西浅草『おうちごはん あかね』|家庭のぬくもりを味わえる小料理屋で、心ほぐれる夜

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浅草・西浅草の静かな通り沿いに、まるで誰かの家に招かれたようなあたたかさを感じられるお店があります。
その名も『おうちごはん あかね』。肩ひじ張らない佇まいと、カウンターに並ぶおばんざい、そして店主のやさしい人柄。
訪れた人の心と体をやさしく満たしてくれる、家庭の味とやさしさが詰まった、あたたかな場所『おうちごはん あかね』をご紹介します。

調理師専門学校を卒業後、まったくの未経験からのスタート

『おうちごはん あかね』がオープンしたのは、2022年の秋。2025年の10月で3年目を迎えるこのお店は、店主である“あかねさん”が、飲食業未経験から一人で立ち上げた小料理屋です。

「実は、飲食店でほとんど働いたこともなければ、お酒もあまり飲めなかったし、人と話すことも苦手でした」と笑うあかねさん。

高校卒業後に調理師専門学校に進んだものの、料理の仕事に就くことはなく、まったく別の道を歩んでいたそうです。

それでも、「自分の居場所をつくりたい」という強い思いから、一歩を踏み出しました。浅草の一角に、カウンターだけの小さなお店を開き、自分らしい空間を作り上げました。

テーマは「おうちのごはん」|日によって変わるあたたかなおばんざい

お店のスタイルは「小料理屋」。カウンターには、肉じゃがやきんぴら、煮物など、家庭でよく食べられる料理が並びます。

「“家庭料理”って言うと、ちょっとハードルが高いように感じてしまって。だから“おうちごはん”という言葉を選びました。家で食べる、気取らない料理をお出ししています。」と、あかねさん。

和食の日もあれば、麻婆豆腐やパスタといった洋食や中華といったメニューの日もあるとのこと。こんなのが食べたいといったお客さまからのリクエストに応えることもあるそうです。

看板メニューは、やさしい味わいの肉じゃがやきんぴら。ごはんをしっかり食べたいという方には、カレーや、たまごかけごはんもあります。

特に、近隣には単身赴任中の方や一人暮らしの方も多く、あかねさんが作る“おうちごはん”を求めて足を運ぶ常連客も少なくありません。

苦手だったお酒が、今では大切なコミュニケーションツールに

お店を始める前は、お酒を飲むことも酒の場も苦手だったと話すあかねさん。オープンしてからは、「せっかく来てくださるお客さんに、お酒も楽しんでもらいたい」という思いから、自ら勉強を始めたそうです。

「調べていく中で、“あかね”という名前がついたお酒がたくさんあることを知って、親近感を覚え、私の名前と同じ“あかね”というお酒をお店で置くようになりました」

なかでも、あかね芋からできた芋焼酎は、常連さんの間でも人気の一本です。

また、お客さんから「“あかね”という名前の醤油があるよ」「たまごに“あかね”ってついてたよ」といった情報が寄せられることもあり、自然と会話のきっかけになっているのだとか。

苦手だったお酒が、今では大切なコミュニケーションツールとなり、『おうちごはん あかね』には笑顔や会話が自然と広がる、にぎやかな空気が生まれています。

毎月開催「こども食堂」|店主ひとりの想いから始まった活動

『おうちごはん あかね』では、毎月第3火曜日を目安に「こども食堂」を開催しています。お子さんがチケットと引き換えに、低料金や無料でごはんを食べられる仕組みです。

はじめは、あかねさんが自費で始めたものでしたが、「何か協力したい」と声をかけてくれたお客さんたちの思いから、現在ではこども食堂を“チケット”という形でのサポートが広がっています。お客さんが一食分(500円)のチケットを購入し、来店した子どもがそのチケットでごはんを受け取るというものです。

この活動の原点には、あかねさん自身の過去があります。

「私は、子どもの頃から家にも学校にも居場所がなくて……。毎日がつらかったし、楽しいと思えることがありませんでした。いじめられたこともあり、親にも頼れなかった。田舎だったので、助けを求める場もなかったんです」

そんな経験をしたからこそ、「今、生きづらさを感じている子どもたちの居場所をつくりたい」という気持ちがこども食堂につながっています。

行政や団体に頼らず個人で運営しているこども食堂は、チケットがないときには、あかねさんが自費で開催することもあります。

「誰かに褒められたいからではなく、自分のためにやっている」と語るまっすぐな意志に、応援の輪が広がっています。

苦手を詰め込んだ場所が、自分にとっての“居場所”に

あかねさんは、「お酒も、人と話すのも、食べるのも、全部苦手だった」と話します。それでも、あえて自分が苦手とすることに向き合い、「自分が頑張ることで、誰かの拠り所になれたら」という思いで、この店を続けてきました。

「ここまで続けてこられたのは、本当に“この場所(浅草)”だったからだと思います」と語る表情には、常連さんや地域の方への感謝の想いが溢れています。

『おうちごはん あかね』は、誰かにとってのごはん処であり、誰かにとっての居場所にもなっています。お腹も心も満たされたいとき、ふらっと訪れたくなるような、あたたかなお店。ひとりでも家族でも、“おうちごはん”を味わいに訪れてみてはいかがでしょうか。

おうちごはん あかね
住所:東京都台東区西浅草2-10-2 小川ビル1階
電話番号:070-8428-1005
営業時間:【水~土】18:00~23:00(LO 22:30)
休業日:月・火・日
アクセス:【東京メトロ銀座線:田原町駅 】徒歩5分/【つくばエクスプレス:浅草駅 】徒歩3分

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ライター紹介

73kg

フリーライター

うん十数年。台東区に生まれ育ち、今もなお住み続けている大好きな街。 昔から散歩が趣味で、音楽を聴きながら、いろいろな場所をただふらふら歩く。あの坂から見るきれいな夕焼け、横をふと振り向くと懐かしい気持ちにさせるまがり角、どこまでも散策したくなる街、台東区。 そんな下町っ子の私が、おすすめのスポットやカルチャーなど台東区の魅力をご紹介します。
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