取材|“浅草に貢献したい” 串焼き居酒屋「福家」の店主が抱くビジネスへの想いに迫る!

浅草を拠点に、飲食・観光・地域活性など多角的に事業を展開する株式会社金福商店の代表・金子亮平さん。
串焼き居酒屋「福家」などを手がけながら、2025年には一般社団法人を立ち上げ、浅草全体の価値向上にも挑戦中です。
金子さんが抱くビジネスへの思いについて、詳しくお話を伺いました!

「福家」の店主金子さんにインタビュー!飲食業を始めたきっかけや携わっている事業について深掘り

「金子さんのご経歴を教えてください。」

もともと「いつか商売人になりたい」という夢があって、20歳のときに名古屋へ出ました。名古屋では約3年間、婦人靴の販売やカフェの立ち上げなど、いろんなことを経験しました。
その頃の経験が、今の商売の根幹になっています。
名古屋を離れたあとは、引っ越し屋さんや居酒屋など、いろいろな現場で働きました。
28歳くらいのときには、便利屋として独立して、不用品の回収や結婚式の代理出席といったサービスをやっていました。
そして、ちょうど11年前に「株式会社金福商店」を立ち上げて、「串焼き居酒屋 福家」をオープンすることになりました。

「『串焼き居酒屋 福家』メニューへのこだわりは?」

メインの“豚のモツ”は、とにかく鮮度が命なので、ものすごく新鮮なものを仕入れるようにしています。
 
また「極上レバーの陶板焼き」は人気の一品ですが、これはお客様に陶板ごとお出しして、その場で焼いていただくスタイルで鮮度に自信があるからこそできる提供方法です。
もちろん、お酒のおつまみになるようなメニューも用意していますし、ご飯としてしっかり食べたい方、お子様連れのお客様、ご年配の方など、老若男女問わずみんなが美味しく食べられるメニュー構成というのは常に意識しています。
 
さらに、日替わりで「10円メニュー」も提供しています。
なかには、系列店で提供しているA5和牛を使ったメニューを10円で提供する日もあるんです。

「『串焼き居酒屋 福家』の客層を教えてください。」

本当に幅広いお客様に来ていただいています。
60代以上の方もいらっしゃいますし、土日になるとお座敷席にはお子様連れのご家族がよくいらっしゃいますね。
もともと、創業当時のスタッフにも子どもがいる人が多かったんです。
私自身も4人の子どもがいるんですが、「家族連れでも来やすいお店にしよう」というのはお店づくりの中でも大切にしてきたポイントです。

お子さんには、店内に設置しているガチャガチャを無料で楽しんでもらえるようにしています。
それを楽しみにして「福家に行きたい!」って言ってくれるお子様も多いようです。
 親御さんとしては、居酒屋に子どもを連れて行くと気を使うじゃないですか。
でも福家では、そういった気兼ねをせずに、家族で気軽に楽しんでもらいたいと思っています。
 あとは、福家の近くに小学校があるんですが、先生たちもよく来てくださって。
すると、店内で親御さんと先生がばったり会って会話が弾んだり、自然とコミュニケーションの場になっているんです。
そういう光景を見ると、すごくうれしいですね。

「金子さんが飲食業界に入ったきっかけを教えてください。」

『商売人になりたい』という気持ちから、20歳の頃に名古屋に出て、23歳くらいまでの約3年間、いろんな仕事を経験させてもらいました。
その際、カフェのリニューアルオープンを任されることになって、これが初めて本格的に飲食業に関わったきっかけでした。
他の社員さんと連携しながら問題点を改善しながら現場を回し、リニューアル前から売り上げを倍近く伸ばすことができたんです。
当時の自分にとってはそれでも大きなチャレンジでしたね。
人と協力しながら一つの店を動かしていく面白さを初めて感じたという意味でも、本当に貴重な経験でした。
これが、飲食の世界に足を踏み入れた最初のきっかけです。

「金子さんが携わっている飲食店について教えてください。」

浅草にある2つの飲食店に携わっています。
 
まず1つ目は「神戸牛ダイア ロック忍者店」というお店です。
もともとは「Fukuyaバル」という屋号で営業していた店舗で、コロナ禍の中でオープンしたんですが、当初はかなりの赤字店舗でした。

そんな中、「神戸牛ダイア」を展開している企業の会長とご縁があり、2023年に業態転換することになったんです。
メニューもすべて刷新し、現在はインバウンド特化型の神戸牛ステーキレストランとして運営しています。今では、海外からのお客様に非常に人気のある店舗になりました。
 2つ目は「和菓子 楓」という店舗です。
こちらは、さまざまな種類の和菓子を販売しているお店です。

もともとは日本人のお客様が中心だったのですが、最近では外国人観光客の割合が2〜3割程度まで増えてきていて、こちらも少しずつインバウンド需要に応える形になってきています。

「飲食店を経営する中で大変だったことを教えてください。」

大変だったことは数えきれないほどありますね。
中でも一番難しいと感じたのは、スタッフと一緒に進んでいくこと、そして“組織としてどう成長していくか”という部分です。
 ある時期、会社としてすべてを内製化しようとしたことがありました。
たとえばプレスリリースの作成、ホームページの改善、資料作りなど、外部に頼らずすべて自社でやる体制を目指したんです。
 実際にやってみると、想像以上に難しい部分が多かったんです。
そこから今は考え方が変わってきていて、社内だけで完結させるのではなく、外部の専門家や企業と連携するようにしています。
そうやって協力し合うことで、今ではかなり良い形でお店も会社も動いています。

もうひとつ難しさを感じたのは、自分が描いた〝こういうお店にしたい〟というビジョン通りにはいかないということです。
たとえば、「福家バル」の立ち上げ時には、近くのホテルの婚礼の二次会需要をメインターゲットにした設計だったんですが、コロナの影響でそもそも二次会文化自体が消えてしまったんですよね。
 そこで方向転換して、今は海外の旅行会社と契約して、団体観光客向けのインバウンド対応店舗に変えました。
最初に思い描いたものとはまったく違う形ですが、「世の中のニーズに合わせて柔軟に変えていく」ことが何より大切だと実感しました。
 自分のやりたいことと、社会のニーズや流れとのギャップをどう埋めていくかが、飲食店経営の難しいところだと感じています。

「金子さんが行っている飲食以外の事業を教えてください。」

飲食以外に3つの事業に取り組んでいます。
① 一般社団法人「浅草エリアマネジメント協会」
 2025年に新たに立ち上げたのが、「一般社団法人 浅草エリアマネジメント協会」です。
これは、浅草という街全体の価値やブランドを長期的・広域的に高めていくことを目的にしています。
浅草のブランディングって、最終的には“信用”だと思うんです。
だからこそ、イベントやプロモーションだけで終わらず、行政・企業・地元商店などが連携して持続的に動かせる“ハブ”のような存在を目指して設立しました。
 
これまでも個人や企業として、たとえば「ハロウィンイベント」や「酔いの宵」などの地域イベント、広告プロジェクトなどを手がけてきましたが、どうしても範囲が限られていたんです。
でも、浅草という広いエリアで継続性のある活動を生み出すには、仕組みそのものを作る必要があると感じて、一般社団法人という形にしました。

② 「着物スニーカー」ブランドの立ち上げ
2つ目は、「着物スニーカー」というオリジナルブランドの立ち上げです。
これは、本物の着物生地を使用したスニーカーで、2025年夏〜秋の販売を目指しています。
インバウンド向けに、日本らしさとファッション性を兼ね備えたプロダクトとして展開予定で、柄もすべて異なる“一期一会の一足”がコンセプトです。
海外の方にはもちろん、日本の方にも愛されるようなプロダクトに育てていきたいですね。

③ 旅館業・民泊業の展開
3つ目が、「旅館業・民泊業」です。
2025年中には、自社で2軒の宿泊施設をオープンできそうで、今力を入れている分野のひとつです。
「神戸牛ダイア」などを通じてインバウンド事業の可能性を肌で感じる中で、“食べる”だけじゃなく、“泊まる・買う・体験する”をトータルで提供する流れを浅草でつくっていきたいと思うようになりました。
 宿泊施設があれば、お客様にフルに浅草を楽しんでいただけますし、1日まるごと浅草を体験してもらえる導線を自社でつくるというのが大きな目標です。

「今後の目標・展開について教えてください。」

今後の目標としては、現在取り組んでいる3つの新規事業をしっかりと育てていきたいです。
・一般社団法人「浅草エリアマネジメント協会」
・着物スニーカー事業
・旅館業・民泊業
この3つを、既存の飲食業と並ぶ柱として、しっかり育て上げたいと考えています。
これまでの自分は、どちらかというと“立ち上げること”に強みがありました。
とにかくスピード感を持って形にするのは得意だったんですが、事業って一を十に育てていくところが重要なんですよね。

実はこれまで「一」をつくったあとに社内のメンバーにバトンを渡してしまっていた部分がありました。
でも今思えば、渡すこと自体は悪くないんですが、“一緒に伴走して成長を支えていく”姿勢が足りなかったかなと。
これからは、自分自身が最低「十」、目指すところは「百」まで育てたいです。
各事業をスタートさせただけで終わらせず、事業として自立・成長させるところまで責任を持ちたいと考えています。
今の会社の売上構成でいうと、飲食が大部分を占めている状態ですが、最終的には「飲食店以外の三事業も、同じレベルで回っている会社です」と胸を張って言える体制をつくっていきたいですね。

まとめ

飲食業にとどまらず、地域や観光、プロダクト開発まで次々と新たな挑戦を続ける金子さん。

“浅草という街をまるごと盛り上げる”というビジョンのもと、今後の展開からも目が離せません!

また「串焼き居酒屋 福家」、「神戸牛ダイア ロック忍者店」、「和菓子 楓」のなかで気になるお店がある方は、ぜひ足を運んでみてくださいね!

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よしだ

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