入谷|年に2日だけの特別な日!小野照崎神社「下谷坂本富士」のお山開きを体験

「いつか登ってみたい」
小野照崎神社を訪れるたび、そう思っていました。
境内にある下谷坂本富士は、国の重要有形民俗文化財にも指定されている富士塚です。
しかし、普段は固く門が閉ざされており、中へ入ることはできません。
登れるのは、毎年6月30日と7月1日の「お山開き」のたった2日間だけ。
今年こそはと思い、仕事を急いで終わらせて向かったのが、7月1日の夕方でした。
今回は、小野照崎神社のお山開きで、実際に下谷坂本富士へ登ってみた様子をレポートします。

年に2日だけの特別な日

小野照崎神社は、平安時代の歌人・小野篁(おののたかむら)を祀る神社です。
境内には、江戸時代から続く富士信仰の名残である「下谷坂本富士」があり、普段は立ち入ることができません。
そんな富士塚に登れるのが、お山開きの2日間です。
10時から20時まで登拝できるので時間には余裕がありますが、平日です。
私が到着したのは、7月1日の午後5時半ごろ。
「暗くなる前に登りたい!」
そんな気持ちで、少し急ぎ足で境内へ向かいました。
すると、境内には七夕飾りが揺れ、茅の輪も設置されています。

屋台が出ているわけではありません。
それでも、いつもより人が多く、どこかお祭りの日のような特別な空気が流れていました。

まずは茅の輪くぐりと参拝

富士塚へ向かう前に、まずは茅の輪くぐり。
半年間の穢れを祓い、無病息災を願う神事です。
その後、拝殿で参拝。
心の垢を落とし、ご挨拶も済ませ、準備万端です。
さあ登ろう!
そう思った時、「御朱印やお守りは、そろそろ終わりますよ〜」
と神社の方が声を掛けてくださいました。
危ないところでした。
登頂より先に、お山開き限定の御朱印をいただくことにします。

御朱印には、
「お山開き」「下谷坂本富士」
「不尽」「不二」
の文字と、美しい富士山の姿。
「不尽」「不二」の文字には、それぞれ「尽きることのない感謝」と「二つとない決意」という意味が込められているそうです。
さらに「文月 朔日」の文字も入り、この日だけの特別感に思わず嬉しくなりました。

いよいよ下谷坂本富士へ

いよいよ登山です。
正直に言うと、この瞬間が一番テンションが上がりました。
普段は閉ざされている門の先へ進む。
何度も神社を訪れるたびに外から眺めていた場所です。
「あの中はどうなっているんだろう」
と思っていたので、門をくぐった瞬間は少し大げさですが“禁断の地”に足を踏み入れたような気分でした。
ずっと気になっていた場所に、ようやく足を踏み入れられたのです。

人は次々にやって来ますが、並ぶほどではありません。
自分のペースで登れます。
登山道には、〇合目と刻まれた石杭が並んでいます。
まず見つけたのは2合目。
「あれ、1合目は?」
と思いつつ、3合目、4合目と確認しながら進みます。
「よし、全部探そう」
そんな気持ちで写真を撮りながら登りました。

ごつごつとした岩肌がむき出しになった場所もありますが、小さなお子さんやご年配の方も登っていました。
途中には、修験道の開祖とされる役小角の尊像や、「南無妙法」と刻まれた石碑も残っています。

高さは約6メートル。
ゆっくり写真を撮りながらでも、5分ほどで頂上へ到着しました。
絶景が広がるわけではありません。
けれど、岩肌や石碑を間近に見ながら登る時間は、まるで小さな富士登山のようでした。

1合目の石杭を探してみた

下山してから、ふと気になったことがあります。
2合目から9合目までは見つけたのに、1合目だけ見つかっていないのです。
改めて登山口周辺を探してみると、
「ここから登山道」
と書かれた案内よりもさらに下に、ほとんど土へ埋もれた石を発見しました。

よく見ると、
「壹」
の文字。
近くにいた巫女さんへ、
「これが1合目の石杭ですかね?」
と尋ねると、
「あら、本当だ。旧字体がはっきり見えますね」
とのこと。
最後に謎が解けて、なんだかとてもスッキリしました。
ちなみに、この石杭は普段の日でも門の外側から覗き見ることができます。
小野照崎神社を訪れた際は、ぜひ探してみてください。

心までさっぱりしたお山開き

登拝後には、冷たい麦茶もいただきました。
蒸し暑い日だったので、そのおいしさは格別です。
富士塚を登ったあとだったこともあり、冷たさが体に染み渡るよう。
用意された麦茶から、お山開きならではの温かな心配りを感じました。
ただの麦茶なのかもしれません。
けれど、神社でいただくと、なんだかありがたく感じてしまうから不思議です。
茅の輪をくぐり、参拝し、富士塚へ登る。
たった数十分の体験でしたが、半年分の穢れを払い、新しい気持ちで下半期を迎えられたような気がしました。
年に2日だけ開かれる特別な場所。
来年もまた、この門の先へ足を踏み入れてみたいと思います。

小野照崎神社
住所:東京都台東区下谷2丁目13-14
授与時間:9時~16時
富士塚「下谷坂本富士」の開放は、毎年6月30日と7月1日の2日間

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ふじみ

フリーライター

フリーライター。FP。お得なものと変なものが好きです。推しのライブに参戦するために生きています。
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