【取材】濃厚鯛出汁でいただく、〆まで美味な海鮮丼。心ときめく唯一無二の海鮮丼を蔵前の「ころ九」で味わう
「東京のブルックリン」との異名を持つ蔵前。
お洒落なカフェなどが集まる、若者に人気のスポットです。
そんな蔵前に新しくオープンしたのは、「ころ九」という海鮮丼屋さん。
まるでカフェのようなお洒落なお店で味わえるのは、〆まで美味しい唯一無二の海鮮丼。取材を通して、その魅力を探ります。
目次
海鮮丼をより美味しく味わうアイデアを詰め込んで。細部までこだわりぬいた海鮮丼
「ころ九」という可愛らしい響きのお店の名前、由来はなんとゲームなんだそう。
「このお店のオーナーと店長は、もともとゲーム友達だったんです」と話すのは、スタッフの北村さん。
二人のゲームのユーザー名とこだわり「9」種の海鮮丼を合わせて、「ころ九」という名前になったんだとか。何とも面白い由来ですよね。
ちなみに「ころきゅう」と読んでしまう方もいるそうですが、読み方は「ころく」です。
では、ゲーム友達だったお二人が、なぜ海鮮丼のお店を開くことになったのでしょう。
「仲良くなった二人は、飲食店を出したいという話をしていたそう。オーナーは小さいころから海鮮が大好きで、週3くらいで海鮮丼やお寿司のお店に行っていたんです。そこで、お店の味が家でも再現できないかと、自宅でも海鮮丼を作るようになったそうです。」
店長はもともと鉄板焼のお店でも腕をふるっていたこともあり、オーナーがアイデアを出し、店長がそれを形にする、というスタイルで海鮮丼作りを進めたんだそう。
そんな経緯で誕生したこのお店の海鮮丼が、他のお店と大きく異なる点は二つ。
まずは「ころ九玉」。
海鮮丼と言うと、魚の切り身がご飯の上に載っているものをイメージする方が多いと思いますが、こちらの海鮮丼は「ころ九玉」をご飯の上に載せているのです。では「ころ九玉」とは、一体何なのでしょう?
このお店の通常メニューはごちそう丼【上】、ごちそう丼【特上】、ごちそう丼【極】の三種類です。この三つに共通しているのが九種類の具材(まぐろ、ネギトロ、数の子、つぶ貝、いか、飛び子、いくら、ねぎ、きゅうり)。こちらのお店ではこの九種類の具材を細かく刻んで球状にしたものをご飯の上に載せています。この球状の具材が通称「ころ九玉」と言われるものなのです。
この「ころ九玉」にとてもこだわったのだと、店長も北村さんも口をそろえて言います。
「ころ九玉は、食べたときの味や旨味など、様々な要素にこだわりました。その中でも一番大事にしたのは食感です。」と話す北村さん。
何の具材を入れるか、またそれらを入れる量をどうするかを調整し、何度も試作を重ねたんだとか。
中でもキーとなった食材がつぶ貝、きゅうり、数の子の三種類。これらが入ることによって、マグロやねぎとろのとろけるような食感とのコントラストが生まれます。
海鮮丼は、卵黄醬油にわさびを溶かし、全体に回しかけていただくスタイルです。
「醤油だけだと、どうしても醤油の味が強く出てしまうので、それをまろやかにするものを作りたい、ということで卵黄醤油を思いつきました。」と店長。
ころ九玉を下からしっかり支えるお米は、「ひとめぼれ」を使用しています。
鎌倉のお米屋さんから仕入れているそう。
「使用するお米も、何種類も食べ比べて決めました。決め手となったのは食感。ひとめぼれは口に入れたときに特製ころ九玉との相性が抜群で、よりごちそう丼を引き立ててくれるお米だと思いました。」このご飯の上にはゴマが載っています。何とこのゴマ、店長が店で炒ったものを使っているんだとか。これにより、通常のいりごまより風味が良くなるそう。細かいこだわりに脱帽です。
そして、こちらの海鮮丼の特徴二つ目は、なんといっても〆の濃厚鯛だしです。
鯛の頭と数種類の食材を合わせて、三時間から四時間かけてじっくり炊いて作られる濃厚鯛だし。そのお出汁を残ったご飯にかけて、お茶漬けとしていただけるという何とも贅沢な海鮮丼です。
それにしても、海鮮丼を出汁で食べるなんて、今までありそうで無かったアイデア。海鮮丼の〆を出汁でいただくという形は、どのようにして生まれたのでしょうか。
「海鮮丼だけだとちょっと物足りないという方のために、一度で二度楽しめるものを作りたいという思いがあったんです。
そこで、出汁をかけて食べてもらえば満足できるのではないかと思いました。」と店長は言います。
なぜ鯛の出汁にしたかと言うと、「これまで様々な出汁の研究をしましたが、なかなかうまくいかず、鯛のアラに数種類の食材を使って作ったときに納得できる出汁ができあがりました。
濃厚な鯛の出汁だと誰もが知っている食材なので、より多くの方に認知して頂けると思いました。」と店長。
たしかに、「〆は濃厚鯛だしで」というお店の看板に惹かれて足を止める人を何人も見かけました。
海鮮丼屋なのにお洒落。随所にこだわりが光る店内
こちらのお店のこだわりは、海鮮丼にとどまりません。
例えば、海鮮丼を載せるこちらのお皿。
オーナーがこの金のお皿に一目ぼれしたそう。
「オーナーがこれを絶対に使いたい!ということで、このお皿に合わせて机の色なども決まったほどなんです」と北村さんが教えてくださいました。
ちなみに合羽橋で入手したものなんだそう。洋風の内装と調和するよう熟慮して、お皿を取り揃えたそうです。
そしてお店の内観・外観もお店の方々が手間暇かけて作りあげました。
ぱっと見では海鮮丼屋さんとは分からない、カフェと見間違うほどのお洒落な空間です。
「蔵前は地元の人だけでなく、若い人たちがお洒落な飲食店を求めて訪れるような土地。そんな蔵前に出店したので、内装にはこだわっています」と話す北村さん。
感度の高い若者たちが集まる土地、蔵前に馴染む店づくりを心掛けました。
店長が元々年季の入った店先のベンチを黒くペンキで塗ったり、北村さんがレジ下の木目調の部分をDIYしたりしたそう。「自分たちでできるところは自分たちで工夫を凝らしました」と話す北村さん。
「海鮮丼屋さんって、和の雰囲気のお店が多いと思うんです。でも私たちは、若い方にも親しんでもらえるような、カフェ風の海鮮丼という新しいスタイルでやっていこう、と話していたんです。」と語る北村さん。
たしかに、海鮮丼屋さんは敷居が高いと感じてしまう若い方も、気軽に入りやすい空間です。
私がお店を訪れたときは若い人たちが多かったですが、近所に住んでいる年配の方も訪れるそう。
オープンして間もないのに、すでにたくさんの人に愛されていることが伺えます。
まるで宝石箱!華やかなビジュアルの海鮮丼を実食
ではいよいよ、構想から完成まで3年ほどかかったという、オーナー&店長渾身の海鮮丼をいただきます。それがこちら!
見た目がとっても華やかな海鮮丼は、まるで宝石箱のよう!見るだけでも気分が上がります。
「食べた思い出を写真にとって形に残してくれる方が多いので、盛り付けにはこだわっています」と話す店長。
試作段階で調整を重ね、このような盛り付け方に決めたそうです。卵黄醬油の器、ピクルスの器、エビの殻入れ用の器までもがとても素敵で、テーブルが一層華やかに。
丼の中央で存在感を発揮しているのが「ころ九玉」。脇をカニとエビが彩ります。
卵黄醬油にわさびを溶かし入れ、海鮮丼全体に回しかけたら完成。では、いただきます!
舌の上でとろけるマグロとねぎとろ。つぶ貝やいかの歯ごたえ。
きゅうりやねぎのシャキッと感。プチンと弾けるとびっこといくら。たっぷり載せられたカニのほぐし身はしっとり。頭付きのエビは目を丸くしてしまうほど甘く身がプリップリです。
一度に多彩な食感と味を楽しめるころ九玉は、一口ごとに違った味わいが楽しめます。
そして卵黄醬油がこれらの様々な具材を一つにまとめあげる役割を。ご飯の上のゴマの香ばしさがまた良いアクセントになっています。
ごちそう丼には、ガリの代わりにピクルスが付いてきます。「海鮮丼にピクルス?」と思われるかもしれませんが、さっぱりした味わいのピクルスが箸休めにぴったりです。
食べ進めたらお出汁をかけて、〆のお茶漬けをいただきます。が、「美味しすぎてご飯が進みすぎちゃった…」となっても大丈夫。
ご飯は無料で追加してもらうこともできます。自分の好きなタイミングで店員さんに声をかければ、お出汁を注いでもらうことができますよ。
お出汁を注いでいただきました!ふわりと鯛出汁の良い匂いが漂います。
「トッピングは追い飛び子(100円)がおすすめです。柚子胡椒はお好みでどうぞ。」とのことです。では早速いただきます。
さらっとした鯛出汁は濃厚で旨味がたっぷり。
柚子胡椒を溶かし入れると、ぴりっとした爽やかさが加わり、味わいの変化が楽しめます。さらに追い飛び子を入れると、プチプチ感が加わりれんげを口に運ぶ手が止まらなくなります。
一度で二度美味しいどころか、三度も四度も新しい味を楽しめる海鮮丼です。
「ありそうでなかった」が詰まった、オリジナリティ溢れる海鮮丼
カフェを始め、多くの飲食店が立ち並ぶ蔵前。周りのお店から刺激を受けることも多いそう。
「唯一無二の海鮮丼屋さんを目指していきたい」と話すお二人。
「ころ九玉」や濃厚鯛だし、お店の内装からも分かるように、「ころ九」というお店には個性とこだわりがぎゅっと凝縮されています。ここでしか食べられない海鮮丼を、皆さんもぜひ「ころ九」で味わってみてください。
ころ九
住所:東京都台東区蔵前4-20-7 1F
電話:090-7580-9573
営業時間:11:00~15:00(L.O.14:30)
17:00~21:00(L.O.20:30)
定休日:水曜日