーガー屋さんが地元でイベントによく参加されていて、誘っていただき一緒にやることが多いです。この通りはみんな仲がいいんですよね。
昨年は大家さんの呼びかけで、通り沿いの店舗が持ち回りで毎月イベントを開催しました。ハロウィンや、隣のタイ料理店にちなんだ「タイフェス」などをやったんです。
今後は地域のイベントにも、積極的に参加していきたいと思っています。

「食育体験で小学生も受け入れているそうですね。」

イベントは基本的に好きなので、みんなで楽しく盛り上がれたらと思ってやっています。
今年3月には天王町のお祭りで、子どもたちが考えたオリジナルのおにぎりを実際にメニューとして提供しました。1日目は自分でおにぎりを握る体験、2日目は当日の会場で販売する体験という2日がかりの企画だったんです。
何個売れるか分からない中で、おにぎりを何個握ろうか、パックの食品表示はどうするかなど準備は大変でした。営業もしながらだったので、朝からずっとバタバタでしたね。
でも、大人では思いつかない視点や、子どもならではの気づきがいっぱいあって、私たちにとってもいい勉強になりました。
大変でしたが、終わった後はやってよかったなと思いましたね。

食育体験では、おにぎりの握り方をレクチャーしたそうです。(泉田さん提供写真)

大満足のおにぎりプレート

今回いただいたのは、看板メニューのおにぎりプレート。具材は定番人気の「高菜」と、人気ランキング上位表に書いてあった「豚みそ梅」の2種類。
ひとくち目、まず鼻を抜けるごま油の香ばしい香りを感じました。高菜の味付けは濃すぎず、ちょうどいい塩梅でご飯との相性がとても良かったです。

豚みそ梅は、ごろっとした豚みそがたっぷり入っていて、ひと口ごとにしっかりとした食べ応え。そこに梅の酸味がアクセントになり、後味はさっぱり。いくらでも食べられそうな美味しさでした。

この一皿の美味しさを支えているのが、地元・石川県産のお米と、同じく石川の名産である塩。しかも塩は2種類を使い分けており、粗塩を使うことで、口の中でじゃりっとした食感のアクセントを加えているというこだわり。姉妹の美味しさへの追求を感じました。
次回は、女性に人気だという「おにぎり食べ放題」にも挑戦して、変わり種の数々を味わい尽くしてみたいと思います。

変わり種おにぎりを味わいながら、おしゃべりするひととき

取材を通して感じたのは、姉妹それぞれが自分の得意なことに徹しながら、無理なくお店を支え合っている姿でした。筆者は2人の間に、阿吽の呼吸を感じました。

お姉さんの静かで柔らかい雰囲気と、泉田さんの周りを元気にする楽しく話しやすい雰囲気。2人の良さを生かしながら、お客様との関係を大切に育んできたお店の雰囲気こそが、多くの人を惹きつけているのだと想像できました。

ここでしか出会えない変わり種おにぎりを味わいたくなったら、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

おにぎり cafe nikuQ
住所: 横浜市保土ケ谷区岩間町2-161-1
(JR保土ケ谷駅から徒歩6分/相鉄本線 天王町駅から徒歩5分)
営業日:Instagramにて随時案内
営業時間:通常11:30〜18:00(L.O.17:30)※営業時間外の予約も相談可
電話: 045-330-1359
座席: 店内席/テラス席/BBQスペース(貸切)
サービス: テイクアウト(1個からOK)、ペット可(テラス席)、宴会プラン(予約制)、おにぎり食べ放題(プレート1,200円+550円)

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森田かえ

取材ライター

教育・子育て・暮らしを中心に執筆する取材ライター。 人の想いや背景を丁寧に聞き取り、言葉にすることが得意です。 子どもや家族、地域にまつわるテーマを軸に、読み手の暮らしに届く文章を心がけています。 お酒を飲みながら一人の時間を楽しむのが、ささやかな幸せ。
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