【東京国立博物館 創立150年】おすすめ国宝【見えないだけでそこにいるのかも…餓鬼草紙】

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こんにちは、とくらです。

2022年は東京国立博物館創立150年!

これを記念して今年は多くの特別展やイベントの開催、グッズの販売が行われています。

既に開催が終わってしまったものもありますが、来年の1月までまだまだ周年記念イベントは続きます!

収蔵品は現在約12万件、このうち国宝が89件、重要文化財648件を擁するトーハク。

150周年を記念して、普段はなかなか見ることのできないコレクションを見ることもできますよ!

そこで、全3回に渡って、国宝にスポットライトを当てた、特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」の中から、私が個人的に気になった展示物をご紹介します!

今回は、怖い絵巻・国宝「餓鬼草紙」についてです。




餓鬼草紙

展示期間:11/15(火)~12/11(日)

餓鬼草紙は、六道の一つである「餓鬼道」を描いた平安時代の絵巻物です。

平安時代には、他にも「地獄草紙」や「病草紙」など六道での苦しみを描いた「六道絵」が制作されており、餓鬼草紙も六道絵のなかの一つであると考えられています。

六道とは、仏教において、生き物が生の結果として、死後閻魔様にの裁きによって罪の重さに応じて輪廻転生する6種の世界のことを指します。

天道、人間道(にんげんどう)、修羅道(しゅらどう)、畜生道(ちくしょうどう)、餓鬼道(がきどう)、地獄道(じごくどう)の6つの世界があり、罪の軽重によっていずれかの世界に生まれることになるのです。

「地獄」は非常に有名ですが、今我々が生きている人間道すらも苦行に満ちた罪に見合った裁きとしての転生世界だったんですね。

六道のなかでも特に「三悪道」と呼ばれる畜生道、餓鬼道、地獄道は苦しみの大きな世界。

この餓鬼草紙でも、餓鬼道に堕ちた者たちが恐ろしく悲し気な雰囲気で描かれている場面が多くあります。

餓鬼たちの大きく突き出たお腹と、瘦せ細った体躯、満たされない表情にはその苦しさ、辛さを見て取ることができますね。

また、妬ましいような、恨めしいような仕草からは、その餓鬼の前世が人間であったということを感じさせます。

餓鬼は、地下深くにある閻魔王の世界、人道・天道に住んでおり、餓鬼草紙にはこの二つの世界に住む餓鬼が描かれています。

餓鬼を見ることができない人間たちの周りで物欲しそうな顔をする餓鬼や、人の精気を食らう餓鬼、獄卒から責め苦を受ける餓鬼など、様々な罰を受けており、人々が現世で善い行いをしようというモチベーションにもなりそうです。

餓鬼道は生前に強欲だった者、人を妬んだ者、騙した者、盗みを働いた者などが生まれる世界であるため、餓鬼は常に飢えと渇きに苦しみ、決して満たされることはなく、食べ物を食べたり水を飲もうとすると燃え尽きてしまう、不浄のものしか口にできないと言われています。

大きく突き出たお腹と、瘦せ細った手足。

飢饉で餓死に至る人々が実際に多くいた時代、このようなビジュアルの「餓鬼」は非常にリアリティがあるからこそ更に恐ろしかったのかもしれません。

また、餓鬼には前世での行いにより36もの種類があり、本作ではそのうち10種類の餓鬼を描いています。

【10種類の餓鬼】
・欲色餓鬼
・伺嬰児餓鬼
・羅刹餓鬼
・食糞餓鬼
・疾行餓鬼
・曠野餓鬼
・食火餓鬼
・塚間餓鬼
・食吐餓鬼
・食水餓鬼

字面だけでも既におどろおどろしいですね…

前世での罪業によって受ける罰は異なりますが、餓鬼道の刑期はおそよ15000年。

この間常にそれぞれの罰を受け続けることになります。

たとえば食吐餓鬼は、前世で妻や子に食べ物を与えず、自分は美味しいものを食べていた罪で餓鬼道へと堕ちた餓鬼です。

常に嘔吐させられ、飢えが満たされることはありません。

15000年お腹空いてるの怖すぎ…

他の刑罰も迫力満点で描かれていますよ。

これは見逃せませんね…!

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」

東京国立博物館創立150年を記念し、膨大な所蔵品の中から国宝89件すべてを含む名品と資料を通して、東京国立博物館を紹介する展覧会

会期:2022年10月18日(火)~12月11日(日)

会場:東京国立博物館 平成館 開館時間:午前9時30分~午後5時※金曜・土曜日は午後8時まで開館

休館日:月曜日

観覧料:一般2,000円 大学生1,200円 高校生900円

※中学生以下無料 ※事前予約制(日時指定)

アクセス:東京都台東区上野公園13-9

【JR上野駅】公園口・鶯谷駅南口より徒歩10分

東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅、東京メトロ千代田線根津駅、京成電鉄京成上野駅より徒歩15分

オリジナルコラボグッズの販売や、東京国立博物館の国宝カードの配布(10月18日(火)~10月30日(日))も!

また、国宝カードは東京国立博物館以外でも、アトレ上野、上野マルイ、PARCO_ya上野、松坂屋上野店で配布されているそうです。

国宝89件からランダムで1件ずつカードになっているそうなので、これは集めごたえがありますね…!

また、公式サイトから89件の国宝一覧を確認することもできます。

お目当ての1枚を狙いに行くのも楽しみ方の一つかもしれません。




まとめ

想像するだに恐ろしい刑罰が描かれている国宝「餓鬼草紙」。

展示期間は11/15(火)~12/11(日)です。

必ず事前にチケットを予約してから見に行きましょう。

同時に展示される地獄草紙と併せてチェックしたいですね!

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ライター紹介

とくらじゅん

イラストレーター・ライター

1991年生まれ。下町暮らしのフリーライター・イラストレーター。 妖怪イラスト、育児漫画、ADHDエッセイなどを書いています。
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