特別展「恐竜図鑑」が上野の森美術館で開催!パレオアートのロマンあふれる世界【5/31~7/22】

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こんにちは、とくらです。

上野の国立科学博物館の常設展では恐竜の展示を楽しみにしているという方も多いのではないでしょうか?

今回は、同じく上野にある、上野の森美術館で開催される特別展「恐竜図鑑」についてご紹介します!




特別展「恐竜図鑑」失われた世界の想像/創造

特別展「恐竜図鑑―失われた世界の想像/創造」が2023年5月31日(水)~7月22日(土)に上野の森美術館で開催されます。

本展は、化石や復元模型ではなく、太古の生物を描いた絵画(パレオアート)を展示するという異色の内容!

パレオアートとは科学的証拠に基づいて恐竜などの古代の生き物を描いた美術作品のことです。

見たことのないものをその痕跡から想像していくというのはまさにロマンの芸術ですよね…!

展示タイトルに「恐竜図鑑」とあるように、誰もが一度は恐竜図鑑で見たことのある絵も出展されています。

恐竜発掘より前に描かれた幻獣、発掘初期に描かれた今では不思議な姿の恐竜、近年の研究に基づいた恐竜の姿など、世界各国から150点ものパレオアートが大集結。

我々が見たことのない古代の生き物を想像し、創造してきた恐竜たちにワクワクすること間違いなしの展示となっています。

開催期間:2023年5月31日(水)~7月22日(土)

料金:未定

場所:上野の森美術館

アクセス:JR【上野駅】公園口 徒歩3分

東京メトロ・京成電鉄【上野駅】 徒歩5分

住所:東京都台東区上野公園1-2

恐竜発掘の歴史

絶滅した巨大な爬虫類として初めて恐竜が「発見」されたのは19世のことでした。

歴史上、初めて恐竜として認められたのは1825年にイギリスで発表されたイグアノドン。

この「発見」の以前にも、恐竜の化石自体は見つかっていたのですが、象やバッファロー、巨人の陰嚢など、様々な見方をされていたのです。

医師でありながら地質学を研究していたギデオン・マンテルが発掘した一つの巨大な歯から、巨大な爬虫類がかつて存在したことが分かっていきます。

当時、マンテルはこれを「大きな爬虫類の歯である」という発表をしましたが、聖書の記述に反するとして認められることはなく、存在を裏付けるためにマンテルは更に研究を進めます。

その中でマンテルは、爬虫類であるイグアナの歯と化石の特徴が一致することを発見し、これは古代の巨大な爬虫類の化石であるとして「イグアナの歯」という意味の「イグアノドン」が命名されたのです。

発見当時は古生物の専門家にすらサイや象などの大きな動物の歯だと言われて取り合ってもらえなかったそう。

それでも諦めず研究を続けたマンテルは、当時としては夢物語のようなロマンを追いかけた人物なのではないでしょうか。

現在私たちが当たり前のように恐竜の姿を想像し、多くの創作物や研究成果を見ることができるのも彼のロマンのおかげかもしれませんね。

古生物学者メアリー・アニング

今回の展示は、ヘンリー・デ・ラ・ビーチによる最初のパレオアート「太古のドーセット」から始まります。

太古のドーセットは古生物学者メアリー・アニングの影響を受けて制作された版画で、古生物の生態を復元した史上初の絵画のひとつだと言われています。

メアリー・アニングは1799年、イギリスの現在ではジュラシックコーストとして知られるドーセット州ライムレジスに生まれた古生物学者・化石収集家です。

メアリーの父は家具職人でしたが、化石採集も行っており、この化石を観光客に販売していました。

父が亡くなってからは兄のジョセフとメアリーの二人で家計を支える必要があったため、二人で化石採集を行い販売して生活することになります。

1811年、兄のジョセフがイクチオサウルス(魚竜)の頭蓋骨の化石を発見したことをきっかけに、骨格の外形をメアリーが発掘します。

当時12歳のメアリーが、5.2mにもなるとても大きな骨格を発掘するのはとても大変な作業だったことでしょう。

イクチオサウルスの化石は既に100年以上前に発見されていましたが、全身骨格の化石が発掘されたのは初めてのことでした。

非常に重要な発見でしたが、当時はワニの骨ではないか?など専門家からも中々認められません。

ダーウィンの進化論が発表される50年近く前の当時、動物が絶滅するとは信じられていなかったのです。

更にメアリーは1821年にプレシオサウルス(首長竜)の最初の骨格化石を発掘し、1828年にはドイツ以外では初めてのディモルフォドン(翼竜)の全身の化石を発掘します。

これほど多くの功績を残したメアリーでしたが、科学界から認められることはなく、女性であることを理由に本や論文を出版することは許されません。

有名な地質学者であり子どもの頃からのの友人であったヘンリー・デ・ラ・ビーチは、メアリーの発掘をきっかけとして、1830 年に「太古のドーセット」を描きました。

彼は、評判は高まるものの、いまだ貧しい生活を送っていたメアリーのために、印刷したものを売り資金を集めたのです。

「太古のドーセット」には魚竜・首長竜・翼竜という、メアリーが発掘した全ての恐竜が描かれています。

一見すると奇妙にも見える恐竜たちの姿ですが、ここから現在のパレオアートは始まっているのです。

1847年、メアリーは47歳で乳がんで亡くなります。

生涯にわたり化石の発掘を続け、初期の古生物研究に大きく貢献したメアリーでしたが、亡くなる直前まで地質学会に認められることはありませんでした。

しかし、女性が教育を受けられず、独学で地質学・古生物研究の道を切り開いた彼女の功績は、後に研究者となる女性たちへの大きな希望となったことは間違いありません。

現在、魚竜、首長竜、翼竜など、メアリーの発掘した化石の一部をロンドン自然史博物館で見ることができます。




まとめ

発掘しても存在を信じてもらえなかった恐竜が、確かに存在した裏付けを得るために研究を続けたマンテル。

学界からの評価を受けられない中でも研究を続けたメアリーという一人の女性の活躍と、研究を讃え、支えようとする友情。

今見ることのできるパレオアートは、こうした諦めなかった人々が居たから創られた芸術なんですね。

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ライター紹介

とくらじゅん

イラストレーター・ライター

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。 妖怪イラスト、育児漫画、ADHDエッセイなどを書いています。
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