谷中|ネコに導かれてたどり着いた、“明後日”のジェラート屋さん!古民家の裏庭で実食してみた

谷中銀座近くの住宅地に、知る人ぞ知るジェラート店があります。
そのお店の名は「asatteのジェラート」。
季節のフルーツを使った個性的なフレーバーと、裏庭で味わえる静かな時間が魅力です。
けれど、その場所へたどり着くための目印は、驚くほど控えめでした。
谷中の人気かき氷店、ひみつ堂の行列の脇に、踏みつぶしてしまいそうなほど小さな看板が置かれています。

描かれているのは、ソフトクリームのイラストと「60m」の文字、そして矢印だけ。
えっ、本当にこの先に?
半信半疑のまま、その矢印の示す路地へと足を踏み入れました。

ネコが案内する路地

路地に入ると、ネコがいました。
細い路地の真ん中に“でん”と寝転び、こちらを一度だけ見て、すっと立ち上がります。
まるで「こっちだよ」と言うように。

観光地のにぎわいからわずか60m。
路地の奥は、お寺と住宅に囲まれた静かな一角です。
ネコの後ろ姿を追いかけるように進むと、木の引き戸とえんじ色の外壁が印象的な平屋が現れました。

築50年の古民家ジェラート店

そこが「asatteのジェラート」。
築50年の小さな平屋を改装した古民家店舗で、店内には木のぬくもりがそのまま残されています。
全国各地の食材を使い、素材の味を生かしたジェラートを一つひとつ丁寧に作っています。
店内にはすでに5~6人の先客。観光客だけでなく、近所の方らしき姿も見えます。
特別な日のごほうびというよりも、八百屋さんやお肉屋さんのように、この町の日常の風景に溶け込む存在。そんな“まちのジェラート屋さん”を目指しているという言葉が、空間の空気感と重なります。

この日のフレーバー

この日のフレーバーは全部で6種類。
フレッシュミルク、きなこラムレーズン、抹茶、河内晩柑、杏仁ミルク、ヤマモモキウイ。
定番と季節ものがバランスよく並び、どれにするか迷うのも楽しいひとときです。
素材の味を生かすことを大切にしているお店だけあって、フレーバー名もどこか潔い印象。「フレッシュミルク」や「河内晩柑」といったシンプルな名前から、素材への自信が伝わってきます。
今回はダブルを2つ注文しました。

ひとつは「フレッシュミルク」と「河内晩柑」。
もうひとつは「杏仁ミルク」と「ヤマモモキウイ」。
テイクアウトもできますが、裏庭でいただく場合は陶器の器に盛りつけてくれます。古民家の空気に、この器がよく似合います。

実食レポート

フレッシュミルク × 河内晩柑

まずは「フレッシュミルク」と「河内晩柑」の組み合わせから。
白と白。正直に言えば、見た目はとても控えめです。
写真を撮りながら、「少し地味だったかも?」と一瞬思いました。
けれど、それはまったくの杞憂でした。
ひと口目に広がるのは、しっかりとした“ミルク感”。バニラではありません。
甘い香りで包み込むタイプではなく、牛乳そのもののコクとやさしい甘さが前に出てきます。口当たりはなめらかで、すっと溶ける。後味は驚くほどすっきりしています。
素材の味を生かす、という言葉が腑に落ちる瞬間です。
そして、そこに続くのが河内晩柑。

柑橘のさわやかな酸味に、ほんのりとした苦み。よく見ると、果肉もしっかりと混ざっています。
このほろ苦さが、ミルクのコクと絶妙に合うのです。
ミルクで包み込む、というよりも、ミルクが晩柑の爽やかさを引き立てる。
見た目は白と白の控えめな組み合わせでしたが、味わいは驚くほど立体的。
甘さ・酸味・ほのかな苦みのバランスが心地よく、気づけばスプーンが止まりません。
派手さはないけれど、じんわりと記憶に残る一杯でした。

杏仁ミルク × ヤマモモキウイ

もうひとつは、「杏仁ミルク」と「ヤマモモキウイ」。

こちらは一転、やわらかな白と淡いピンクのコントラスト。
器に盛られた瞬間、「あ、これは写真映えする」と思わずうれしくなりました。

まずは杏仁ミルクから。

口に入れた瞬間は、やさしいミルクの甘み。そのあとから、ふわりと杏仁の香りが追いかけてきます。

強く主張するタイプではなく、後半にそっと広がる余韻。ミルクのまろやかさの中に、ほのかな異国の香りが溶け込んでいます。

そしてヤマモモキウイ。

ほどよい酸味と甘みのバランスが心地よく、さっぱりとした味わい。キウイの爽やかさに、ヤマモモのやわらかな甘酸っぱさが重なります。
鮮やかな色味に目を奪われますが、味わいは意外にも穏やか。
杏仁ミルクと合わせることで、酸味が角立たず、全体がやさしくまとまります。
ミルク系とフルーツ系。
対照的なようでいて、どちらも“素材そのもの”を大切にしていることが伝わる組み合わせでした。

裏庭で味わう、少し先の時間

テイクアウトもできますが、この日は裏庭でいただきました。
そこには、木製の据え置きのベンチと、切り株をそのまま置いたような素朴な腰掛けがあります。
古民家に囲まれた小さな庭。
観光地のにぎわいからわずか数十メートルしか離れていないとは思えない、静かな空間です。
ときおり風が抜け、葉の音がやわらかく響きます。
店名の「asatte」は、“明日”よりも少し先の“明後日”。
目の前の予定や人の波から少しだけ距離を置き、ほんの少し先のことを考える余白。
この裏庭には、そんな時間が流れているように感じました。
観光の途中で立ち寄るのもいい。けれど、できれば急がずに、ひと息つく気持ちで。
ジェラートを味わいながら、ほんの少しだけ、明後日のことを想う。
そんな過ごし方が似合う一軒です。

まとめ

谷中銀座のすぐそばにありながら、路地の奥にひっそりと佇む「asatteのジェラート」。
築50年の古民家を活かした店内で味わうのは、全国各地の食材を使った、素材本来の味を大切にしたジェラートです。
小さな看板を頼りに路地を進み、ネコに導かれてたどり着くその道のりも、この店の魅力のひとつ。
観光地のにぎわいから少し離れて、静かな時間を過ごしたいときに。
谷中散策の途中で、ぜひ立ち寄ってみてください。

asatteのジェラート
住所: 東京都台東区谷中3-10-14
営業時間: 木・金・土・日 11:00~18:00
定休日: 月・火・水
*営業時間・定休日は変更となる場合があります

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ふじみ

フリーライター。FP。お得なものと変なものが好きです。推しのライブに参戦するために生きています。

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