台東区を舞台にした浮世絵!小粋な江戸っ子たちが愛した江戸の名所を当代随一の絵師たちが熱く華やかに描く!

江戸の風情と活気を今に伝える浮世絵。
その舞台として、台東区はまさに東京一のベストスポットです。
江戸時代に当代随一といわれた絵師たちが描いた浮世絵は、現代を生きる我々にも当時の江戸の息吹を熱く伝えてくれます。
また台東区には江戸情緒を残す名所が多く、浮世絵を堪能することで改めて名所の素晴らしさを感じることができます。

今回は、台東区を舞台にした浮世絵について、どこよりもわかりやすくご紹介します。

なぜ、台東区は浮世絵の舞台として多く描かれているのか?

台東区が浮世絵の舞台として多く描かれていた理由は、江戸時代の台東区は町人文化の中心地で浅草、上野、吉原などの名所がずらりとそろい、浮世絵のロケーションとしてベストなエリアだったからです。
江戸時代の台東区は、まさにポップカルチャーの発信地と言える場所でした。
特に浅草は新しいものに目がない江戸っ子が集まるエンターテインメントの中心地で、祭り、花見、演劇、遊郭、ロケーションの美しさなど、当時の人気絵師たちが描きたい題材が豊富なエリアです。
人気絵師たちはこれらの風景や風俗を活き活きと描き、当時の庶民文化を伝える作品を多く残してくれました。
また台東区を舞台にした作品で、もっとも縁が深かったのは歌川広重、歌川国芳、葛飾北斎などの当代随一といわれた人気絵師たちです。
彼らが描いてくれたからこそ、江戸時代の台東区はより素晴らしく描かれました。

次の章から、台東区を舞台にした特に有名な浮世絵3点についてご紹介します。

①名所江戸百景 浅草金龍山(めいしょえどひゃっけい あさくさきんりゅうざん)

名所江戸百景 浅草金龍山の舞台は、当時の台東区の浅草寺雷門前です。
作者は歌川広重で、制作されたのは1856年〜1858年頃です。
名所江戸百景シリーズは歌川広重の最晩年の作品といわれ、江戸の四季折々の風景を描いた5年の歳月を経て完成した大傑作シリーズといわれています。
浅草金龍山は名所江戸百景の中の1枚で、浅草寺の冬の情景が丁寧に描かれたものです。

雪が降っている浅草寺雷門前から、山門と五重塔を描いています。
金龍山とは、浅草寺の山号(正式名称の1つ)のことです。
冬の浅草寺が雪化粧した風景が美しく、静かな雰囲気が特徴で、 画面には雷門や仲見世通り、浅草寺の本堂が遠くに見え、雪の中を歩く人々や傘をさす姿が描かれています。

赤い雷門の提灯や白い雪のコントラストが印象的で、広重の色彩感覚が光る作品です。

歌川広重が「浅草金龍山」を浮世絵の舞台にした理由は、浅草寺が江戸を代表する名所だったこと、雪景色の美しさを表現したかったこと、庶民の暮らしや親しみやすさを伝えたかったこと、ロケーションが浮世絵として売れる題材だったことが考えられます。

②東都名所 浅草今戸(とうとめいしょ あさくさいまど)

東都名所 浅草今戸の舞台は当時の台東区の今戸です。
作者は歌川国芳で、制作されたのは1831〜1832年頃です。
内容は当時の今戸で行われていた今戸焼の様子が描かれています。
大きな窯の前で、数名の職人たちが瓦の材料になる粘土をこねていたり、窯の火の具合を監視したりしています。
またバックは隅田川です。
隅田川の向こう岸には何艘かの小舟が浮かんでいます。

歌川国芳が「浅草今戸」を浮世絵の舞台にした理由は、今戸焼をつくる職人の様子、モクモクと立ち昇る煙、美しい隅田川の風景が江戸っ子の心をつかむロケーションだと確信したからだと考えられます。

③冨嶽三十六景 東都浅艸本願寺(ふがくさんじゅうろっけい とうとあさくさほんがんじ)

冨嶽三十六景 東都浅艸本願寺の舞台は、当時の台東区の浅草本願寺です。

作者は葛飾北斎で、制作されたのは1830〜1832年頃です。

葛飾北斎が70代後半の頃の作品といわれています。

内容は当時明暦の大火の後、浅草へ移転してきた浅草本願寺の巨大な大屋根で瓦職人たちが
瓦葺作業をやっている様子を描いたものです。

お寺の後ろに、江戸の街の家々がたくさん並んでいます。

遠くには雪をかぶった富士山がくっきり浮かび、白く輝いていて美しい風景です。

大きなお寺の屋根が画面の右側を占め、左側は江戸の街と富士山が広がり、北斎は「近くの大きなもの」と「遠くの小さなもの」の対比を上手く使って、空間の広さを表現したのだと思われます。

葛飾北斎が「東都浅艸本願寺」を浮世絵の舞台にした理由は、当時移転してきた浅草寺の屋根の大きさが話題になっていたこと、富士山が美しく見える場所だったこと、大胆な構図で江戸っ子の度肝を抜きたかったことと考えられます。

まとめ

今回は、台東区を舞台にした浮世絵についてご紹介しました。
江戸時代、台東区は浅草や上野などがあり、派手で賑やかな江戸文化の中心地でした。
浮世絵師たちはその賑わいや風情を作品に描き出します。
浮世絵は現実を忠実に再現するよりも、物語性や情感、美的効果を表現した芸術作品です。

ぜひ、これらの浮世絵を通して、台東区の江戸情緒を感じてみてはいかがでしょうか。

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smileman

地域の魅力を発信しているフリーライターです。 台東区の歴史、文化、人物、土地、食、芸術、風習、建築物などをわかりやすく紹介します。

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